感想・解説『君たちはどう生きるか』

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前情報ゼロの状態で見てきました。
流石の宮崎駿さんという感じ。
あくまで個人的な解説です。

作品紹介

『君たちはどう生きるか』は2023年7月14日に公開された日本のアニメーション作品となっています。

原作・脚本・監督は宮崎駿さんで、『風立ちぬ』以来10年ぶりとなるの監督作品となります。

声の出演として山時総真さん、菅田将暉さん、木村拓哉さん、柴咲コウさん、あいみょん、木村佳乃さんなどが出演。

公開まで予告や宣伝などが全く行われず、前情報のない状態での公開となっており主題歌は米津玄師さんが担当されています(『地球儀』)。

ストーリー

太平洋戦争中、牧眞人は実母・久子を失う。軍需工場の経営者である父親の正一は久子の妹、ナツコと再婚し、眞人は母方の実家へ工場とともに疎開する。疎開先の屋敷には覗き屋のアオサギが住む塔がある洋館が建っていた。不思議に思った眞人は埋め立てられた入り口から入ろうとするが、屋敷に仕えるばあやたちに止められる。その晩、眞人はナツコから塔は、頭は良かったが本の読みすぎで頭がおかしくなったといわれている大叔父様によって建てられ、その後大叔父様は塔の中で忽然と姿を消したこと、近くの川の増水時に塔の地下に巨大な迷路があることからナツコの父親(眞人の祖父)によって入り口が埋め立てられたことを告げられる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/君たちはどう生きるか_(映画)

宮崎駿さん最新作

さあ『君たちはどう生きるか』観てきました。
この作品は宮崎駿さんの最新作となっていて、先日公開されたばかりです。

公開まで全く宣伝がされていなくて、1ヶ月くらい前に初めて公開されることを知りました。

着々と制作され、公開に向けた準備は進められていたようなのですが、宣伝を一切行わないという方針で進められていたとのこと。

どうやら映画のパンフレットの発売も公開されてしばらく経ってからになるということで、かなり徹底されているようです。(発売日は未定)

そんな中劇場へ。新宿TOHOシネマへ行ったのですが、劇場はかなり埋まっていました。

流石というか、とりあえず見てみたいと思いますよね?宮崎駿さんの監督作となると。という感じでした。

舞台は戦時中

話の舞台は戦時中。

主人公となる眞人の母親が火事で亡くなるところから始まります。

その後眞人の父は妻の妹であるナツコさんと再婚することとなり、眞人もともに屋敷で住み始めます。

眞人はそこでアオサギと出会い、様々なことが起こり始め、、、というような感じです。

『君たちはどう生きるか』というタイトルは、吉野源三郎さんの小説から取っているのですが、物語的には全く異なっていて、全く別物となっています。

吉野さんの原作小説は作中で眞人が読むこととなり、影響を受ける小説として登場するのですが、映画の物語自体は完全に宮崎駿さん作品となっていました。

キャラもあらすじも全く知らなかったので(吉野さんの小説も未読でした)、すごく新鮮な気持ちで見ることができて、最後までどうなるか分からないという感じでした。

過去作のオマージュ

この作品を見た人はおそらく過去のジブリ作品も見ていると思うのですが、多くの人はこう思ったのではないでしょうか。

”過去作のオマージュ的な部分がかなりあったな、、、”と。

少なくとも私自身はめちゃくちゃ思いました。

細かいところがいちいち過去作の一部を彷彿とさせるようになっていて、宮崎駿さん監督作の総決算みたいな感じです。

本当に例を挙げるとキリがなくて、弓矢のところは『もののけ姫』みたいだな、、とか、海の先に船が並んでいるところはポニョみたいだなとか。

森のシーンはトトロっぽかったりもして、千と千尋みたいなシーンも結構ありました。

屋敷に戦闘機のガラスを並べているシーンはナウシカの王蟲みたいに見えたりもして、ハウルみたいなシーンもありました。

随所で過去作の一部を思い出してしまって、それも凄いというか、僕は完全日本人で、宮崎駿さんのアニメとともに育ってきたんだなということを感じずにはいられませんでした。

考察(個人的)

この作品、完全に理解できたといえる人がいるのでしょうか。

おそらくその全てを理解することは誰もできないのではないかと思います。

最終的にある決着はつくのですが、そこに至るために不思議なことが多くあり、不条理で回収されない部分も結構あります。

それでも僕はこの作品を良い映画だと思いましたし、凄い作品だなと思っています。

個人的に気になったのが途中出てきた”13個の積み木を積み上げる”という話です。

突然出てきたこの数字なんなんだろう、、、と思ったのですが、これは宮崎駿さんの監督作品の数なんじゃないかと思います。

大叔父様という人物が登場し、彼と対峙した眞人との会話がされるのですが、そこで大叔父様は眞人にこの積み木を託そうとします。

僕はここが未来のクリエイターに向けたメッセージのようにも見えました。

自分の作った13個の作品達を見て何を感じ、何を作り上げるのかは君たち次第で、あとは託したぞ。という。

自分自身の投影として

おそらく、宮崎駿さんは今の自分を大叔父様に投影していて、眞人に少年時代の自分を投影しているのではないかと思ったりもしました。

・アニメ監督としていろんなものを手にした自分→世界を作り上げることができる立場としての大叔父さん

・少年時代の何も持っていな無邪気な自分→色々なものを見て体験し、どう生きるかを選択してく眞人

という感じで、

大叔父様は眞人にこの世界の舵取りを託そうとするのですが、眞人は元の世界へ戻っていきます。

言葉通り、争いのある戦時中の不安定な世界へ戻っていくのです。

このやりとりこそが『君たちはどう生きるのか』というタイトルにかかっている気もして、ここはおそらく重要なシーンです。

宮崎駿ファンタジー

見終えてみて、やはりこれは完全に宮崎駿さんの監督作で、今まで通りのファンタジー作品だったなという感想です。

やはり作家性というものは消せないのか、流石というか、シンプルに面白かったです。

色々なことが起こるのですが、ざっくりいうと眞人が母の死を受け入れ、新しい母親とともに生きていくことを受け入れる話なのかなと思ったり。

そして、声の出演や主題歌も豪華だったな、、、と。

主題歌は米津玄師さんでキムタクやあいみょんが声優として出演してたり。

こんな作品をこの時代に前情報を一切出さずに公開するなんて、その徹底ぶりも凄いなと。

『風立ちぬ』で引退ということを言っていたのですが、その撤回を否定するなんて人は誰もいないのではいでしょうか。

全然撤回してもらって構わないし、あと一作でも宮崎駿さんのアニメをみたいと思う人の方が多いはずです。

少なくとも僕もその一人です。

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