
鎌倉の街並みめっちゃいいです。
『海街diary』
吉田秋生さんの同名漫画を原作とする日本映画で、2015年6月15日に公開されました。
監督は是枝裕和さんで、話の中心となる4姉妹を綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさんが演じています。
他、大竹しのぶさん、堤真一さん、リリー・フランキーさん、樹木希林さんなどが出演しています。
カンヌ国際映画祭にも出品され、日本アカデミー賞でも数多く受賞している作品です。
story
まぶしい光に包まれた夏の朝、鎌倉に住む三姉妹のもとに届いた父の訃報。十五年前、父は家族を捨て、その後、母(大竹しのぶ)も再婚して家を去った。父の葬儀で、三姉妹は腹違いの妹すずと出会う。三姉妹の父を奪ったすずの母は既に他界し、頼りない義母を支え気丈に振る舞う中学生のすずに、長女の幸は思わず声をかける。「鎌倉で一緒に暮らさない?」しっかり者の幸と自由奔放な次女の佳乃は何かとぶつかり合い、三女の千佳はマイペース、そんな三姉妹の生活に、すずが加わった。季節の食卓を囲み、それぞれの悩みや喜びを分かち合っていく。しかし、祖母の七回忌に音信不通だった母が現れたことで、一見穏やかだった四姉妹の日常に、秘められていた心のトゲが見え始めるー。
http://umimachi.gaga.ne.jp
鎌倉に暮らす
『海街diary』見ました。
数年前に一度見たことがあって、話も大体覚えていたんですが、時間があったので再度見返しました。
是枝裕和さんの監督作品で、漫画を原作とする映画となっていて、公開は2015年となっています。
鎌倉を舞台に4姉妹が暮らしていく様子が静かに描かれている作品となっています。
是枝さんの監督作ということで、映画のクオリティは凄く高く、静かながらも色々な側面から見ることのできる作品でもあると思います。
3姉妹の元に
物語は鎌倉に暮らしている3姉妹と、腹違いの妹であるすずとが出会うところから始まります。
父親の葬儀で出会った姉妹たちとすずは一緒に暮らすこととなり、そこでの様子が描かれていく話となっています。
彼女たちの家庭事情はなかなかに複雑で、初見ではちょっと理解しきれない部分もあるかもしれません。
でも、その家庭環境は完全には理解しておらずとも見れるようになっている気がして、とりあえず父親は同じで、別の母親からの子供と暮らしてるんだなーくらいの理解でも見れる映画だと思います。
姉妹の描き方
原作は読めていないのですが、映画を見てこの姉妹の描き方は本当に上手いな・・・と思いました。
人は誰しも兄弟構成で形成される性格のようなものがあるような気がしていて、『海街diary』に出てくる4姉妹も見ていてなるほどな・・・と思うようなシーンに溢れています。
綾瀬はるかさんの演じている長女は家族を守ろうとしっかりしようとしていて、長澤まさみさんの演じる次女はその長女に反発するかのように自由な感じで。
夏帆さんの3女はそのどちらとも違っているマイペースな感じで、4女となる広瀬すずさんはお姉さんたちに気を遣っている感じです。
それぞれが影響し合いながら彼女たちの性格は作られていったんだろうなーと、一緒に過ごしてきた人生がふとした瞬間に垣間見えるようになっていて、その立ち振る舞いなんかも凄く自然な感じです。
色々と抱えながらも
映画を見ていると、誰しも色々と抱えているんだなーということが凄く分かります。
家族の中でもオープンに語られている次女の話もそうなんですが、しっかりものの長女の幸も仕事場での配置転換があったり、見ている側からしたら可能性の薄そうな男に惹かれている様子が描かれていたりします。
家庭の中ではそれぞれがある種の役割を演じていながらも、外ではそれぞれが一人の人間として別の世界で暮らしている様子なんかは凄くリアルです。
そして、是枝さんの映画ではそんなに強くないシーンで、ふとした時に核心を突くようなセリフがあったりします。
転職してきた加瀬亮さんと長澤まさみさんとの電車での会話なんかまさにそうで、
「ふと思ったんですよね。ここは自分の居場所じゃないって。」
というようなことを加瀬さんが言い、長澤さんが微妙な顔をするというだけのシーンなのですが、
この女の子は、男性とうまくいかなくなる時、よくこういうことを言われてたんじゃないか・・・と読み取れるシーンでもあったりします。
そんなふとしたところで本質を突くようなシーンがあって、それを決して直接的には言わないところは監督の技量なんだろうな・・・とか思ったりもします。
時間が流れていくということ
この作品は個人的には凄く希望のある映画だなと思います。
過去に色々あり、別々の母親を持ちながらも共に暮らしていく4姉妹なのですが、次第に打ち解けていくようになっていきます。
すずも鎌倉で自分の居場所を次第に見つけ始め、だんだん明るくなっていきます。
それは何があったというわけでもなく、共に過ごした時間の量でしか変えることのできない何かが次第に変えていっているのだろうなーと思います。
これって、凄く家族の本質というか、何があったからとかいうわけではなく家族が家族であるために必要なものは時間の経過なんじゃないかなと思わせてくれます。
そして、時間の経過こそがいろいろな物事を解決する可能性のようなものも示されている気がして、凄く希望のある映画だなと思いました。
鎌倉の街並み
個人的には昔神奈川に住んでいたということもあり、どこか懐かしい街並み随所にありました。
舞台となっている鎌倉は本当に綺麗です。
海の近くの少し古い感じも残る風情ある風景という感じで、ここで暮らしているだけでも幸福なんじゃないかと思ってしまうほどです。
話の内容は重たかったりする部分もありますが、映画として凄く美しい作品です。
そして、すずという女の子を演じた広瀬すずさん・・・。
偶然の名前の一致だそうなんですが、これほどないくらいにハマっています。
持っている女優さんとはこういうものなのか・・・。
とにかくいい映画であることは間違いありません。