
是枝さんの監督作品です。
最近時間があるのでまとめて観まくってます・・。
『奇跡』
是枝裕和さん監督の日本映画で、2011年に公開されました。
主演の兄弟を演じているのはまえだまえだの二人で、他、オダギリジョーさん、阿部寛さん、長澤まさみさん、大塚寧々さんなどが出演しています。子供役として橋本環奈さんも出演しています。
九州を舞台に、両親の離婚によって離れ離れとなっている兄弟を描いた作品となっています。
内容紹介
九州新幹線全線開業の朝、博多から南下する”つばめ”と、鹿児島から北上する”さくら”、二つの新幹線の一番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起きて、願いが叶う――。
https://www.amazon.co.jp/奇跡(通常版)-DVD-前田航基/dp/B005FO0BNW
そんな噂を耳にした小学6年生の航一(前田航基)は、離れて暮らす4年生の弟の龍之介(前田旺志郎)と共に奇跡を起こし、家族4人の絆を取り戻したいと願う。
二人の両親は離婚し、兄は母(大塚寧々)と祖父母(橋爪功、樹木希林)と鹿児島で、弟は父(オダギリジョー)と福岡で暮らしているのだ。兄弟は、友達や両親、周りの大人たちを巻き込んだ壮大で無謀な計画を立て始める。
そしてその計画は、人々に思いもよらない奇跡を起こしていくのだった――。
とある二人の兄弟を
映画『奇跡』観ました。
是枝裕和さんの監督作ということで、そのうち観たいなと思いながらもなかなか見れずにいて、今回ようやく観ることができました。
この映画は九州を舞台とした映画で、離れ離れに暮らす兄弟が目論むある計画のことを描いています。
主演の兄弟を演じているのは子供漫才師として活動していたまえだまえだの二人。
オファーがあったのかと思いきや、オーディションで選ばれた二人とのこと。
映画を観てずっと思っていたのは、めちゃくちゃこの二人ハマってるな・・・ということです。
選んだ人さすがというか、方言の感じもすごく自然で、本当の兄弟だからこそ出せる、本当に自然な子供の演技・・・。
本当にそこに存在するとしか思えないような子供たちとなっています。
九州を舞台とした
この映画は九州を舞台としたものとなっています。
両親が離婚し、長男の方は母親と一緒に鹿児島で、次男の方は父親と一緒に福岡で暮らしています。
この両親の事情もすごくリアルで、本当にありそうな家族としか思えないような描き方をされていて、細かいところに分かるわ・・・というような部分が結構あったりして。
自分も九州(長崎ですが)に祖父母の家があり、小さい頃はよく行っていたということもあるのでなんとなく見たことのある風景もあったり、九州弁なんかも懐かしい感じで見れました。
そして、自分も歳の近い兄がいるので、まえだまえだの二人が演じている兄弟の感じはすごく分かりました。
兄はやっぱり長男としてしっかりしなければという責任感のようなものを小さいながらも持っていて、家族のことをなんとかしようと考えています。
それに対して弟の方はどこか適当というか、また一緒に暮らすことができればいいんだけれど、今は今で楽しいしーみたいな感じです。
二人が夢を見たというシーンがそれぞれあるのですが、これが対照的だったのも面白いところでした。
兄は家族が仲睦まじくピクニックをしている夢を見て、またあんな風に暮らせれば・・・というのに対し、弟は両親が喧嘩している夢を見て、あんな経験はもうしたくないというようなことを思うのです。
夢っていう無意識な部分で子供が本当に何を思っているのかを描ているようで、なるほどなーという感じでした。
奇跡とは??
この映画のタイトルともなっている『奇跡』とはなんなんだろうなーということを見ている人は考えながら見ることとなります。
兄弟の二人は、開通する新幹線がすれ違う瞬間に奇跡が起こるという噂を聞きつけ、計画を立て始めます。
子供だけでやるには無謀とも思えるような計画なのですが、いろんな人の協力もあり、計画を実行することとなります。
計画は一応は成功することとなるのですが、そこには思い描いていたような奇跡的な光景はありません。
新幹線がすれ違う瞬間の長男の表情が物語っていたように、そこに奇跡はなく「ああ、こんなものか」というようなものでしかなかったのです。
それならばこの作品における『奇跡』とはなんなのでしょうか。
ストレートに考えるなら、両親が仲直りして家族がまた一緒に暮らすという『奇跡』なのかもしれません。
しかし、少なくとも作中ではそうなるという様子は描かれません。
再会した兄弟は元の生活へと戻っていくところで映画は終わってしまいます。
日常の些細なところに
それではこの映画に込められている『奇跡』とはなんなのかということなのですが、映画全体として込められているメッセージとしては、『奇跡は日常の些細なところにあるんだ』ということなんじゃないかと思いました。
兄弟は計画を終え、元の生活へと戻っていくのですが、思い返してみるとその旅にはたくさんの奇跡的な出来事が起こっていたのではないでしょうか。
旅の途中で子供達を泊めてくれた夫婦がいたのですが、詳しくは語られていませんが彼らは自分の子供を思い出したというようなことを言います。
おそらく彼らの人生にも様々なことがあり、ふとした時に現れたのがその子供たちだったのです。
他にも、子供が一人迷子になってしまい、そこで警察官と会うこととなるのですが、それも後々考えると必要だったんじゃないか?とか思えてきたり、その計画の全てが後々考えるとたくさんの奇跡に溢れていたんだということを知ります。
さらに、それは私たちの生きている生活の些細なところに『奇跡』はあるんだなということにも繋がっています。
生きていることそのものが奇跡なんだというようなことでもあって、それを伝えようとしている映画なんんじゃないかと思いました。
他にもいろいろと
そしてこの映画他にも語るべきことはあるような気がします。
個人的に一番驚いたのは、子供役の一人として橋本環奈さんが出演していたんだということです。
キャストを見るまでは分からなかったのですが、言われてみれば確かにそうじゃん!というような感じで自然に出演しています。
そして、弟が離れて暮らしている母親と電話で話すシーンはかなり感動的でした。
自分が父親に似ているから、母親は自分のことも嫌っているんじゃないかと思っているというようなことを言い、母親が涙するというシーンで、ここは相当いいシーンです。
是枝さんの作品ということで高いクオリティだということは間違いないのですが、この作品では特に自然体のこどもたち姿が描かれているなと思いました。