感想・解説『燃ゆる女の肖像』18世紀フランスの女性の恋愛を描いた

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久々に映画館で観た映画です。

『燃ゆる女の肖像』

2019年のフランスの映画で、日本では2020年12月に公開されました。

現代はフランス語で『Portrait de la jeune fille en feu』となっていて劇中に登場する燃ゆる女の肖像について描かれた作品です。

世界的なたくさんの映画賞にてノミネート、受賞をしていて高く評価されている作品となっています。

監督・キャスト

監督・脚本:セリーヌ・シアマ
マリアンヌ:ノエミ・メルラン
エロイーズ:アデル・エネル
ソフィ:ルアナ・バイラミ
伯爵夫人:バレリア・ゴリノ

story

画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋に落ちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた-。

https://gaga.ne.jp/portrait/

18世紀フランスの恋愛映画

『燃ゆる女の肖像』観てきました。

バタバタしていてあまり劇場で映画を見ることができていなかったのですが、この作品は面白そうだと思い、日比谷のTOHOシネマへ行きました。



実際に、世界的に高く評価されている作品でもあり、映画館にはたくさんのお客さんが訪れていました。

この映画は18世紀のフランスを舞台とした恋愛映画となっています。

監督はフランスのセリーヌ・シアマさんという方で、42歳というまだ若い女性監督となっています。



出演者はメインとなるマリアンヌとエロイーズをノエミ・メルランさん、エロイーズをアデル・エネルさんという方が演じています。

他の出演者もほぼ女性のみとなっていて、女性の作った女性の映画という感じの作品となっています。

とある島に訪れた女性画家

この映画はマリアンヌという女性画家がとある島を訪れるところから始まります。

マリアンヌは屋敷の夫人から娘の見合い用の肖像画を書くことを依頼されます。



しかし、次第にその仕事は普通の肖像画を書くだけというだけではないことを知っていきます。

過去に依頼された画家は肖像画を描くことができずに放棄したこと。

依頼されたモデルであるエロイーズの姉は結婚を目前にして自殺をしているということ。



どこか不穏な背景を知りながらも、マリアンヌはエロイーズのことを知り、肖像画を描こうとしていきます。

最初は顔を見ることも許されなかったのですが、次第に信頼感を深め、一度完成した肖像画を否定されながらも、その後モデルとなり描かれることを了承します。



次第に二人は特別な感情を抱き始め、さらに深い仲へとなっていきます。

しかし、肖像画の完成とともにマリアンヌ滞在期間も終わりとなり、二人は別れることとなるのですが、その後も二人はお互いを思い続けることとなるのです。

映像の全てが美しすぎる

この映画を澪えてまず思ったことは、全体を通して本当に綺麗な作品だったな・・・ということです。

映し出されている情景の全てが本当に綺麗で、シーンの全てが一つの絵画のようになっています。



18世紀のフランスが実際にどのような場所だったのか見ることはできないのですが、この作品では限りなく美しい場所として描かれています。

映画の舞台となっているのはとある島となっていて、映画のほぼ全てがここで完結するのですが、そこにある屋敷や、海は本当に綺麗です。



おそらくこの作品の作り手は世界そのものの美しさを信じていて、その全てに対して肯定的な人たちなんじゃないかと思いました。

劇中、とあるお祭りのようなシーンがあるのですが、ここも本当に象徴的というか、重要な場面となっています。

ここは劇中多分唯一音楽が使われているシーンでもあるのですが、かなり印象的なシーンとなっています。

女性が見たら

この映画を見終えて思ったことは、女性がこの作品を見たらどう思うんだろう?ということです。

この作品は出演者も監督もほぼ女性ばかりで、内容も女性を描いた作品となっています。



そして、メインとなる三人、マリアンヌとエロイーズ、屋敷に仕えているソフィはそれぞれ異なる境遇で、それぞれ異なる現実と直面しています。

それは女性と仕事であったり、定められた結婚、望まぬ妊娠と中絶というような、現代にも決して切り離すことのできない現実です。


そんな中で彼女はどうすることもできない部分と、どうにかすることのできる部分とを探し、なんとかして現実と向き合っていきます。

当時のフランスと今の世界とでは違っていることがたくさんあります。

しかし、この作品描かれていることは女性にとってすごく本質的なことであり、普遍的なことでもあるのです。

自分は男で、おそらく本質的に彼女たちのことを理解することは難しいかもしれません。

でも、こういう映画が作られ、見るということはすごく重要で意味のあることなのではないかと思います。

ラストシーンは・・・

そして、この映画のすごいところは印象的なラストシーンにあると思います。

映画の本編と言える部分は、マリアンヌとエロイーズが島で別れるところで一つの終わりとなるのですが、その後に二段階の後日談が描かれます。



そこではエロイーズがマリアンヌのことを想い続けていることが描かれ、さらに最後にとある形での再会が描かれています。

このシーンの意味は明確には示されておらず、解釈が開かれるような形となっているのですが、映画を見た人であれば必ず感じることがあるシーンとなっています。


このラストシーンも含め、ちょっと難しい作品でもあるなとは思いました。

いわゆる普通の娯楽映画ではないですし、見る側が思考をしなければいけないようなシーンもあります。

でも、トータルとして本当にすごい作品なのだということも分かりました。

おそらく50年後の人が見ても響くことのある作品ですし、もちろん現代の人が見ても感じるところのある作品です。

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