感想・解説『夜の桃:石田衣良』一人の男と三人の女が・・・

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勧められて読んだ本。

『夜の桃』

日本の小説家石田衣良さんによる長編小説で、2008年に新潮社より単行本が刊行されました。

2010年には新潮文庫より文庫版も刊行されています。

あらすじ

数億円のローンを組んだ家、高性能なドイツの車、イタリア製のスーツ、スイス製の機械式腕時計、広告代理店勤務の可愛い愛人……すべては玩具にすぎなかった。幸福にも空虚な日々に流される男が出会った、少女のような女。その隠された過去を知り、男は地獄のような恋に堕ちた。東京のニュー・バブルの中で、上下にちぎれていく格差社会に楔を打ち込む、性愛。デビュー10周年の著者が挑む、渾身の恋愛長編。

https://www.shinchosha.co.jp/book/459503/

石田衣良さんの長編小説

『夜の桃』読みました。

この小説は石田衣良さんによる長編小説で、今から10年以上前に刊行されていた作品です。



石田衣良さんといえば、池袋ウエストゲートパークシリーズが有名で、他の作品はちらほら読んだことがあるという作家さんです。

個人的には決して嫌いな作家さんではなく、いい意味ですごく普通の感覚の話を書く方だなという印象です。



いわゆるたくさんの普通の人たちが好みそうなエンターテインメント性みたいなものをしっかりと込めていて、それらは映画やドラマとして映像化することによって、より際立つことも多々あるような気がします。

ウエストゲートパークのシリーズなんかはまさにその成功例というべき作品で、あの作品の窪塚洋介さんには強烈な印象を受けました。

この作品は

そんな石田さんによって書かれたこの『夜の桃』なのですが、この作品はちょっと変わっている作品です。

というより、簡単にいうと一人の男が3人の女性とセックスしまくるという話です笑



主人公となっているのは資本主義の社会において成功を収め、手にできるたくさんのものを手にしている人物です。

仕事で成功し、美しい女性と結婚し、それとは別に愛人がいてというような人物です。

それでいてそこまで浮世離れしすぎていないようにも描かれていて、誰しもこんな人物を思い浮かべることができるんじゃないか、というような成功者のラインで描かれています。

読む人によっては

読み終えた感想としては、ちょっと万人受けするような作品ではないのかな〜というような印象でした。

というよりは、それを書き手も分かった上で、こういう作品を描いてみたかった。というような類の作品のような気がします。

とにかく、こういう話を書き始め、書き切ってみたかったという作品のような気がしました。



全体を通して結構男目線の小説ともなっていて、都合の良い展開も結構あったりします。

なので、女性が読むと不快感を感じるような人もいるかもしれません。

女性は男を引き立てるための都合の良い存在として描かれているような気がするからです。



ラストはちょっと意外な展開といえばそうですが、考えてみるとそりゃあそうだよなという形になっていました。

好き放題していた男に天誅が下るというか全てを失う方向へ向かい、最後にちょっと希望あり・・・みたいな感じです。



最後の最後まで男が失敗せず、罰せられることもなく書き切った方が、ある意味では意外なラストなのかもしれないなーとか思いました。

非常に読みやすい感じの

というような内容の小説ですが、全体を通してすごく読みやすくはなっているなーと思いました。

難しい思想的なことや、状況はあまりありませんし、リアリティを欠いたような展開もありません。

あくまでも現実的なラインで話は進んでいき、最後までそれを通している作品です。

普段あまり本を読まないけれど、ちょっと刺激のある本を読んでみたいなーという人にはおすすめの1冊かもしれません。

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