
ある事件をモチーフにした映画です。
『友罪』
薬丸岳さんの小説を原作とする日本映画で、2018年5月25日に公開されました。
監督は瀬々敬久さんで主演は瑛太さんと生田斗真さんとなっています。
他、夏帆さん、山本美月さん、佐藤浩一さん、奥野瑛太さんなどが出演しています。
story
ジャーナリストの夢に破れて町工場で働き始める益田と、同じタイミングで工場勤務につく鈴木。鈴木は周囲との交流を避け、過去を語りたがらない影のある人物だが、同い年の2人は次第に打ち解け、心を通わせていく。だが、あるきっかけから、益田は鈴木が17年前の連続児童殺傷事件の犯人ではないかと疑い始め…。
https://www.cinemacafe.net/article/2018/05/26/56903.html
ある事件を思わせる
映画『友罪』観ました。
この作品は薬丸岳さんの同名小説を原作とする日本映画で、2018年に公開された作品です。
主演は瑛太さんと生田斗真さんとなっていて、他佐藤浩一さんや山本美月さん、夏帆さんなど実力のある俳優さんたちが多数出演しています。
原作は読んでいなかったのですが、この作品はある事件をモチーフにされています。
それは1997年に起こった神戸連続児童殺傷事件です。
いわゆる”酒鬼薔薇事件”と呼ばれる日本中に衝撃を与えた事件です。
その殺害方法だけでなく、マスコミへ対して声明文を送ったりと、いろいろと話題になっていた事件なのですが、調べれば調べるほどすごい事件だったんだな・・・という感じの事件です。
当時僕は子供だったのでそこまでの話題になっていたことは知らなかったのですが、この事件に関わる本を読んだことがきっかけで調べ始め、この『友罪』も見つけました。
二人の青年が
この映画では、ある町工場で二人の青年が働き始めるところから始まります。
それが瑛太さんと生田斗真さんなのですが、二人ともがどこか訳ありな感じでそこへたどり着いています。
それが次第に明らかになっていくという話となっています。
二人は次第に距離を縮めていくこととなるのですが、相手の持っているあまりにも凄惨な過去を知ることとなっていきます。
酒鬼薔薇事件における”少年A”的な役となっているのが瑛太さんの演じている鈴木という人物です。
彼は閉鎖的で何を考えているか分からない部分がありながらも、少しずつ心を開いていきます。
しかし、彼は奥に秘めた何かを持っていて、それが明らかになっていきます。
罪とどう生きるか
この映画では罪とどう向き合い、どう生きていくかということが一つのテーマになっています。
結構驚いたのですが、酒鬼薔薇事件の犯人である14歳の少年は今もまだ生きていて、結婚して子供もいるそうです。
人として正しい生き方をしているはずなのですが、事件のことを知った後、彼に対して多くの人は何を思うでしょうか。
例えば、そういう人が同じ仕事場にいたり、我が子が結婚相手として連れてきたりした時、普通に接することができるでしょうか。
僕がそういう立場だった場合、普通に接することができる自信は正直ありません。
表面上やることはできるかもしれませんが、きっとどこか恐怖感のようなものを覚えてしまう気がします。
この”過去の罪”と”それに対する周囲の人たち”こそがまさにこの映画で描こうとしていたことで、その難しさも描かれています。
恋人となる
この映画では瑛太さんの演じる鈴木と恋人関係になる女性が登場します。
それが夏帆さんが演じている人物なのですが、彼女とのシーンも結構激しいシーンがありました。
彼女の身の上話のような部分はちょっとステレオタイプ的で、若干誇張されている感じもしましたが、ああいう人物が鈴木と心を通わすというのは納得感あるようにもなっているような気がします。
それにしてもこの鈴木という人物、実写として演じて、それを撮るのって結構難しいだろうな・・・という感じもしました。
小説であれば、登場人物の細かい仕草や、表情なんかは描くことができないので、読者へ委ねることもできます。
しかし、映画であればそれを映像として撮らなければなりません。
あまりにも変な人となってしまうと『こんな人いないだろ・・・』と冷めてしまいますし、かと言ってちょっと理解できない人物として鈴木は描かれています。
こういう映画や、こういう役って大変だろうな・・・と。
他人だからこそ事件に興味が湧く
個人的には酒鬼薔薇事件に関しては結構興味を持ってしまっています。
それはきっと僕が事件と遠く離れたところにいる他人だからかもしれません。
こういう事件を報道することに対する描写もあったりしましたが、知りたい人がいる一方で、知らせたくない人もいるはずなのです。
酒鬼薔薇事件の犯人は元少年Aとして『絶歌』という書籍を出版しています。
自分で書いた本ということで、批判的な意見もあったりもしますが、僕はこの本を読んでみたいなと思っています。