感想・解説『アメリカン・スナイパー』実在した伝説のスナイパーを描いた

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観たいと思っていたイーストウッド監督作です。

『アメリカン・スナイパー』

クリント・イーストウッド監督によるアメリカ映画で2014年に公開されました。

伝説の狙撃手として実在したクリス・カイルという人物をモデルとした伝記的作品で、アメリカでの戦争映画としては史上最高の興行収入となっている作品です。

主演はブラッドリー・クーパーとなっています。

story

テキサスに生まれたカイルは、厳格な父親の元、狩猟を教えられながら育つ。

時は流れ、ロデオとして暮らしていたカイルだったが、アメリカ大使館爆破事件をきっかけに、軍に志願することを決める。



厳しい訓練を通り抜け、アメリカ最強の部隊であるネイビーシールズに配属されたカイルは、恋人であるタヤとともに幸せな日々を送っていた。

そんなある日、同時多発テロ事件が起こり、カイルは戦地への派遣命令が下される。



イラク戦争で狙撃手としての才能を発揮したカイルは、その戦果から軍内では伝説と称されるようになるが、戦争はカイルの心を少しずつ蝕んでいき・・・。

そのうち観たいと思ってましたが・・・

映画『アメリカン・スナイパー』観ました。

クリント・イーストウッドさんの監督作品はいつかまとめて見たいなと思っていて、『アメリカン・スナイパー』もその一つでした。



休みの日に少し時間があったのでAmazonPrimeで観たのですが、これがまたかなり重い内容でした・・・。

軽い気持ちで観れるような内容ではなかったのですが、個人的には観てすごく良かったなとも思っています。



この映画には確かに存在している世界の一端が含まれているような気がするからです。

それはきっと多くの人が普通に生活しているだけでは目にすることのないものでもあります。

そして、可能であれば目を背けたくなるようなことでもあると思いました。

実在した『伝説』の

この映画は実際に存在したクリス・カイルという人物の半生を描いた自伝的映画となっています。

テキサスの生まれである彼は、ある出来事をきっかけにアメリカ最強の部隊と言われるシールズに志願します。



厳しい訓練を潜り抜け、イラク戦争へ派遣されることとなるのですが、そこでの体験が次第に彼を変えていきます。

アメリカの部隊であるシールズは名前はなんとなく聞いたことがあったのですが、この作品をきっかけに調べてみると、相当凄い集団なんだなということが分かります。



劇中で描かれている訓練もかなりハードな様子で、具体的に説明はないのですが、泥の中とシャワーで水をかけられ続けるのを繰り返す。というような訓練をしていました。

そんな訓練をくぐり抜け入隊を果たしたカイルなのですが、当時多発テロをきっかけに起こったイラク戦争で派遣されることとなります。

そこには、訓練を遥かにに上回る凄惨な現実があったのです。

鏡像関係の

戦果を上げていき、次第に隊内では伝説ともてはやされるようになるカイルは敵側のスナイパーと対峙することとなります。

相手は元オリンピックメダリストなのですが、この描き方は個人的にはすごく上手いな・・・と思いました。



カイルは祖国に妻と子供を持っています。

しかし、対峙する相手のスナイパーにも家族と子供がいることが示されます。

これは、自分が思っていること、感じていることは相手もそう思っているのだということでもあります。

それぞれ自分の正しさを信じていて、自分の行いを『正義』だとして行動しているのです。



この辺りはとても深いところだなと思います。

カイルと対峙する敵のスナイパーは意図的に鏡像関係となるような描き方をされています。

自分が大切だと思っているものを相手も持っていて、それを奪われることの恐ろしさを誰よりも理解することもできるのです。

戦争から帰ってきて

この映画では戦争から帰ってきた人がどのようになってしまうのかという部分もすごくリアルに描かれている気がしました。(実際に見たことはないので分かりませんが)



戦地では毎日が命がけです。毎日どころか毎秒が命がけの緊張状態なのです。

そんな場所から普通の生活へと戻っても、心は簡単には戻ってきません。

妻であるタヤはそれに苛立ち、なんとかしようとするのですが、彼の心を戻すことはできないのです。



おそらく、戦争の凄惨な様子を知っている人は、もとの世界に戻ったとしても、どこかで誰かが戦争をしているのだということが頭から離れないのではないかと多いました。

自分が楽しんでいる時も誰かが命がけで国のために戦っている。

そこに自分がいれば、少しでも敵を殲滅できたり、味方を守れるかもしれない。

自分は一体何をしているんだろう?と思うのかもしれません。

ラストは意外な結末で

映画を観た人ならば分かると思いますが、ラストは意外な終わり方をします。

戦地でのラストシーンも本当にカオスのような状態で、普通の生活に戻ったかのように見えるカイルも、もう完全に元の彼ではありません。



ラストの直前に、妻に銃口を向けるシーンは驚きました。

冗談と言い、笑い合っているのですが、やはりどこか何かが欠けているのでは・・・という印象を受けてしまうのです。



イーストウッドさんの映画は、数本しか見れていないのですが、どれもずしんとくる作品が多いです。

そして、人が目を背けたいと思うような世界の一端を描き出しているような映画が多いです。



でも、こういう映画こそ作られ、残すべき映画だなとも思います。

アメリカ人だけでなく、たくさんの人が見るべき映画です。

こうやって考えると日本って平和だなとも思いました。

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