
タイトルに惹かれて読んだ本。
読みやすくて、面白い内容でした。
『格差は心を壊す 比較という呪縛』
イギリスの経済学者であるリチャード・ウィルキルソンさんと、ケイト・ピケットさんによる著作で、2020年4月3日に東洋経済新報社より単行本が刊行されています。
全ての人にとって他人事ではないとも言える格差の問題を様々な角度から考察したレポートをまとめたものとなっています。
日本語訳は川島睦保さんによるものとなっています。
書籍紹介
イギリス格差研究の第一人者による渾身のレポート!
https://str.toyokeizai.net/books/9784492315262/
私たちを追い詰める“他人の目”という呪縛。
激しい格差は、人類の競争本能を暴走させる。
下流も上流も息苦しい社会の変革に必要なこと。
格差があるということ、問題があるということ
『格差は心壊す 比較という呪縛』という本を読みました。
本のタイトルからして、個人的にはすごく興味をそそられる感じとなっている本で、Amazonで見つけて購入。
本文は400ページちょいのなかなかの厚い本となってはいますが、とても読みやすく、分かりやすくまとめられていると思いました。
グラフや挿絵なんかも使われていて、スラスラと読むことのできる本です。
しかし、扱っている内容的にはなかなかに重たいものとなっています。
この本は世界のあらゆるところに存在している『格差』というものに焦点を当てている本です。
それは国による違いもあれば、同じ国の中で存在している格差もと、様々なものとなっています。
格差は体に悪い
格差は決していいものではない。ということはおそらく多くの人が肌感覚的にわかっていると思います。
しかし、それが実際にどのようなもので、どう悪いものなのかということに関し、詳しくは知らないのではないでしょうか。
この本ではそんな問題に関して、様々な角度から考察がなされています。
例えば、格差と健康問題。
この本では、格差における低い位置にいる人ほど健康上の問題を抱えている割合が高まると書かれています。
そして、格差は人々の劣等感や虚栄心にも大きな影響を持っています。
人は劣等感を抱えることで精神的に病むこともあり、その結果として即物的な虚栄心の満たし方へと繋がっていたりもします。
じゃあ、どうすればいい?
この本で扱われていることは僕にとっても、そして全ての人にとって他人事ではありません。
しかし、だからと言ってどうすればいいのでしょうか?
格差は悪いことだと知ったところで、日本という先進国に生きている僕らも格差から恩恵を受けている部分もあります。
格差があるからこそ得られている利益もあるはずで、それを根本的に変えることは極めて難しいです。
そして、そんな日本国内においても格差が存在しています。
それはまさに比較という呪縛とも言えるようなもので、格差と比較には逃げ場がないとも言えます。
優越感を持っているとしても、必ず自分よりも上に誰かがいることも避けられず、比較することによって劣等感を感じることとなります。
どうすればいいんだろうな〜・・・という感じです。
ありのままで生きる
この本で書かれていることは、まさに最近僕が考えていたことでもありました。
比較から満足や劣等意識を抱くことって、本当に終わりがないというか、突き詰めるほど不可能なことなんじゃないか・・・とかいうことを最近よく思っていました。
上には上がいるし、かといって下がいると思うことによる優越意識も決して健康的なものではないだろうなーと。
だからと言って避けられる問題でもなく、どう生きていくのが一番なんだろうなーとか思ったりしていました。
この本でもより良い世界のためにどうすべきかということが書かれています。
個人的にも、結局は『足るを知る』というか、自分なりの満足の基準を持って生きるしかないのかなと思います。
結局それが一番健康にも良く、周りの人とのつながりを大切にしていくしかないのかなーと。
そして一つ興味深かったことは、この本の中で日本は格差の少ない国として紹介されています。
日本に生きている人からしたら、『そんなことないんじゃないか・・・』と思うかも知れませんが、この本で主に扱われているアメリカやイギリスからしたらかなりマシな方だと言います。
それはちょっと嬉しかったりもしましたが、だからと言って比較からは避けられない・・・。
どうすればいいんだろう・・・と思いました。