
好きな書き手の一人である内田樹さんの本です。
『直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座』
武道家であり、神戸女子大学の元教授である内田樹さんによる著作で、2008年から6年以上にわたり『AERA』誌上で連載されていたコラムをまとめたものとなっています。
『内田樹の大市民講座』という名での単行本が2014年に発売されており、改題し文庫版として発売されたのが本書となります。
生き方・仕事論や、国際関係論、教育論、政治・経済論など様々なテーマが扱われており、文庫のための後書きが加筆されたものとなっています。
内容紹介
どうしたらいいか分からない! この人は信用できるのか?
そんな困ったときには思い切って自分の直感を信じてみよう。社会の価値観がブレるとき、案外頼りになるのは、生物学的にプリミティブな感覚だったりする。
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19183
パッと見て確信することや、一瞬のひらめきが、あなたの進む道を教えてくる。適切なときに、適切な場所で、適切なふるまいをする。
6年以上にわたるコラムを
『直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座』という本を読みました。
内田樹さんはすごく好きな書き手の一人で、読んでいない本を見つけるとすぐに買って読んでいます。
そんな中Amazonで見つけたのがこの本で、先日到着しました。
この本は『AERA』という雑誌の中で6年以上に渡って連載されていたコラムをまとめたものとなっています。
一つ一つの分量は短く、900字コラムがいーっぱい掲載されています。(一つは文庫版で約2〜3ページ)
読みやすいけどテーマは多彩
内田樹さんの文章はとても読みやすいです。
突き詰めた専門性は必要ない場合が多く、大学で先生をされていたということもあり、高校生から大学生くらいを読み手として想定しているような分かりやすい文章です。
それでいて、扱われているテーマは多彩です。
政治の話もあれば、教育に関する話もあり、生き方に関する話もあったりします。
2008年からの6年間といえば、いろいろなことが世間にも、内田樹さん自身にも起きているはずで、東日本大震災も起きています。
時事的なことも結構含まれていて、時代の空気が分からないような部分もあったりはしますが、普遍的な内容も多い気がしました。
見えない力を
内田さんは武道的な肉体性や、哲学的な精神性の力を信じている方です。
そして、そのような力のことを説得力のある言葉で他者へ提示し、伝えることもでいる人です。
少なくとも僕はそうやってそれらの力の存在と強さを伝えられた人間の一人です。
この本のタイトルにある『直感』という力もそのような力の一つです。
直感は誰しもが備えている本能のようなものであり、人に会ったりした時や、何処かへ行った時に、『なんかいいな』と思ったり、『なんかいやだな』と思う時があります。
それは意識的にやっていることでもなければ、その理由を明確に言語化することも難しかったりするものです。
しかし、そういった肌感覚のようなものは、実はとても重要なことで、直感的に感じる何かは、結構正しかったりもします。
それはある程度生きている人であれば何となく分かるのではないでしょうか。
その感覚をしっかりと持っていることは人としてとても大切なことで、危険な何かを事前に余地し、避けることへもつながります。
結果何も起きないように思える時も、実は何かが起こり得たかもしれないのです。
現代にも通ずる
内容的には数年前のものもありますが、現代にも通ずる知見がたくさんある本だと思います。
ネット上での誹謗中傷に関する『匿名の悪意』という話なんかは、つい最近話題になっていたことでもありましたし、リーダーシップや就活の話はいつの時代にとって重要な話題です。
こういう自分とは異なる考え方なんかは、やっぱり読書の醍醐味というか、自分一人では絶対にたどり着けないような考え方を知ることができます。
この本の中には結構日本に対する厳しい視点も書かれていたりもします。
しかし、それは日本という国この先を本気で考えているが故の憂いとも言えるのかもしれません。
この人は、日本の未来について本気で考えている人でもあると思います。
そんなこと思いました。