感想・解説『セデック・バレ 第二部:虹の橋』

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二部作の後編となります。

『セデック・バレ 第二部:虹の橋』

2011年の台湾映画で、日本では2013年に公開されました。

第一部、第二部からなる二部作となっていて、2013年4月20日に同時公開。


監督は台湾人監督のウェイ・ダーシェンさん。

1930年に日本統治下にある台湾で起きた霧社事件を描いたものとなっています。

story

連合運動会が開かれていた霧社公学校を襲撃したセデックの決起部隊の手によって、戦う術を持たない多くの日本人は女子供の区別なく命を奪われた。

日本軍は直ちに鎮圧を開始。山岳地帯の地の利を活かして戦うセデックの前に苦戦を強いられるが、圧倒的な武力を誇る日本軍と警察を前に、セデックの戦士たちは一人また一人と命を落としていく。

男たちが絶望的な戦いに挑むなか、セデックの女たちもまた選択を迫られ、それぞれが信じる道を選ぶことに。決着のときは近づいていた…。

http://www.u-picc.com/seediqbale/about.html

霧社事件とは?

1930年10月27日に台中州能高郡霧社(現在の南投県仁愛郷)で起こった台湾原住民による日本統治時代後期における最大規模の抗日暴動事件。

霧社セデック族マヘボ社の頭目モーナ・ルダオを中心とした6つの社(集落)の男たち300人ほどが、まず霧社各地の駐在所を襲った後に霧社公学校で行われていた小学校・公学校・蕃童教育所の連合運動会を襲撃。

日本人のみが狙われ、約140人が殺害された。

現地の警察には霧社セデック族の警察官が2名おり、彼らは事件発生後にそれぞれ自殺。その後の日本軍の反攻により、蜂起した6社の約1000人が死亡し、生存者約550人は投降した。

http://www.u-picc.com/seediqbale/about.html

決着までを描いた

『セデック・バレ 第二部:虹の橋』はセデック・バレ二部作の後編となる作品です。

第一部と同じく2時間越えの大作となっていて、第一部で起こった霧社事件の一応の決着までを描いている作品となっています。



前作では台湾原住民であるセデック族たちが立ち上がり、運動会の場にいる日本人たちを襲うところまでが描かれていました。

本作はその続きとなっていて、さらに激しい戦いが描かれています。



もうすでに事は始まっていて、それからどうなっていくかという部分なので、前作以上に激しいシーンが多いです。

日本軍も本格的に討伐するために動き出し、セデック族たちもそれに応戦していくこととなり・・・。

こんなに人が次々と死んでいく映画も久しぶりに観た気がしました。

女性たちの決意

この後編で一番といってもいいほどなかなか衝撃的だったのが、男たちの戦いに巻き込まれた女性たちがする”ある決意”と行動ではないでしょうか。



第一部の歌の歌詞にもあったように、女性たちはすべてのことをあらかじめ分かっているかのような節があります。

そして、いち早くこの戦いの向かう末を予期しある行動へと出ます。



ここはなかなか衝撃的でした。子供たちが泣き叫ぶ姿を見ても、きっと結末は同じだろうと彼女たちは決意を固めるのです。

ここは実はセデック族が持っている死生観を実は表しているシーンでもあり、先に虹の橋を渡るだけで、後で会いにきてくれというようなことを言っていたりもします。

花岡一郎と次郎

そして、この話において凄く微妙な位置にいる人物が花岡一郎と花岡二郎という二人の男です。

彼らは原住民でありながら表面上は日本人として暮らしています。



しかし、実際には彼らに対する差別意識はしっかりとあり、どちらにも深くコミットしていない、できない二人でもあります。

彼ら二人がの死のシーンと、死の間際に交わす会話はとても印象的でした。



彼らこそがこの争いの象徴とも言えるような存在でもあるのです。

『どちらでもない自由な魂になれ・・・』という台詞は深いな・・・と。

モーナ・ルダオは・・・

激しさを増していく戦いの中で、モーナ・ルダオはもう勝敗は決していることを感じます。

そして彼は姿を消すのです・・・。



ラストに彼の死体がどこで見つかり、どうなったかが示されていました。

これもとても印象的でした。

とにかく凄い映画・・・

2作見終えて、とにかく凄い映画を見たな・・・というような感じです。

霧社事件という事件のことすらまず知りませんでしたし、こんなに激しいことが約100年前に起きていたのか・・・という。



他にもいろんな視点から見ることのできる作品でもあります。

安藤政信さんの演じている小島という人物も微妙な立ち位置にいる人だったり、総司令官の心境の変化なんかもあったりして・・・・。



とにかく歴史的な出来事を描いているという意味でもすごく大切な作品だと思います。

そして、今を生きる僕らにも何かしら訴えかけるとことの多い作品でもあると思いました。

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