
『ボーダーライン』からのメキシコ麻薬ものです。
『カルテル・ランド』
『カルテル・ランド』(原題『Cartel Land 』)は2015年のアメリカのドキュメンタリー映画です。
監督はアメリカの映画監督であるマシュー・ハイネマンさん。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を始め、数多くの映画賞にもノミネートされている作品です。
作品紹介
メキシコのミチョアカン州。小さな町の外科医、ドクター・ホセ・ミレレスは、何年にもわたり地域を苦しめ続けている凶暴な麻薬カルテル“テンプル騎士団”に反抗するために、市民たちと蜂起を決行する。
https://www.youtube.com/watch?v=58UYDmgpsoc
一方、アリゾナ砂漠のコカイン通りとして知られるオルター・バレーでは、アメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコの麻薬が国境を越えるのを阻止するため“アリゾナ国境偵察隊”と呼ばれる小さな自警団を結成していた。
二つの組織は徐々に勢力を強めるが、組織の拡大とともに麻薬組織との癒着や賄賂が横行してしまう。
正義の元に掲げた旗は徐々に汚れ、善と悪のボーダーラインは不鮮明になっていく…。
映画監督のマシュー・ハイネマンはメキシコ麻薬戦争最前線に乗り込み、決死のレポートでメキシコとアメリカの魔の連鎖、そして、肥大化した組織がたどる皮肉な秩序の崩壊を暴いていく。
メキシコの麻薬カルテルとは
映画『カルテル・ランド』観ました。
少し前に『ボーダーライン』という作品を観てメキシコの麻薬というものの異常性を知り、興味が湧き見つけた作品です。
近くのレンタルショップにはなく、YouTubeでレンタルして観ました。(初めて使ったんですが、結構いろいろありました。300〜400円で観れます。)
この『カルテル・ランド』という映画は、メキシコの麻薬カルテルの実態を描いたドキュメンタリー作品となっています。
メキシコの麻薬問題、これは本当に根が深く、知ったところで『じゃあどうすればいいのか?』という答えを誰も持っていないことでもある気がします。
麻薬は体に悪く、悪いことだと誰もが知っていて、それが蔓延っていることも知っている人はたくさんいます。
それでも、どうすることもできないのです。
一体それは何故なのか?
この映画はその一端を知ることのできるような、ドキュメンタリーとなっています。
語られていく二つの話
この映画では二つの話が並行して語られていきます。
一つは、メキシコのミチョアカン州という場所でカルテルに対抗すべく立ち上がる自警団の話です。
一人の医師を中心として市民たちが立ち上がり、カルテルに対抗していくという話です。
もう一つはアメリカとメキシコとの国境で麻薬の国境越えを防ぐべく活動している退役軍人の話です。
それぞれ麻薬をなんとかしようと動いていくのですが、なかなか本質的に何かを変えることが難しい様子が描かれていきます。
どうすればいい?
映画の冒頭は麻薬を作る仕事に従事している人たちの言葉から始まります。
貧しい生まれの自分たちにとって、まともな仕事につくことのできる唯一の可能性なんだというようなことが語られます。
貧しい人たちにとっては、麻薬でお金を得ることは人生を変える唯一の希望でもあるのです。
もう冒頭のここを観ただけで、何故麻薬が決して無くならないかは示されている気がしました。
自分たちの作ったものが体に悪く、誰かを壊すことなることは『分かっていても』、それに関わることでしか自分を救う道はないのです。
他の誰かのことなど考えている余裕のない人たちにとって、普通の法や善悪の規範を示すことは意味を持たないのです。
残虐なシーンは少なめ
ドキュメンタリーというだけあり、直接的な残虐なシーンはあまりなかった気がします。
そんな場面をカメラに収めたとしても、それを放映することは難しいのかもしれません。
(そこはフィクションである『ボーダーライン』の方がよっぽど激しかったです。)
普通に人を撃つシーンが何度もありましたし・・・。
この『カルテル・ランド』は事態は思わぬ方向へと進んでいきます。
それは、この麻薬問題の複雑さを捉えているようにも思えました。
終盤に語られる二人の言葉はすごく響きました。
特に国境で自警団をしている軍人の話は痺れました。
誰かが行動を起こさない限り決して何かが変わることはないと。
本当に一筋縄ではいかない問題なんだな・・・と改めて思いました。
関連する本とかも読んでみたいです。