
そのうち見たいと思っていた作品。
AmazonPrimeにて鑑賞。
『犬猿』
2018年に公開された日本映画で、監督は『ヒメアノ〜ル』などの吉田恵輔さん。
出演は窪田正孝さん、新井浩史さん、お笑いコンビ・ニッチェの江上敬子さん、筧美和子さんなどとなっています。
STORY
金山和成(窪田正孝)は地方都市の印刷会社で働く営業マン。
http://kenen-movie.jp
イケメンだが、真面目で堅実な彼は、父親が友人の連帯保証人になって作ってしまった借金をコツコツと返済しながら、老後のために毎月わずかな貯金をする地味な生活を送っていた。
そんなある日、彼のアパートに、強盗の罪で服役していた兄の卓司(新井浩文)が刑期を終えて転がり込んでくる。卓司は和成とは対照的に、金遣いが荒く、凶暴な性格でトラブルメーカー。
娑婆に出てきて早々にキャバクラで暴れたり、弟の留守中に部屋にデリヘルを呼んだりとやりたい放題。和成はそんな卓司に頭を抱えるが、気性の激しい兄には文句のひとつも言えない。しかし、和成はそんな卓司のことを密かに天敵だと思っていた。
一方で、そんな和成に仄かに恋心を抱いている女性がいた。和成が頻繁に仕事を依頼する、小さな印刷所を営む幾野由利亜(江上敬子)である。
親から引き継いだ会社を切り盛りする彼女は勤勉で頭の回転も速く、寝たきりの父親の介護もしながら仕事をテキパキとこなす“できる”女だが、太っていて見た目がよくない。
その彼女にも実は天敵がいた。妹の真子(筧美和子)だ。由利亜の下で印刷所の手伝いをしている彼女は、姉と違って仕事の要領が悪く、頭も決してよくないが、顔やスタイルの良さから、時々グラビア撮影やイメージビデオに出演するなど芸能活動もしていて、取引先の男性にも人気がある。
由利亜は仕事もできないくせにチャラチャラして、チヤホヤされているそんな妹にいらつき、真子もまた節制できずにぶくぶくと太っている姉のことを小バカにしていた。
兄弟姉妹を描いた
映画『犬猿』見ました。
この作品のことは知っていて、宇多丸さんの映画評なんかでも聞いていたので気になっていた作品ではありました。
なかなか時間が取れず、観る事ができていなかったのですが、今回コロナウイルスの影響で外出自粛中ということでようやく観る事ができました。
この映画は二組の兄弟と姉妹がいて、なんともいえない感情を抱いている者同士の絶妙な関係を描いている作品です。
吉田監督の映画は『ヒメアノ〜ル』だけ観た事があったのですが、これもなかなか凄い作品です。
最初はごく普通の日常が描かれている『ように見える』のですが、水面下ではこの上なく残酷で、救いようのない世界が蠢いています。
序盤からずーっと不穏な空気感が続いていて、一体どこでそれが表面化するんだろう・・・と思いながら見るような作品です。
そして、この『犬猿』という作品も同じ監督というだけあって、そのような要素が詰まっている作品となっていました。
兄弟とは姉妹とは
この映画に登場する二組の兄弟と姉妹。
兄弟の方は新井浩史さんと窪田正孝さん、姉妹の方は江上敬子さんと筧美和子さんがそれそれ演じています。
この二組の兄妹、みんなが不完全性を持っていながらも、なんとか自分の存在の正しさを求めてもがいている人たちでもあります。
そして、おそらく兄弟や姉妹のいる人ならば誰しもが共感してしまうようなあるあるで溢れています。
それは決して簡単に切り離す事ができないが故に厄介で、少しだけ愛おしいものでもあります。
僕にも兄がいて、二人妹がいます。
いわば主観的にこの映画を体感するとともに、客観的に見ることのできるような感じもあるのです。
この映画はなかなか意地悪なシーンが結構あったりして、ずーっと緊張感ある感じで序盤は進んでいきます。
緊張の糸が切れるかのように
観ている人は、きっとどこかで決定的な何かが起こるんだろうな・・・と思いながら観ていくこととなります。
そして、中盤のある時点でその緊張の糸が切れるかのように、激しい出来事が起きていくのです。
この感じは結構『ヒメアノ〜ル』にも通ずる部分があるなーと思いながら見ていました。
最終的に兄妹姉妹は和解したかのように描かれているのですが、実は問題は決して何も解決されてはいない・・・という感じで終わります。
登場人物はそれぞれ違ったイヤーな感じを持っています。
しかし、おそらくそれは多かれ少なかれ誰しもが持っている部分でもあるような気がしました。
だからこそこの映画は意地悪だな・・・とかより思ったりもして。
家族だからこそ
そんな作品ではあるのですがやっぱりこの作品はトータルとして、家族や兄妹というものを肯定している作品でもあるなとも思いました。
ラストのちょっと取ってつけたような感動シーンあったりもしますが・・・。
なんだかんだで僕は個人的にこの作品は嫌いではありません。
兄妹がいる人であれば、一度は見て見ていいのではないでしょうか・・・。
見終えてみて分かったのですが、冒頭にあったCMのシーン、あれ相当な残酷な意味を持っているものでもあったりしました・・・。
怖い怖い・・・