感想・要約『チェルノブイリ・ダークツーリズムガイド』

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チェルノブイリ関係の本探していて読みました。
日本にとっては希望ともなる本でもあるなと思いました。

内容紹介

「観光地化する原発事故跡地!」

誰も知らない、あの悲劇の27年後とは――
3.11後に福島で取材を重ねた東浩紀・開沼博・津田大介の3名が、チェルノブイリへの取材を敢行。

立入禁止区域内、廃墟と化した周辺自治体、そして原子力発電所内部を巡りながら、未だ収束しない事故現場でさまざまな関係者の声を聞きました。写真家・新津保建秀の美しくも緊張感の漲ったグラビアとともに、その現場を子細にレポートします。

東浩紀によるツアー手記や開沼博による論考、津田大介によるルポルタージュに加え、観光学者・井出明による世界の「ダークツーリズム」スポットのガイドや、速水健朗による「空想のなかのチェルノブイリ」文化論、ロシア/ウクライナの専門家によるコラムなども充実。

1986年に起きたレベル7の原発事故から四半世紀。チェルノブイリの「現在」から、日本の「未来」を導きだす一冊です。

続く思想地図β4-2「福島第一原発観光地化計画」と対を成す、思想地図βシリーズの新境地!

https://www.amazon.co.jp/チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド-思想地図β-vol-4-1-東-浩紀/dp/4907188013

観光地としてのチェルノブイリ

最近気になっているチェルノブイリ原発事故。

きっかけは『チェルノブイリ』というアメリカのドラマでした。

このドラマは本当に傑作で、一人でも多くの人が見て、もっと言えば人類史に残していいくらいものだと個人的には思っています。



そして、そのチェルノブイリの原発事故に関する本として読んだのがこの『チェルノブイリ・ダークツーリズム』という本です。



この本は、僕も会員となっているゲンロンから出版されているもので、その代表である東浩紀さんによる編集となっています。

事故から30年弱の時間が流れたチェルノブイリの地を訪れ、そこで何を感じ、何を見て欲しいのかをまとめた本となっています。

壮絶な事故の後

チェルノブイリの原発事故について、知っている人は知っているかもしれませんが、想像を絶するほどのとんでもない大災害です。

ドラマ『チェルノブイリ』を見ればその全容がとても分かりやすく理解できると思うのですが、人類史上類を見ないよう未曾有の大事故となっています。



その跡地には今も放射線を発している物質があったり、人があまり住んでいなかったりと事故の名残が強く残っています。

そんな負の遺産とも言える場所でもあるのですが、そのような場所に『観光』として訪れるようなことを『ダーク・ツーリズム』と言います。



広島や長崎、沖縄なんかも実はそのような土地でもあり、修学旅行なんかでダーク・ツーリズムをしていたりする人も多いと思います。

そんな土地に対し、この本では様々なアプローチでチェルノブイリのことを紹介しています。



写真を交えながら実際に訪れた東さんたち一行によるレポのような部分もあれば、実際に内側にいる人たちのインタビューもあります。

そして、開沼博さんによる論考なんかもあったりして様々な角度からチェルノブイリ という土地のことを紹介しているのです。

希望ともなる

そして、東浩紀さんたちは『福島第一原発観光地化計画』として日本のフクシマを考えている人たちでもあります。



2011年東日本大震災の後、日本の福島第一原発でもチェルノブイリ と同じ危険レベルとされる事故が起きています。

国内でたくさんの死者や被害者を出し、今もまだ続いていることでありながらも、日本ではこの事故を腫れ物として扱っているような部分があります。



『福島第一原発観光地化計画』は、そんなフクシマという地を観光地として最高できないかということを目指すプロジェクトとなっています。

その参考として最も適しているのがこのチェルノブイリという地なのです。



チェルノブイリは今では危険度の低い場所には入ることもでき、ツアーガイド付きのツアーもたくさんあると言います。

そして、世界からたくさんの人が訪れているのです。



忘れてはならない負の遺産ではありながら、たくさんの人を惹きつける土地ともなっているのです。

無知であることと現在進行形であること

この本に掲載されているインタビューや論考などを読んで、強く印象に残っていることが、

チェルノブイリはまだ終わっていない』とうことと、『正しい知識を持っていないことが最も恐ろしい』ということです。



この二つのことはいろんな人の口から本書の中でも繰り返し登場しているフレーズでもありました。



チェルノブイリは一応収束してはいるものの、まだ決して終わってはいません。

『現在進行形』でまだ続いている悲劇でもあります。

そして、一番恐ろしいことが『無知』であることも書かれていました。

『真に恐ろしいのは放射線そのものよりも、正しい知識がないことによる差別や偏見だ。』というようなことが書かれていて、なるほどな・・・と思ってしまいました。



確かに、日本で起きた福島第一原発の事故のことをどれだけ詳しく知っているでしょうか。

僕自身、恥ずかしく思うほど全然知らなかったのだと強く思いました。



そして、正しく真実を知ることなく『なんとなく』のイメージを持ってしまっていたのです。

確かに、これこそが原発事故における一番恐ろしいことでもあるかもしれないのです。

一度行ってみたい・・・

この『チェルノブイリ・ダークツーリズムガイド』にはいろんな情報が詰め込まれています。

単純に旅行のガイドとしても普通に使える本でもあると思いました。



この本を読んでチェルノブイリについてさらに興味が湧きました。

一度行ってみたいな・・・と。

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