感想・要約『勉強の哲学 来るべきバカのために(増補版):千葉雅也』

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『面白い本読んだー』という感じでした・・・。

『勉強の哲学 来るべきバカのために』

哲学者であり、立命館大学の准教授でもある千葉雅也さんによる著作で、2017年4月11日に単行本が発売されました。

2020年3月には補章が加筆された増補版が文春文庫より刊行されています。
(今回読んだのはこの文庫版)

内容紹介

勉強ができるようになるためには、変身が必要だ。
勉強とは、かつての自分を失うことである。
深い勉強とは、恐るべき変身に身を投じることであり、
それは恐るべき快楽に身を浸すことである。
そして何か新しい生き方を求めるときが、
勉強に取り組む最高のチャンスとなる。

日本の思想界をリードする気鋭の哲学者が、
独学で勉強するための方法論を追究した本格的勉強論!
文庫本書き下ろしの「補章」が加わった完全版。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167914639

気になってはいたけれど・・・

千葉雅也さんの著作である『勉強の哲学 来たるべきバカのために』。

たびたび書店で見かけていて、気にはなっていたのですがなかなか読めずにいた本でした。



今回、文庫版が発売されているのを見つけ、すぐさま手に取り購入。読んでみました。

感想からいうと、めちゃくちゃ面白い本でした・・・。



佐藤優さんによる解説にも書かれているように、深く勉強するとはどういうことかを正面から書いた名著ではないかと思いました。

アイロニーとユーモア

本書は全4章プラス補章からなっていて、前半は結構抽象的な描き方をされている部分もあります。

でも、最後の4章はとても具体的に書かれていて、トータルとしてとても分かりやい本となっていると思いました。



本書は勉強するとはどういうことかということを正面から、それでいて独自の視点から書いている本です。

誰しもが多かれ少なかれやっている『勉強』という行為。
これはどういうことなんだろう。ということを改めて考えさせられます。



中でもアイロニーユーモアということが重要な視点として書かれています。

勉強するにあたり、アイロニカルな視点と、ユーモラスな視点が重要になってくるというのです。



アイロニーとは、『疑う』という姿勢のことです。

前提とされているようなことの根拠を疑い、根拠を突き詰めていく姿勢のことです。



それに対し、ユーモアとは水平的に広がる思考のことと書かれています。

ある事柄に対し、別の視点を持ち込んだり、新しい考え方を提示するような姿勢のことです。

来たるべきバカ

深い勉強とはこの二つを経て、来たるべきバカに至ること。だとこの本では書かれています。

これだけ読んだだけでは何のことだか分からないかもしれませんが、この本を是非読んでみれば分かると思います。



僕はこの本を読んで、勉強とはどういうことなのかがすごくよく分かったような気がしています。

そして、それは今まで自然とやってきたことでもあったんじゃないか。とかも思ったりしました。



勉強というと学校でやるような堅いイメージを持つ人もいるかもしれません。

でも、勉強の本質はそこじゃないだなーと思いました。



例えば僕の好きなお笑いとか、最近ハマっているHIP HOPなんかに関しても、僕は知らず知らずのうちに勉強をしていました。

『これは面白い』という事柄に対し、深掘りし、さらに水平的に興味の幅を広げていく。



次第にその分野における歴史というかマップのようなものが頭の中にできてきて、

新しいものに対してもそのマップ上での位置づけを意識しながら見れるようになっていく。



これこそが勉強というものであったんだなー。と思ったりして。

信頼できる書物とは

そして、本筋とはちょっと違うのかもしれませんが、読んでいて妙に納得してしまった部分が、『信頼できる書物とは』ということに関して書かれている部分です。



本を選んだり読んだりしていくにあたって、信頼できる本とそうでない本との違いってなんだろうなーということを思うことがありました。

世の中にはたくさんの本があり、もっと広い意味での『情報』といえばさらに膨大な量のものがあります。



その中で真に信頼できるものをいかにして判断するかは、とても大切なことでありながら、難しいことでもあります。

それをこの本ではこのような書き方をしています。

信頼性の-絶対的ではなく、相対的な-根拠とは、その著者・文献が「知的な相互信頼の空間から信頼を受けているかどうか」である。

本文より

これは妙に納得してしまいました・・・。

つまり信頼性とは、知的な場において信頼を受けているかどうか。だというのです。



確かに世の中にはたくさんの本が溢れています。

しかし、よく見てみるとその本が、その本に書かれている内容が『信頼に足る人たちに相手されているかどうか』が何となく分かります。



それこそがとても重要なことであり、信頼性の裏付けでもあるのです。

なるほどなーという感じですね・・・。



確かにこの前提を持って本を選ぶことを意識すれば、いい本かどうかを見分けることができるような気がします。

終わらない勉強

いやー面白い本でした。

もっと早く、大学生の時とかに読んでおきたかった本でもあります。

そういう人たちにこそオススメしたい本です。



この本に書かれているように勉強に終わりはありませんし、『完璧な勉強』なんてものは存在しません。

しかし、勉強を進めることは重要なことですし、いかに自覚的にそれを行うことができるかはとても大切なことだと思います。



何年かごとに読み返したい本かもしれません。

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