
気になったので劇場で見てきました。
『ミッドサマー』
『ヘレディタリー/継承』の監督であるアリ・アスターさんによる長編2作目となる映画です。
アメリカでは2019年7月に、日本では2020年2月21日に公開されました。
原題は『Midsommar』でスウェーデン語で夏至祭という意味。
メインとなカップルをフローレンス・ピューとジャック・レイナーが演じていて、
他ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ヴィルヘルム・ブロングレンなどが出演しています。
STORY
家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。
https://www.phantom-film.com/midsommar/
美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。
しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。
妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
ヘレディタリーに続くホラー映画
アリ・アスターさんの2作目の長編となる『ミッドサマー』見てきました。
前作の『ヘレディタリー/継承』は結構衝撃的なホラー作品で、同じ監督の作品だということで気になっていました。
コロナウイルス の騒ぎの最中ではあったのですが、劇場で同時に公開されているディレクターズ・カット版を見てきました。
こちらは20分ほどのカットが追加されているもので、トータル3時間ほどとなっています。(長そうですが、見ていると結構あっという間でした。)
今回もホラー作品とはなっているのですが、前作よりさらに変な映画という感じ・・・。
好きか嫌いかのジャッジをすることもどうなんだろうなーという感じの独特な作品です。
冒頭から
映画はまず軽快な音楽とともに一枚の絵から始まります。
最初見た時には意味が分からないのですが、これはしっかりと見ておくことをオススメします。
というか、この作品の全てとは言いませんが、あらましはここで全て示されているのです。
この映画には他にも意図的にこのような絵が出てきます。
そしてそのすべてに意味があるので、よく見ておいた方がいいと思いました。
ダニーとクリスチャン
話のメインとなるのはダニーとクリスチャンというカップルです。
ダニーは精神的に不安定で、さらに追い討ちをかけるように悲しい出来事が起こります。
そんなダニーのことを少し負担に感じていたクリスチャンだったのですが、別れを告げることもできずに関係を続けていました。
そんなある日、クリスチャンは大学院の友人からスウェーデンの故郷を訪ねる話を受け、友人たちと一緒に行くことを決めます。
ダニーに相談することもなく決めたスウェーデン行きだったのですが、結局はダニーも含め5人でスウェーデンのホルガという村を訪れます。
村は90年に一度の夏至祭に沸いていて、親切に歓迎されたかに思えるのですが・・・・。
『普通』とは
村にはいくつかの建物があり、たくさんの人が暮らしています。
一見平穏に見える中、儀式が進んでいくのですが、村は次第に異常な側面を見せ始めます。
見た人であれば分かるとは思うのですが、その場面はいきなり、誰にでも分かる形で訪れます。
ある崖でのあの出来事・・・。
そこから村の異常性は加速していき、ロンドンから訪れていた同じような『外の人』が一人また一人と失踪し始め・・・。
という感じで話は進んでいきます。
映画を見ている人たちは、村を訪れたダニーやクリスチャンと同じような『外の人』の視点でホルガのことを見ることとなります。
外から見ればそれがいかにおかしいことか分かるのですが、村ではそれが『普通』のこととしてまかり通っているのです。
この感じ不気味だなーと思いながらも、似たようなことって意外と身近にもあるんじゃないか・・・とかいうことも思ったりしました。
例えば、会社に入社しある程度の年数勤めていればその会社の風土のようなものに慣れてきます。
それは実は外からしたら異常なことに見えるようなこともあるはずです。
この映画は『外部の視点から見る異常性』のことを極端な形で描いているのですが、実は他人事ではないのではないかと思いました。
ラストシーンは・・・
そして、映画のラストはある展開があり、ダニーの意味深な笑顔で終わります。
その時ダニーが何を思っていたかの全てを分かるという人はいないかもしれません。
しかし、ダニーはこのホルガという村を訪れ、異常な様子を目にしながらもある種の救いを見出ているかのような顔をしています。
その後彼女がどうなったのかは示されてはいませんが、何かが変わっていることは間違いありません。
3時間近くこの映画の世界観の触れていて、見終えたときは不思議な気持ちになりました。
変な映画だなーと思いながらも、怖いか怖くないかで言えば怖い映画です。
でも、面白いか面白くないかで言えば面白い映画だと思います。
そんな映画です。