感想・要約『サル化する世界:内田樹』

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好きな内田樹さんの本。
早速購入。

作品紹介

「今さえよければ自分さえよければ、それでいい」
――サル化が急速に進む社会でどう生きるか?

ポピュリズム、敗戦の否認、嫌韓ブーム、AI時代の教育、高齢者問題、人口減少社会、貧困、日本を食いモノにするハゲタカ……モラルの底が抜けた時代に贈る、知的挑発の書。

・「自分らしく生きろ」という呪符
・なぜ「幼児的な老人」が増えたのか?
・トランプに象徴される、揺らぐ国際秩序
・「嫌中言説」が抑止され、「嫌韓言説」が亢進する訳
・戦後日本はいかに敗戦を否認してきたのか
・どうすれば日本の組織は活性化するのか……etc.

堤未果氏との特別対談も収録。
現代社会の劣化に歯止めをかけ、共生の道筋を探る真の処方箋がここに。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163911533

サル化する世界とは

好きな書き手の一人である内田樹さんの『サル化する世界』読みました。

単行本としては2020年2月28日に発売されたもので、いくつかの講演や、論考をまとめたものとなっています。


タイトルはまえがきにも書かれているように、なかなか挑発的なものとなっているのですが、内容は多岐にわたっています。


このタイトルにある『サル化』とは、朝三暮四という4字熟語から来ているもので、その論理形式を内面化しているような人たちがマジョリティになりつつあるということを表しているものです。


未来に起こるリスクなどは他人事のように振る舞い、今さえ良ければ、自分さえ良ければというような振る舞うような人のメンテリティのことを言っています。

決して他人事ではない

この本を読んで、そんなサル化している人たちのことを愚かだな・・・と思うこともできるでしょう。

自分はそっち側の人間ではないと、優越感のようなものに浸ることもできると思います。



しかし、果たして本当にそうなのかどうかは自分の胸にしっかりと問いかけてみたほうがいいのではないかと思いました。

果たして本当に自分は未来のリスクを軽視しない振る舞いができているだろうか・・・と。



結局、地球温暖化だと言われていながらも、暑ければエアコンを使うし、寒ければ暖房を使っています。

電気などの資源は常に使い続けていますし、節約するにしても自分の支払いが少なくなるからという結構利己的な理由によるものです。



この『サル化』するという考え方。きっとこれはすべての人は避けることができないシステム的な部分もあるのだろうと思います。

突き詰めていくと、サル化していないと思うことの方がサル化なんじゃないか・・・とかそんなこと思いました。

なぜ外国語を学ぶのか

他にも様々なことが書かれている本ではあるのですが、個人的に興味深かったのは、なぜ外国語を学ぶのかということが書かれている部分です。



僕自身も何年か前から、翻訳小説なんかを読むようになって、外国語の重要性を強く感じるようになっていました。

それがなぜなのかということは自分でも、なんとなくしか分かっていなかったのですが、この本を読んですごくしっくりきたような気がしたりして。



外国語を学ぶ本義とは、『目標文化へのアクセス』のためという意味合いがあります。

例えば、英語圏で作られた音楽や映画、小説なんかを日本でも聞いたり、見たりすることはできます。



しかし、それは本質的にその表現物を味わっているとは言えません。

僕自身、翻訳小説を読んでいくにつれ何か違うんじゃないか・・・?ということをぼんやりと思い始めていました。



それは、どれだけ綺麗に上手に訳されていたとしても、それは決して本当の味ではなく、

誰かが一度口の中に入れた料理を味わっているような』、そんな感じに思えてきたのです。



それはまさに、僕が目標文化へのアクセスができていないからだということなのです。

僕に英語力があり、英語で原書を読む力があれば、その本のもっと深いところへとアクセスすることができるはずなのです。



それこそが外国語を学ぶべき理由なのです。

他にも面白い話がたくさん

他にもいろんなことが書かれていて、やっぱりこの人のかく文章は好きだなーと思いました。


もともと大学の先生だったということもあって、教育に関する話もあれば、文学などのカルチャーについての話もあり、

政治なんかの話もあれば、必ずこの人の話には独特な『身体感覚』の話もあったりします。


どれも面白いものばかりです。

興味ある人は迷わず読んでみるべき・・・。

大学の新入生とかも是非。

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