感想・要約『AX アックス:伊坂幸太郎』殺し屋と妻の話・・・

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時間があったので、文庫版買って読みました

『AX アックス』

伊坂幸太郎さんによる小説で、いくつかの短編をまとめた連作短編集。

2017年にKADOKAWAより単行本が、2020年に角川文庫より文庫版が発売されました。



『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズの作品となっていて、全5篇の短編を収録。



最初の二つ『AX』と『Bee』はそれぞれ2012年に書かれたもの。

さらに2014年発表の『Crayon』をに加え、書き下ろしとなる『EXIT』『FINE』が収録されています。



実は結構な期間間が空いている作品たちともなっています。

2018年の本屋大賞ノミネート作です。

あらすじ

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。この物騒な仕事をしていることは、もちろん家族には秘密だ。

克巳が生まれた頃から、兜はこの仕事を辞めたいと考えていたが、それは簡単ではなかった。

「辞めるにはお金が必要です」という仲介役の言葉を受け、仕方なく仕事を続けていた兜はある日、爆発物を仕掛ける計画を立てていた集団の一人を始末せよ、との依頼を受ける。

標的を軽々と始末した兜だったが、意外な人物から襲撃を受け……(「AX」)。

「AX」「BEE」「Crayon」「EXIT」「FINE」の全5篇の連作集。『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる、殺し屋シリーズ最新作。

https://promo.kadokawa.co.jp/ax/

久しぶりに伊坂さんの本読みました

伊坂幸太郎さんの小説である『AX アックス』。

書店で文庫版が発売されていたので、買って読みました。



伊坂幸太郎さんといえば、今となっては日本トップクラスの作家です。

伊坂さんの小説は結構な技巧が凝らされていたりしながらも、普段あまり本を読まない人でも手を取りやすく、おそらくとしかいえませんが、今日本で一番本が売れる作家なのではないでしょうか。



僕もいつからか彼のファンで、デビュー作である『オーデュボンの祈り』から多くの作品を読みました。

『ラッシュライフ』や『ゴールデンスランバー』なんかは個人的に結構好きな作品です。



伊坂さんの作品の共通点としては、『日常にある小さな非日常』を描いていることと、張り巡らされている周到な伏線と、その回収ではないかと思います。

最初は何を読んでいるのか、何が起こっているのか分からないこともあったりするのですが、読み進んでいくとなるほどな・・・となってきて、

読み終えると、気持ちよかったーってなるような作品が多いです。

非日常を描きながら

そして、共通する特徴としては、結構な非日常なことが起こっていながらも、どこか緊張感がないという点もあるような気がします。



この『AX アックス』もまさにそんな作品で、一流の殺し屋である兜は、恐妻家である妻に日々怯えながら生きている様子が描かれています。

人が死んだりしているシーンも普通に描かれているのですが、なぜか常にどこか緊張感がない感じ・・・笑



意図的にやっているのかどうかは分かりませんが、これも伊坂作品の特徴であるとともに、魅力となっているような気もします。



さらに、殺し屋が妻に怯えているという設定は、殺し屋というかけ離れた存在に対して、一般性を与えるという意味もあるような気がします。

そうすることによって、読者は兜に対して『一部分』は共感することができるのです。

それでいて、理解できない部分もしっかりと持っていて、その差があればあるほど魅力的に映ったりもするものです。

6年越しの・・・

それにしてもこの『AX アックス』という作品。

書き下ろし二つが描かれたのは最近ですが、最初の短編が描かれたのは2012年のこととなります。



そんなに間を開けて話を書くって、凄いな・・・と。

その間に他の作品もたくさん書いていて、世界でもたくさんのことが起きていて。



その続編を自発的に書いたのか、誰かに求められて書いたのかは分かりませんが、一つの作品として成立させているなんて。

さすがだなという感じ・・・。



他にもこの人の本は常にいくつか平積みされていて。

他の新作も読みたいぜ・・・。

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