
とある映画で出てきていた本です。
『フォークナー短編集』
アメリカの小説家であるウィリアム・フォークナーによる短編集で、新潮社より刊行されています。
翻訳は龍口直太郎さんによるもので、8篇の短編が収録されています。
原題は『Selected Short Stories of William Faulkner』。
数多くある著者の短編の中から訳者が選んだ8編を収録しています。
収録作
・嫉妬
・赤い葉
・エミリーにバラを
・あの夕陽
・乾燥の九月
・孫むすめ
・バーベナの匂い
・納屋は燃える
アメリカのノーベル賞作家
アメリカのノーベル文学賞作家であるウィリアム・フォークナー。
『フォークナー短編集』はその名の通り、フォークナーの短編をまとめたものとなっている本です。
フォークナーのことは知っていて、『響きと怒り』『アブサロム、アブサロム!』の二つは(一応)読みました。
ただ、正直難しかったというか、どこまで理解できているのは結構怪しく、どんな小説かと聞かれても説明することはできません・・・。
アメリカの作家であり、その文章自体がもともと独特なものであり、さらにそれを翻訳してということになると、なかなか難しくなってはしまいがちで、
僕の理解力では力及ばずという感じでした。
とある映画を観て
そんなフォークナーの短編集に興味を持ったのはある映画がきっかけです。
それは韓国映画である『バーニング 劇場版』という作品です。
この作品には『フォークナー短編集』という本が登場しますし、
この映画は村上春樹さんの短編である『納屋を焼く』という作品を原作としています。
『納屋を焼く』の英題は『Barn Burning』であり、『フォークナー短編集』に収録されている話の一つと同じ名前なのです。
どうやら村上さんはフォークナーのこの短編を読んだことはない。と否定しているそうなのですが、だとしたらなかなかの奇跡な気もします・・・。
両方読んでみて、話自体は全く違っていて、パクリとかそういう話ではないとは思うのですが、二つは何かしらの点ではつながっているような気もしました。
アメリカ南部の人たちを描いた
フォークナーは今となってはアメリカを代表する作家とされています。
日本では、結構な本好きな人しか知らないような気もしているのですが、世界的にはかなり有名な作家の一人です。
フォークナーは、アメリカ南部の人たちを描いている作家です。
そして、そこにある『差別』や『怒り』、『暴力』、『嫉妬』、『格差』など、どれも決して軽くはない現実を描いている作家です。
『人種差別』というような問題はアメリカの歴史における恥部ともいえる部分であり、今日にも実はつながっている問題でもあります。
しかし、だからこそたくさんの人が知っておくべきことでもありますし、実際に経験として知っている人には深く響くものとなっているような気がします。
フォークナーの小説が高い評価を受けている理由はここにあるのかも知れません。
知らない人には知識を与え、知っている人には共感を与えているのです。
おそらく、このような本は今後もしっかりと残っていきます。
今では決して見ることのできない当時の風俗をしっかりと描いている小説だからです。
例えば100年後、フォークナーの小説を読むことによって未来の人たちは歴史を知ることができますし、当時の空気感のようなものを追体験することもできます。
ただ、正直難しのも事実・・・
ただ、この短編も読んでみて、なかなか難しい部分もあります。
一応読み終えたものの、『響きや怒り』と同じように、どこまで理解できているかは自分でもなかなか怪しい部分も。
それでも、興味のある人は一度は読んでみる価値のある作家ですし、価値のある作品であることは間違い無いと思います。