
4年ほど前のアニメ映画です。
先日、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も公開されていました。
『この世界の片隅に』
2016年に公開された日本のアニメ映画で、11月22日に公開されました。
こうの史代さんによる同名漫画を原作とする映画で、片渕須直さん監督で制作されました。
制作資金をクラウドファンディングによって集め、当初63館での公開となっていたが、徐々に公開館を増やしていき、2019年まで3年以上のロングラン上映となっています。
主役のすずさんの声優は女優の、のんさんが担当音楽はコトリンゴさんが担当しています。
さらに、2019年12月には40分ほどの追加カットが付け加えられている、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されています。
あらすじ
広島の海苔梳きの家で育った浦野すず。
ある日すずのところに結婚の申し込みがやってくる。
相手は呉に住む北條周作と言う青年であった。
相手のはすずのことを知っているようだったが、すずはいつ出会ったのか分からないまま北條家へ嫁に行くこととなる。
広島を離れ呉で暮らし始めたすず。
周作や、姉の径子。彼らの両親とともに懸命に生きていくが、戦争は次第に激しさを増していき・・・。
4年前に公開されたアニメ映画
『この世界の片隅に』は2016年に公開された日本のアニメ映画です。
この年は『君の名は。』や『シン・ゴジラ』など、日本映画がかつてないほどヒットしていた年でした。
そんな年に公開されたすごい映画の一つのが、この作品です。
この映画は漫画を原作としていて、話の大筋は原作通りとなっています。
若干の描写の違いや、微妙なキャラのニュアンスの変更はあったりするのですが、大方同じ話となっています。
この原作版も読みました。
これがまずシンプルに凄い漫画です。
戦争を描きながら、そこに生きる市井の人たちを描き、さらに何度読んでも新しい発見があるほどたくさんの情報と工夫がされている作品です。
結構頭を使う映画でもある
この映画、実は結構頭を使う映画でもあります。
ただ観ているだけでも話は分かりますし、面白い映画であると思います。
しかし、それだけではなくて、たくさんの細かい描写や、行間に含まれているものがある映画でもあります。
それにどれだけ気がつくことができ、理解することができるかによって、この映画から受け取るものがまた変わっていきます。
例えば、あやとりをやっている紐と、着物の余り布をすずさんが見て、その次のシーンでは晴美ちゃんが巾着を持っていたりするシーンがあります。
これは直接的に描かれてはいませんが、すずさんが作ってあげたんだなと言うことが分かります。
そんな細かいシーンや、描き込みがとても隅々までなされているのです。
そして、実はとても大人な映画でもあります。
物置でのすずさんと幼なじみである哲さんとの会話のシーンなんかは、なかなか大人な感じ。
その後の周作さんと喧嘩なんかもいい感じ・・・笑。
ある時へ向かっていく
そして、この映画は戦時中の広島を舞台としています。
戦争と広島といえば、日本人であれば誰しもが原爆を思い浮かべるでしょう。
1945年の8月6日、原子爆弾が投下されたことを僕たちはみんなが知っています。
この映画は序盤から日付が出てきていて、『原爆まであとどれくらい』ということを常に意識しながら見ることなります。
全体的に明るい雰囲気でありながらも、『もうすぐだ・・・』ということを考えながら見ざるを得ないのです。
作中では、もっと大きな悲劇があり、原爆自体は直接的な大きな悲劇としては描かれてはいません。
それでも、ある一つの境目となっていることは間違いありません。
すずさんはそれがきっかけかは分かりませんが、最終的に自分は呉で暮らすことを選びます。
悲しさもありながら
この映画は決して軽い内容のものではありません。
戦争というものの悲しさをしっかりと描いていますし、そこに生きている人々の大変さも描いています。
それでも、そこで生きていることそのものを肯定しているような映画でもあります。
最後にすずさんと周作さんは一人の孤児を家へ連れて帰るのですが、このシーンも最初見たときはイマイチ分かりませんでした。
でも、何度か見ていると、なるほどな・・・という感じで、とてもいいラストシーンだと分かります。
そして、最後に流れるコトリンゴさんの曲と、流れるアニメーション。
これも本当にいい感じです。
これからも語り継がれていく
おそらくこの作品はこれからの日本映画の、日本のアニメ映画の歴史において語り継がれていく作品の一つです。
たくさんのところで高い評価を受けている作品でもありますし、日本という国が抱えている本質的な傷のようなものを描いている作品でもあります。
それでいて、見終えてみると頑張ろうと思えますし、周りの人や、小さな幸せを大切にしていきたいと思うことができます。
正直、義務教育の一環として取り入れていいレベルの映画だと思います。
全ての人が必見の映画です・・・。