
アカデミー賞でも注目されていた映画です。
『1917 命をかけた伝令』
2019年のイギリス・アメリカ合作の戦争映画で、原題は『1917』。
アメリカでは2019年12月25日に、日本では2月14日に公開となりました。
監督は『007 スカイフォール』などでも知られるサム・メンデス。
メインとなる二人の青年を演じているのはディーン=チャールズ・チャップマンと、ジョージ・マッケイ。
他、アンドリュー・スコット、ベネディクト・カンバーバッヂなどが出演しています。
第92回アカデミー賞では撮影賞、視覚効果賞、録音賞の3部門にて受賞。
あらすじ
1917年4月6日。
ヨーロッパは第一次世界大戦の只中であった。
西部戦線にいたドイツ軍は後退していたが、それは戦略的なものであり、イギリス軍をおびき寄せる罠であった。
その事実を航空部隊によって知ったイギリス軍は、二人の青年を呼び前線へある命令を届けることを伝える。
それは、このまま進撃してしまうと壊滅してしまう恐れのある連隊に、攻撃をやめさせることだった。
指令を受け取ったウィリアム・スコフィールドと、トム・ブレイクの二人は味方の軍を救うべく、戦線へと出向くこととなる。
話題の戦争映画
『1917 命をかけた伝令』はつい先日公開が始まった映画です。
こないだのアカデミー賞でも作品賞もあるのでは?と注目されていました。
結果的に作品賞は『パラサイト 半地下の住人』が取ることとなり、逃したのですが、この映画は絶対に見にいこうと決めていました。
注目されている理由の一つとしては、この映画は全てワンカットで撮られている(ように見える)ということがあります。
実際には全てワンカットというわけではなく、いくつかの長回しシーンをつなぎ合わせてワンカットに見えるようにしているとのことなのですが、これがめちゃくちゃ凄いです。
確かに思い返してみれば、ここが繋ぎ目かなと思えるような部分もあった気がします。
でもごく自然に一つのカットとして繋がっているように見えました。
ワンカット構成の意味は?
この作品がワンカット構成となっている意味はなんなのでしょうか。
いくつかあるような気もしましたが、まずは”一人の人間の人生って基本的にはワンカットだよね。”ということを強調しているのではないかと思いました。
この映画では命令を与えられた二人の青年の様子が描かれています。
彼らのことをカメラは一時も離すことなく追っていくのです。
これは、言ってしまえば僕らが生きている普通の生活、普通の人生でもあります。
一人一人、自分の人生を生きていて、そこにはカット割なんてものはありません。
生きるということはワンカットだということなのです。
実際、こういう見せ方をされることで、彼らが生きているんだということを強く感じましたし、終わってからも人生が続いていくのだということをごく自然にイメージすることもできます。
そんな物語が無数にある
さらに、この作品で取り上げられているのは二人の人生かもしれませんが、戦争という場においてはそんな物語が無数にあります。
他の人たち全てにも人生があり、それぞれの物語があるのです。
例えば、途中でスコフィールドが出会う別の部隊。
一時的に同じトラックに乗せてもらうこととなるのですが、彼らにも彼らの物語があります。
そして、街で出会う女性と子供。彼女たちにも長い長い物語があります。
そんな『小さな物語』の上に戦争という『大きな物語』が存在しているのです。
つまり、この作品は『小さな物語』の側から見た『大きな物語』の映画でもあるのです。
一つのゴールとして
映画を見ている僕たちは、伝令を届けることを一つのゴールとして見てしまいます。
命をかけてそれを届けることを描いている映画だからです。
しかし、この映画が凄いところはその先です。
戦争はこんなにも残酷なものなんだという、戦争の本質的な悪性みたいな部分を見せつけられます。
彼らが届ける伝令は、戦争を終わらせる魔法でもなければ、劇的に状況を好転させるようなものでもありません。
『ある一つの攻撃をやめさせる』。それだけなのです。
その後も戦争は続いていきますし、大佐の言葉にもあったように、数日後には真逆の指令が出ているかもしれません。
命をかけて届けた伝令なのに・・・戦争とはここまで残酷なものなのかという感じです。
戦争映画とは
戦争を描いている映画はたくさんありますが、劇場で見たのは初めてだったかもしれません。
『1917 命をかけた伝令』は高い評価がつくことも当然よ思うようなすごい映画でした。
そして、このサム・メンデスという監督、『007 スカイフォール』の監督だったのか・・・
見よう見ようと思いつつ、なかなか見れずにいる作品。これも見てみます。