
今話題のポン・ジュノさん監督作です。
『母なる証明』
2009年に公開された韓国映画で、日本では2009年10月31日に公開されました。
監督・脚本は『パラサイト 半地下の住人』でアカデミー作品賞も受賞したポン・ジュノ。
監督5作目となる作品です。
主演の母親役をキム・ヘジャ。息子役をウォンビン、友人のジンテ役はチン・グがそれぞれ演じています。
あらすじ
韓国に暮らすトジュンは軽い知的障害を持っており、母親はそんな息子のことを常に心配していた。
ある日、友人であるジンテと飲む約束をしていた日の夜、一人の少女に声をかけ、後をつけていた。
翌日、その少女が死体として発見される。
トジュンは容疑者として警察に捕らえられてしまうが、息子はやっていないと信じる母親はなんとか息子を釈放しようと奔走する。
情報を集め、真実へと近づいていく母親であったが、その真実は意外なところから発覚し・・・。
10年以上前の
『母なる証明』は韓国人監督であるポン・ジュノさんによる2009年の映画です。
ポン・ジュノさんと言えば、つい先日『パラサイト 半地下の住人』という作品で韓国映画としてははつのアカデミー作品賞を受賞し話題となっています。
他にも監督賞含め、4部門での受賞となっていて、名実ともに世界的な映画監督として認められている人です。
彼の他の監督作は見たことがなかったので、見てみようと思い見つけたのがこの作品でした。
2009年と、今となっては11年ほど前の映画となっていて、どんな映画なんだろうなという感じで見ました。
細かいところに伏線とか
話的には、殺人の容疑者として捕まってしまった息子と、無実を信じている母親の話となっています。
『私の息子はやっていない』的な話です。
映画を見た人であれば、真実は分かると思うのですが、事件は意外な形で終わることとなります。
最終的に息子は釈放されるのですが、母はある罪を犯してしまいます。
振り返ってみると、実は最初の方からの細かい会話なんかにも後々聞いてくるような伏線が隠れていたりします。
『バカ』という言葉に強く反応し、怒るトジュンの様子や、母親が使っている針の話なんかもそうです。
障害を抱えていることに関しても、作中で明言されることはありません。
しかし、とても上手い見せ方でこのトジュンという人物が少し異なっているということが表されていたりするのです。
母親は信じているけれど
タイトルの通り、これは息子の無罪を信じている母親の話です。
しかし、何が厄介かといういうと、母親は現場にいたわけでもなく、息子がやっていないことをただ『信じている』だけなのです。
やっていないという証拠もなければ、そのことを証明できる何かを知っているわけでもないのです。
立場的には事件のことを知らない第三者として、警察や弁護士と同じような立場でしかないのです。
それでも母親として息子を守るべく、なんとかしようとするのですが、真実は意外なものとなっていました。
トジュンはどこまで分かっているか
ウォンビンさんが演じているトジュンという青年。
彼は殺人の容疑者として捕まることとなるのですが、彼は知的障害を持っている人物として描かれています。
映画を最後まで見てみて、彼は一体どこまで分かっていたのだろうか。と思いました。
事件のことをいったいどれだけ覚えていたのかということもそうですし、最後に母親へ渡すある物。
あれの意味をいったいどこまで分かっていたのだろうか。とか。
仮に彼が全てを分かっているのだとしたら、それはそれで恐ろしいことです。
さらに彼は5歳の頃のことを覚えていたりと、決して全てにおいて記憶が弱いわけではないような描写もあるのです。
さすがという感じ
この映画から11年の時を経て、『パラサイト 半地下の住人』でアカデミー作品賞、脚本賞、監督賞、外国語映画賞を受賞するポン・ジュノさん。
この映画を見てもその非凡さが分かるような気がしました。
小さなシーンやセリフなんかにもしっかりと意味が込められていたり、伏線が散りばめられています。
ゴルフボールやクラブもそうですし、被害者の鼻血に関する話なんかも、よく考えると大切な意味を持っています。
さらに、最初の穀物を切っている様子なんかもいきなりヒヤヒヤするシーンですし、後半には同じようなシーンが再びあったりもします。
そして、最後にバスの中で母親が針を刺した場所と、その意味は・・・?ということ。
これもすぐには分からなかったのですが、理解するとなるほどな・・・という感じ。
少し気の抜けるような音楽の中で踊っているシーンもラストとして本当に見事です。
さすがですな・・・他の作品も見てみようかな。