感想『螢・納屋を焼く・その他の短編:村上春樹』後の作品にもつながる短編集

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村上春樹さんの短編集です。
この中の一つ『納屋を焼く』の映画版を見るにあたり、読み直しました。

『螢・納屋を焼く・その他の短編』

小説家である村上春樹さんの短編集で、1984年に刊行されました。

その後、1987年に文庫版としても新潮文庫より刊行。


1983年から1984年にかけて発表された5つの短編が収録されています。

時期的には『羊をめぐる冒険』と『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の間となっています。

収録作品

『螢』
『納屋を焼く』
『踊る小人』
『めくらやなぎと眠る女』
『三つのドイツ幻想』

30年以上前の

『螢・納屋を焼く・その他の短編』は村上春樹さんによる短編集で、1984年に刊行されたものです。

5つの短編が収録されていて、分量も200ページ弱と、とてもあっさり読める本です。(新潮文庫版)


収録されているのは5つの短編となっていて、それぞれ発表はもう35年ほど前のこととなります。

一度読んではいたのですが、この中の一つ『納屋を焼く』という作品が映画化されていて、その『バーニング 劇場版』を見るにあたり読み直しました。

後の作品にも通ずる

それぞれの作品は独立していて、全く直接的な関係はありません。

しかし、やはり同じ作家の書くものとあって、どこか通底する思想のようなものがあるのも確かです。


そして、のちに発表される長編にも通ずるものが含まれているなともすごく思いました。


まず、最初に収録されている『螢』という短編。

これは後に書かれる『ノルウェイの森』の下敷きとなっている作品です。


登場人物に名前は与えられてはいないのですが、舞台設定や話の流れはほとんど同じとなっています。

この話をさらに広げる形で書かれているのが『ノルウェイの森』という作品なのです。


しかし、この『螢』という話は短編としてだけでも、個人的にはとても響くものがありました。

もう戻れない学生時代の不安定さのようなものを描き、人の『死』について触れている作品でもあります。


”死は性の対極としてではなく、その一部として存在している。”


という本文中のことばにもあるように、幼馴染の死を通じて、残された者が何を受け取るかということを描いているのです。


最後の螢のシーンは、本当によかったです・・・。

まさに小説でしか与えることのできない快楽と言うような感じです。

『納屋を焼く』

そして二つ目の『納屋を焼く』という短編。

これは2018年に韓国で『バーニング 劇場版』として映画化されています。


過去に一度読んでいるはずの話なのですが、内容はほとんど覚えていませんでした。


これは僕が出会った彼女の別のボーイフレンドが話した『納屋を焼く』という趣味の話が描かれています。


この一つの事柄から話を広げ作られている話です。

短編はある一つの物事やテーマのようなものを広げ、一気に描いていくというようなことを村上さんの何かのインタビューで読んだことがある気がします。


『納屋を焼く』はまさのそのような作品で、他の短編もそのような作品が多いです。

ちょっとしたところに

他にもちょっとしたところに村上さんらしさを感じる短編ばかりです。

ネジを巻くというような描写は後の『ねじまき鳥クロニクル』に通じているのか・・・とか、『踊る小人』は『ダンス・ダンス・ダンス』に通じているような気もしたり。


この当時村上さんは35歳くらいで、今となっては半分の年齢だった頃となります。

まだ作家としては駆け出しだったかもしれませんが、やはりさすがだな・・・と思わざるを得ない気がしました。


あまり普段本を読まない人でもとても読みやすい分量ですし、文章自体もとても読みやすいです。


そして、これを入り口として『ノルウェイの森』なんかを読むとまだ深みが出るような気もします。

そして映画となっている『バーニング 劇場版』これもすぐに見ようと思っています。

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