感想『よこがお』加害者性って何だろう

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深田晃司さん監督の日本映画です。

『よこがお』

日本・フランスの合作映画で、2019年7月26日に公開されました。

監督・脚本は『淵に立つ』でカンヌ国際映画祭で『ある視点部門』を受賞した深田晃司さん。


主演は『淵に立つ』にも出演していた筒井真理子さん。

他、池松壮亮さん、吹越満さん、市川実日子さんなどが出演しています。


監督である深田晃司さんによる同名の小説版も刊行されています。

あらすじ

訪問看護師として勤める市子は、1年ほど前から末期癌である大石塔子の家に通っていた。

市子は看護師として塔子からも信頼され、孫である基子や、中学生のサキにも勉強を教えたりもしていた。


そんなある日、中学生のサキが失踪するという事件が起きる。


市子は自分とは関係のない事件だと思っていたのだが、意外なところから事件との関わりが生まれていくこととなる。

次第に事件の加害者の側の人として扱われ始める市子は徐々に追い込まれていき、ある復讐を企てるが・・・。

気になっていた映画

気にはなっていた映画である『よこがお』という作品。

劇場では見ることができなかったのですが、今回DVDでようやく見ることができました。


監督である深田晃司さんは『淵に立つ』という作品の監督でもあり、他にもたくさんの映画を撮っている人です。


この人の映画は『淵に立つ』以外は見たことがなかったのですが、この作品もなかなかの衝撃的な作品です。

すごくリアルな人間というものを描きながらも、決して明確な答えは用意されていないような映画となっています。

いろんな解釈の入り込む余地のある作品とも言えます。


この『よこがお』はそんな監督の最新作となる映画です。

すごく絶妙な

『よこがお』という作品見終えてみて、結構重い作品でした。

それは内容的にもそうですし、決して誰しもが他人事ではないと思うような作品だったからです。


主人公である市子さんは、とても善良な人物として、同僚からも訪問先の人からも信頼されている人です。

そんな彼女がちょっとしたことをきっかけにある事件に関わることとなり、社会から弾き出されていくこととなるのです。


この市子さん。直接的には事件には関わっていませんし、罪を犯しているわけではありません。

しかし、全くの無関係かというとそうでもありません。


市子さんが基子に話したある昔話。

それは、劇中で描かれていたような見せ方を、マスコミを通じてされれば、誰しもがこの人悪いな・・・と思ってしまうようなことが無いわけではないのです。


この辺りの罪の描き方、本当に絶妙です。

気がつけば、市子さんは社会から放り出されていってしまうのです。

無駄のないシーン運び

この映画、シーンシーンが本当に良くできているような気がして、その全てに意味があるのではないかと思ってしまいます。

細かい台詞回しや、小道具や仕草に至るまで、何か意味があるんじゃないかと常に考えさせられます。


訪問先の塔子さんが作りかけているパズルは何なんだろう・・・とか、
市子さんが夢で見る自分が犬になっているシーンは何なんだろう・・・とか。

それぞれに何かあるんじゃないか・・・ということを常に考えさせられるのです。


そして、最後に引っ越した後の塔子さんの家が映るシーン。
個人的にはここがとても怖かったです。

誰も住んでいない家の窓から外の車が映っているのですが、少しずつカメラが動いていきます。

何があるんだろう・・・?すごくドキドキしました。
(結局はおそらく何もなかったのですが・・・)


そして、並行して語られている二つの時間軸の話も、絶妙にリンクしていたりします。

その二つの話を見ながら、こういうことなのか・・・ということを次第に理解していくこととなるのです。

小説版も読んでみたい

この『よこがお』という作品は、監督の深田さんによる小説も刊行されています。

これも個人的にはとても気になっています。


そしてこの作品、ミラン・クンデラの『冗談』という小説からインスパアされているとの事。

この作品もぜひ読んでみたく、すでにAmazonにて購入済みです。


それにしても、本当に日常にありそうな絶妙なことを描きながらも、人間のとても深い何かを描いているような気もしていて、すごい作品だな・・・と思いました。

見終わった後も、しばらくはこの映画のことを考えることとなりそうな気がしています。

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