
『サピエンス全史』や『ホモ・デウス』でも知られるユヴァル・ノア・ハラリさんによる著作で、2019年11月に日本語版が発売されました。
タイトルにもある通り、これからの世界を生き抜くための21の視点について書かれている本です。
自由や平等、神、戦争、教育など誰しもが避けては通れないようなテーマばかりが21つ取り上げられています。
『サピエンス全史』では、人類の過去に目を向け考察を行い、『ホモ・デウス』では、人類の将来、どのような未来が訪れるのかを考察したのに対し、本書は『今、ここ』にズームインした本となっています。
明確さこそ力
本書はこのような一文から始まります。
”的外れな情報であふれ返る世界にあっては、明確さは力だ。”
理屈の上では、すべての人が人類の未来について考え、議論の場に上がることが許されていますが、実際はそうではありません。
目の前にもっと向き合うべき、命に関わるような問題があるとき、人は人類全体のことに目を向ける余裕なんてありません。
”明確さは力だ”という言葉には、すごく現実感を帯びた説得力のある言葉のように思えます。
現代は、本当に情報で溢れています。
それが正しいのか誤っているのか。誰が発信しているのか。どういう意図で発信しているのか。
そのどれもが不明確なままに発信されている情報で溢れているのです。
中には正しい情報もあるのですが、それをどのようにして判断すればいいでしょうか。
そこには明確な答えはありません。
だからこその”明確さは力”なのかもしれませんが、その手助けをすることはできるように思えます。
この人の本はまさに、そのような手がかりというか、きっかけを提示してくれるような本が多いです。
本自体は決して簡単なものでは無いかもしれません。
しかし、じっくりと読めば必ず得るものがあるはずです。
『21Lessons』
発売と当時くらいに購入していたのですが、なかなか読めずにいたのがこの『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』という本です。
450ページほどの本で、様々な角度からいろんなテーマが取り上げられています。
そして、その全てが全ての人類に何かしらの部分で関わっているものともなっていて、決して人ごとではありません。
テクノロジーの発展による雇用の話なんかは、まさに近い将来、誰もが直面する問題でもあります。
テクノロジーの発展に伴って、雇用の形態が変化してくるということはこれまでもありました。
しかし、失われる雇用と共に、生み出される雇用もあり、結果として雇用は大きく減ることはなかったのですが、今後はそうはならない可能性もあるというのです。
まさに日本においても、何が正解かということが本当に分からなくなってきています。
大企業に入社できればもう大丈夫か?公務員となれれば安定か?
今まではそれだけでよかった部分もありますが、今は決してそうともいいきれません。
重要なのは個々人が思考をやめないことではないでしょうか。
思考をやめた途端に、人はたくさんのものを失っていくこととなります。
何が正解なのかわからないことが前提で、個々人が考えていかなければなりません。
その他にも
他にもこの本はとても興味深いいくつもの視点が示されています。
一つ一つ書いていけば、本当にそれなりの分量となるくらいの厚い内容です。
しかし、一度読んてみることで絶対に損することはない本でもあると思います。
『サピエンス全史』で過去を、『ホモ・デウス』で未来を読んだ後に、この本で『今』を知ることができれば、おそらくかなり包括的に世界のことを理解できるはずです。