感想・解説『パラサイト 半地下の家族』パルム・ドール受賞作

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話題になっていた映画。
劇場で早速観てきました。

『パラサイト 半地下の家族』

2019年に公開された韓国映画で、韓国では2019年5月30日に、日本では一部の先行公開の後、2020年1月10日に全国公開されました。

監督はポン・ジュノさん。


主演はソン・ガンホさんで、イ・ソンギュンさん、チョ・ヨジョンさん、チェ・ウシクさんなどが共演しています。(韓国名ばかりだとピンときませんね)

世界的に高い評価を受けている作品で、第72回カンヌ国際映画祭では、最高賞となるパルム・ドールを韓国映画として初めて受賞しています。

あらすじ

キム・ギデクは妻と息子と娘との4人で半地下の住宅で暮らしていた。

全員が失業中であり、学校にも通うことができない状態で暮らしていた家族だったが、ある日息子のギウのもとにエリート校に通う友人が訪れる。


話は自分が留学へ行っている間に、自分のやっている家庭教師の仕事を引き受けてくれないかというものだった。

大学生でもない自分がと思いながらも、引き受けたギウが家庭教師の家へと向かうと、そこは高台にある大豪邸だった。


そこはIT企業の社長家族が暮らす家であった。

ようやく仕事を見つけたギウは、同じように息子も家庭教師を探していることを知り、自分の妹を紹介することとする・・・。

パルム・ドール受賞作

少し話題となっていた映画である『パラサイト 半地下の家族』観てきました。

この作品は、カンヌ国際映画祭にて最高賞を受賞している作品です。


カンヌの最高賞といえば、前年は是枝裕和さんの日本映画である『万引き家族』が受賞していました。

2年続けてのアジア映画としての受賞で、韓国映画としては史上初だそうです。


扱っているテーマ的には、『万引き家族』にも通ずる部分もあったりします。

社会に存在する『格差』を描き、かつその弱い側の人たち、下にいる人たちを描いている作品です。

先の読めない展開

『パラサイト 半地下の家族』を観てきたのですが、この作品は決してテーマやジャンルが一つに固定し切れないような、先の読めない映画となっていました。


基本的には、貧乏な家族が、裕福なIT社長家族の家にタイトル通り『寄生』するという話なのですが、途中思いもよらない展開へとなっていきます。

IT社長家族がキャンプへ出かけている日に、雨の中、クビになった使用人が戻って来てからの展開はなかなか衝撃でした。


そして、この映画では『上へ上がる』様子や、『下へ下る』様子なんかがおそらく意図的に強調されて描かれていたりします。

社会における『上』と『下』というものを残酷なまでに描いています。


雨の中、家族たちは本来自分たちの住んでいる半地下の家へと戻るのですが、その悲惨な様子は見ていられませんでした・・・。

そして、その後にIT社長の家で行われることとなった呑気なパーティー。


半地下の家があんな状態になっていることなんて知ることもな区行われているその様子もとても象徴的でした・・・。

世界的に起きている

このような映画が世界的にヒットするということは、韓国だけでなく、全世界的に同様なことが起きているからだと思います。


『持っている』裕福な一部の人たちは富を増やし続け、そうではないたくさんの人がいる。

格差の下方にいる人たちは常に不満をため込んでいて、それが臨界点に達すると怒りを晴らすかのような事件が起こる。


現実でも起こっていることですし、同じような現実を描いている作品も多くなっている気がします。


特にこの『パラサイト』で描かれている半地下という状況は、とても象徴的でもあるように思えます。

決して見えない存在ではないのですが、隠れているわけでもありません。

そんな人たちがたくさんいるのです。

最後は

映画のラストは、父親を助けるべく息子がどうすればいいかを語るシーンで終わります。


「正攻法でお金を稼ぎます。」ということが語られるのですが、それこそがいかに大変なことであるかはこの映画を見ていれば分かると思います・・・。

それは真っ当なやり方で、本質的な解決にもなることであることは間違い無いのですが、それこそが最も難しいことなのです。

それができないから半地下にいるんだよ・・・という感じだからです。


見終えてみて、ずーっと先の予想がつかずに楽しめる作品でした。

韓国の社会的な問題をテーマとして扱っていると同時に、世界的に共通するものを扱っていもいます。

途中ホラー的な展開もあったりして、怖い部分も少しだけあったりしました。

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