感想・要約『Rの異常な愛情-或る男の日本語ラップについての妄想-』

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最近『フリースタイルダンジョン』を始め、日本語ラップにはまっています。


それで手にとって読んでみたのがこの本です。

これはラッパーのR-指定さんによる『Rの異常な愛情』というトークイベントをまとめた書籍となっています。


般若さんや、RHYMSTERさんなどの有名な人たちだけでなく、結構マニアックな人たちの名前も登場している様子。

日本語ラップについての個人的なヒストリーを話している様で、結果的に日本語ラップというものの全てを総ざらいする様な内容になっている様な気がしました。


(僕もめちゃくちゃ詳しいというわけではなく、知らない人もたくさんいました・・・。)

読み終えてみて

250ページほどの本で、結構スラスラと読めました。

読み終えてみて思ったのは、この人本当にラップ好きなんだな・・・ということ。


R-指定さんといえば、今や日本のラッパーとしてはトップクラスの位置にいる人です。

『フリースタイルダンジョン』でもラスボスとして君臨していて、Creepy Nutsとしても活動しています。


この本はそんな彼がどの様な人の、どの様な曲に影響を受けてきたのかが語られています。

この本を読んで、彼の強さの秘訣が分かった様な気がしました。


彼は本当に日本語ラップというものが大好きで、それを作り上げてきた人たちに、この上ないリスペクトを持っています。

そして、その線上に自分もいるのだということにもとても意識的です。


偉大な人たちが作り上げてきたものの先に自分はいて、それを先へとしっかりと繋げなければならないとも思っている感じがしました。

R-指定さんの分析

そして、この本はR-指定さんの努力が垣間見える本でもあります。


ラップの世界においてもセンスや才能というものはあるのだろうと思います。

そして、R-指定さんはその才能ある人なのだと思うのですが、この本を読むと、とても冷静にラップというものを分析的に見ていることが分かります。


中でもびっくりしたのが、般若さんに関する分析ノートという手書きの分析が載っています。

(正直、僕の浅い知識ではほとんど理解することはできてはいないのですが・・・。)

RHYMSTERと

さらに最後の方にはRHYMSTERさんに関する章があり、巻末にはMummy-Dさんとの対談も掲載されています。

R-指定さんはRHYMSTERに強く影響を受けているとのことです。


僕はここを読んで、R-指定さんのラッパーとしての姿勢や、Creepy Nutsとして作る音楽の感じなんかが妙に腑に落ちた様な気がしました。


ラッパーに対し『強い』『怖い』という様なイメージを持っている人もいるかもしれません。

実際にそっち寄りの人もいるのですが、RHYMSTER やCreepy Nutsの音楽はそうではありません。


どこかインテリジェンスな感じを残しながらも、自分たちのカッコ悪さを歌っている様な曲が多いです。


そして、日本語でラップをやるということのある種の『歪さ』をしっかりと自覚した上で、日本語でラップをやることのかっこよさを正面から示そうとしています。


『アメリカが本場だ』と思う人もいるのかもしれないが、今の日本の『現場』こそが『本場』だということで、ラップをやることに勇気をもらえたとも書かれていました。

なるほどな・・・。

知れば知るほど

この本の中には韻の踏み方など、結構玄人向けの技術の話なんかも書かれています。

本当に知れば知るほど、日本語ラップって奥が深すぎます・・・。


ラップの気持ち良さは文章として読むだけではイマイチ分からないことがあります。

しかし、それを自分で口ずさんでみたり、誰かが歌うのを聞くと『あぁ気持ちいな・・・』と分かることがあります。


音楽として立ち上げることで初めてその魅力が分かるものでもあるのです。

そう考えるとラップはとても本質的に音楽的なことをやっているとも言えるかも知れません。


とりあえず、この本で出てきた人の曲。少しずつ聴いていこうと思います・・・。

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