
アカデミー賞も獲っているディズニーアニメです。
『ズートピア』
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作の3Dアニメーション映画で、2016年に公開されました。
制作総指揮はジョン・ラセター、監督はバイロン・ハワード、音楽はマイケル・ジアッチーノなど、様々なディズニー映画に携わったたくさんの人が制作に参加しています。
日本では2016年4月23日に公開され、最終的な興行収入は76.8億円となっており、その年の日本で公開された映画の中で4位となるヒット作ともなっています。
動物だけが存在する世界を舞台とし、努力、夢、差別など、様々なテーマが含まれている作品となっています。
第89回のアカデミー賞では長編アニメ部門を受賞しています。
あらすじ
田舎町のバニーバロウに暮らすウサギのジュディは、「より良い世界を作るため」、警察官になることを夢見ていた。
しかし、両親を始め、周りからは警察官はウサギの仕事ではないと反対していた。
15年が経過し、ジュディは持ち前の真面目さで警察学校を首席で卒業し、ライオンハート市長のいる市の中心地へ配属される。
ジュディの所属する課は連発している行方不明者の捜索を担当することとなる。
肉食動物たちが割り当てられていく中、ウサギであるジュディには違法駐車の取り締まりが命じられる。
不満を感じながらも仕事を頑張るジュディだったが、仕事の最中にアイスを売っている狐であるニックと出会う。
ニックはアイスを転売している詐欺師であったが、ジュディはニックとともに行方不明事件の捜査に関わることとなり・・・。
2016年のディズニー映画
『ズートピアは2016年に公開されたディズニーのアニメ映画です。
劇場で見ることはできていなかったのですが、DVDで見たのと、テレビで放送していたのも見ました。
この作品もさすがディズニーと思えるようなとてもいい映画で、本当によくできた作品です。
制作にはたくさんの人が携わっていて、今までヒットした映画を生み出している人が関わっています。
そんな人たちが集まって作られたのがこの作品です。
間口は広く
ディズニー映画というだけあって、表面的には誰でも楽しめるものともなっています。
小さい子供から大人まで、誰が見ても笑えるところもあったりしながら、分かりやすい話ともなっています。
しかし、実はとてもセンシティブなことを扱っている作品でもあります。
それは『差別』という問題です。
舞台となる世界は擬人化された動物たちが共存しています。
大きい動物から小さい動物も、肉食動物も草食動物も共存している世界が描かれています。
正直、多様性ある動物たちが共存している世界を見ているだけでも結構面白いです。
小さい動物のためのものがあったり、大きい動物のための設備があったり、本当に工夫がなされている世界観で、なるほどな・・・と結構思います。
そんな世界なのですが、決して『差別』が存在しないかというとそんなことはありません。
肉食動物と草食動物とは、お互いにお互いに対して偏見を持っています。
表面的には上手くやっているように見えるライオンの市長と、ヒツジの副市長も実はそれぞれ思うことがあるのです。
世界の複雑さ
世界はとても普遍的でありながらも、とても複雑なものなんだなということをこの映画を見て思いました。
この映画には人間は登場しません。
しかし、人間の持っている普遍的な姿を描き出している映画でもあります。
娘を送り出す親の姿や、危険な仕事につかないことを喜ぶ姿。
自分ではどうすることもできないところで抱かれる、自分に対してのイメージ。
こうあるべきだという姿を求められる様子なんかは、人間の世界でも当たり前のようにあることです。
肉食動物と草食動物の対立のように描かれているのですが、この映画のすごいところは、どっちが悪いというような単純な構図にはしていないところです。
ある特定の誰かを悪役として解決するような形にはしておらず、問題も決して本質的に解決してはいません。
そんな世界で、いかに生きるかという『バランス』を提示している映画とも言えるかもしれません。
『差別』を根本から無くすことは難しいかもしれないけれど、『バランス』を取ることならできるというメッセージを感じます。
さらにその先にある本質的な多様性なものを肯定しているようにも思えました。
時々見たくなるかも
正直、ただ見ているだけでも誰しもが楽しめる作品です。
その辺りはさすがディズニーだな・・・と改めて。
それでいて、含まれているメッセージは極めて現代的で、深いテーマでもあるのです。
だからこそディズニーはすごいんだな・・・。