感想・要約『マックスウェルの悪魔 確率から物理学へ:都筑卓司』小さな小人の話

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興味があって読んでみました。

『マックスウェルの悪魔』

都筑卓司さんによる著作で、2002年に講談社より刊行されました。

スコットランドの物理学者であるジェームズ・クラーク・マクスウェルが考えた『マックスウェルの悪魔』という思考実験に関する本です。


永久機関やエントロピーなど様々な物理学の話を図で示しながら分かりやすく書かれている本です。

マックスウェルの悪魔とは?

物理学の中に熱力学第二法則というものがあります。

熱い空気と、冷たい空気が同じ空間にあればそれは次第に混ざり、部屋は一定の温度になる。


コーヒーと牛乳を混ぜるとそれは混ざり合い、再び分離することは極めて難しい。

というような法則のことです。


つまり、ざっくりいうと整然としたものは自然に乱雑な状態となることはあるが、その逆は極めて難しい。という法則のことです。

(これに関する本は多く、とても奥が深い話でもあります。)


それに対し、物理学者のマックスウェルが考えたのが『マックスウェルの悪魔』という存在です。


①水と酒が混ざり合っている液体が入った瓶があり、その中央に小さな小窓のついた仕切りがあるとします

②そこには小さな小人がついていて、その小人は水は左、酒は右へと誘導する力を持っている

③すると、最終的には仕切りを境に混ざっていた液体は水と酒とに完全に分離される


この小さな小人のことを『マックスウェルの悪魔』と考えたのです。

当たり前すぎて

別の本を読んでいた時に、名前が挙がっていて興味を持ったのがこの『マックスウェルの悪魔』という本です。

悪魔などという空想的な世界と最も遠いところにあるような物理学の世界において、こんな思考があるのだということが面白そうだなと思って、読んでみました。


この本は、途中専門的なこともありながらも、とても読みやすく、分かりやすくまとめられています。

物理学の知識があまりない人でも読むことのできる本だと思いました。(僕もそうでした)


扱っていることは結構普段の日常に即していることも多かったりして、面白く読むことができました。


コーヒーとミルクを混ぜると、それらは完全に混ざり合い、再び分けることは難しい。

そりゃそうだろう・・・と思うのが普通の感覚かもしれません。

しかし、そこに疑問を持ち、こんな考え方もできるのでは?と考えるのが物理学者なのかもしれないなとこの本を読んで思いました。

物理の身近さと奥深さ

僕自身は物理に関しては決して知識が豊富だというわけではないのですが、こういう本を読むと物理って面白いなと思います。

物理は実はとても身近にあるものでありながらも、突き詰めていけば本当に奥が深いものです。


この本で扱われている『マックスウェルの悪魔』に関してもそうです。


水とお酒を混ぜることは簡単だけど、分けることはとても難しい。

そんなことは子供でもお年寄りでも当然のこととして理解しています。


しかし、それがなぜなのか。

それが本当に不可能なことなのか。ということを考えていくと、とても奥が深いのです。


そしてこの本ではエントロピーに関することも書かれています。

エントロピーとは熱力学における『乱雑さ』を表しています。


エントロピーが高いほど分子の自由度が高いとも言えます。

この本には人間は反エントロピーの創造者であるということが書かれています。

台風などの自然現象によって石が人の形になることは極めて稀かもしれないけれど、人間は意思を持ってそれを行なっているのです。


人間は本質的にエントロピーに逆らうようにできているのかもしれません。

知れば知るほど奥が深すぎる

物理学は本当に奥が深い学問です。

僕の兄も物理の研究者をしているのですが、本当に難しいことを扱っています。


聞けば聞くほど分からなくなります・・・笑。

でも、このように分かりやすく書かれている本もあります。

こういう本をきっかけに物理学に興味を持つ人がいると嬉しいなと思います。

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