
サイタマノラッパーシリーズ第2弾となった映画です。
『SR サイタマノラッパー2 傷だらけのライム』
『SR サイタマノラッパー』の続編となる日本映画で、2010年に公開されました。
監督は引き続き入江悠さんとなっています。
群馬を舞台とし、女子ラッパーグループを山田真歩さん、安藤サクラさんなどが演じています。
前作に引き続きIKKUとTOM役として駒木根隆介さん、水澤 紳吾さんも出演しています。
あらすじ
埼玉のHIPHOPグループとしていつかライブする日を夢見るIKKUとTOMは、今は亡きタケダ先輩が伝説のライブを行ったとされる群馬の田舎を訪れていた。
群馬でこんにゃく屋の娘として働くアユムは、かつてタケダ先輩のライブを見て衝撃を受け、一番弟子を名乗る女子ラッパーだった。
借金を抱えて東京から群馬へ戻ってきていた旅館の娘であるミッツは、かつて高校生の時に『B-hack』としてラップを披露したメンバーであった。
同じくメンバーであったクドーやマミー、ビヨンセらとも再会し、あの頃の輝きを取り戻すべく20台後半となった女子たちが動き始めるが・・・。
サイタマノラッパーの続編
『SR サイタマノラッパー2 傷だらけのライム』は2009年に公開された『SRサイタマノラッパー』の続編となる作品です。
舞台は群馬県の田舎となり、そこにいる女子ラッパーのグループの様子が描かれています。
前作に引き続きIKKUとTOMも登場しているのですが、彼らはあくまで脇役としての登場です。
メインとなる女子ラッパーの『B-hack』の5人はもうすぐ30歳を迎えようかとしているアラサーの女子たちです。
それぞれが決して軽くはない現実と直面しています。
アユムはこんにゃく屋として単調な日々を送っていて、ミッツは多大な借金を抱えています。
マミーはソープ嬢として働いていて、ビヨンセも父親が選挙に落選していまいす。
そんな彼女たちがかつての輝きを取り戻すべく、『B-hack』を再結成するのですが、又しても現実の前に彼女たちは打ちのめされてしまいます。
ラップに乗せて
彼女たちが高校生の時に披露していたラップの歌詞は希望に溢れています。
それぞれが『なりたい自分』を持っていて、明るい未来を思い描いています。
しかし、再集結した彼女たちがそのラップを市営プールで披露する場面があります。
この場面は本当に胃が痛くなります・・・。
前作の市役所でのライブのように、HIPHOPと世間との距離を見せつけられるシーンとなっているからです。
そして、彼女たちがいかにかつての自分が思い描いた『なりたい自分』とかけ離れていることを映画を見ている人たちは知っています。
それゆえにこのシーンは本当に厳しく、彼女たちの現実をまざまざと見せつけられるシーンとなっています。
そして、このシーンはまたしてもワンカットで撮られています。
見ている側は、『早く終わってくれ・・・』と思ってしまいます。
その後の彼女たちは・・・。
そんなライブを経て、もう自分たちは若くないのだと知った彼女たちは、それぞれの現実へと戻っていきます。
それぞれの決して満たされてはいない現実へと戻っていくのです。
アユムは単調なこんにゃく屋の生活へ、ミッツは借金まみれの旅館へと戻るのです。
そして迎えるのが最後の葬式のシーンです。
ここは前作の居酒屋のシーンとも言えるシーンで、ここでアユムとミッツがラップを披露します。
周りからの冷たい視線なんかも感じながらも彼女たちは本当の言葉を乗せていくこととなります。
前作に続きこのシーンはとても緊張感があり、美しものとなっています。
どうなるんだろう?とずっと思わざるを得ないのと同時に、ここでの言葉はとても本質的なものとなっています。
SHO-GUNGの2人は
舞台である群馬の土地で彼女らと接触するのがSHO-GUNGの2人です。
前作に引き続き登場しているIKKUとTOMはタケダ先輩の伝説のライブの場所をということで群馬を訪れています。
彼らはこの作品でもとてもいい味を出しています。
彼らは原作でHIPHOPを諦めたかのように思えたのですが、そうではないことが分かります。
経緯は描かれることはないのですが、彼らはラップを続けていたのです。
彼らは群馬で自分たちと似たような女子ラップグループと出会うのです。
彼らがラップでディスり合うようなシーンがあるのですが、IKKUとTOMはどこか嬉しそうにも見えます。
性別は違えど、場所は違えど、同じようにHIPHOPを好きな人に出会うことがきっと嬉しかったのではないかと思います。
『そんなのHIPHOPじゃねえ!』みたいなセリフは見ていて愛おしくなるほどです。笑
その先も続いていく
この先も映画、ドラマと続編が作られていくこととなる『SR サイタマノラッパー』シリーズ。
今となっては人気シリーズとなっているこれらの作品の2作目となるのが、この作品です。
1作目からは確実にアップデートされていて、次作へと繋がっていくとても面白い作品です。
『なりたかった自分いんれていない』という感覚は20台後半から30歳頃にかけて誰しもが思うことではないでしょうか。
途中緊張感のあるシーンもありながら、全体を通してはとてもコミカルで笑える映画ともなっています。