感想・解説『オーデュボンの祈り:伊坂幸太郎』人気作家のデビュー作

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初めて読んだのは高校生の時だった気がします。

『オーデュボンの祈り』

小説家の伊坂幸太郎さんのデビュー作となる推理小説です。


2000年に第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、同年に単行本が新潮社から出版されました。

2003年には文庫版も新潮文庫より発売され、2004年にはラジオドラマ化、2009年には漫画化、2011年には舞台化もされています。

あらすじ

コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気がつくとある島にいた。

島は『萩島』という名前で江戸時代から外界から遮断されている島だった。


そこは嘘しか言わない画家や、殺人を許されている男、未来が見え、人の言葉を話すことのできるカカシなど、不思議な人がたくさんいる島だった。


伊藤が島に到着した翌日に「未来が見える」カカシがバラバラに殺されてしまう。

なぜ「未来の見える」カカシは自分の死を予測し阻止することができなかったのか・・・。

伊坂幸太郎さんのデビュー作

『オーデュボンの祈り』は伊坂幸太郎さんのデビュー作となる小説です。

伊坂幸太郎さんといえば、今でも精力的に執筆を続けていて、定期的に小説が発売されている人気小説家です。


伊坂さんの小説は昔からとても好きで、時間を見つけてはほとんどの作品を読んでいるような気がします。

そして、『オーデュボンの祈り』はそんな伊坂さんのデビュー作で、発表されたのはもう20年近く前になります。

高校3年生の時に初めて読んで、とても面白かったのを覚えています。


デビュー作にその作家の全てがすでに含まれている、というようなことをよく聞きます。

まさにその通りで、『オーデュボンの祈り』には伊坂幸太郎さんという作家の魅力がたくさん詰まった作品となっています。

伊坂幸太郎さんの小説の魅力とは

伊坂幸太郎さんの小説の魅力は僕が思うに、

「平行して進行している幾つかの話が、次第にリンクし合い、最終的に一つに収斂していく」

というところです。


形は違えど、ほとんどの小説がそのような構成をしているような気がします。

そして、どの作品もとても面白いのが凄いところです。


平行している話が少しずつリンクしていて、それを何気なく読者に伝えるのがとても上手いです。

そして、それに気がついた瞬間におそらく「小説でしか味わうことのできない快楽」を感じることができます。

村上春樹的?

伊坂幸太郎さんの小説はどこか村上春樹的だと言われることもあります。

確かに似ている部分もあるのですが、両者は微妙に、しかし確実に違っていて、個人的にはどちらも好きです。


村上春樹さんの方が、よりパーソナルな物語を描いているような気がします。

『ねじまき鳥クロニクル』では、主人公が井戸の底にいるだけのシーンが100ページほどあったりします。

こんなシーンを小説で成立させられるような作家を僕は村上春樹さん以外に知りません・・・。


伊坂さんの小説は、村上春樹さんの小説より少し読者寄りとなっている気がします。

読者を楽しませる娯楽性が高いと思います。

オーデュボンの祈り

『オーデュボンの祈り』は『萩島』という島に伊藤という人物が辿り着き、不思議な体験をする話です。


正直、あらすじを読んだだけでもこの小説は面白いに違いないと思いました・・・。

なぜ未来を見通せるカカシが自らの死を止めることができなかったのか・・・という。


友人から勧められてこのあらすじを読んで、僕はすぐに書店に行ってこの本を買いました。

そして、一気に読んだことを覚えています。


そこから伊坂さんのファンになってしまいました。

最近も新刊が続々と発売されています。

まだ全ては読めてはいないのですが、少しずつ読んでいこうと思っています。

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