感想・解説『十五少年漂流記』少年たちの成長譚

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今更ながら読んでみました。

『十五少年漂流記』

フランスの小説家であるジュール・ヴェルヌによる著作で、1888年に書かれたものです。

原題は『Deux Ans de Vacances』で、直訳すると『2年間の休暇』という意味です。


明治29年(1896年)に森田思軒によって日本語訳され、出版されました。

この翻訳は、フランス語による原書ではなく、英訳版である『太平洋漂流(A drift in the Pacific)』の方を底本として使われていると言われています。


『十五少年漂流記』は日本でも大きな成功を収めている本であり、ほとんど全ての少年が森田思軒の訳版を読んで育ったと言われるほどだったそうです。

あらすじ

15人の少年を乗せた『スルギ号』という船はニュージーランドから漂流し、見知らぬ土地へ流れ着いてしまう。

島に流れ着いた少年たちは、自分たちがいる土地のことを調査し、そこが無人島であることを確認する。


初めは船で暮らしていた少年たちだったが、島の中にある洞窟を見つけ移り住む。

そこで一人の少年を大統領と仕立て、島の中で生きていくべく奮闘する。


島から抜け出すことができずに2年がたったある日、浜辺にある船が難破しているのを発見する。

船には何人かの生存者が残っていたようで、少年たちと接触することとなり・・・。

とても有名な冒険小説

『十五少年漂流記』は、1800年代後半に書かれた冒険小説です。

作者はフランス人であるジュール・ヴェルヌとう作家で、たくさんの冒険小説を書いている人物です。


存在は知っていて、どこかで少し読んだことがあったような気もしているのですが、改めてしっかりと読みました。

『十五少年漂流記』は世界的に大成功を収めている小説であり、たくさんの国で、たくさんの人に読まれています。

少年たちの奮闘記

話は15人の少年が乗っている『スルギ号』という船が漂流し、とある島にたどり着くところから始まります。


全員が10歳前後の少年たちのみという状況下で、少年たちは島を調査し、住むべき場所を確保し、食べるものを確保して生きていくこととします。

そこで少年たちは対立したりしながらも、成長し、最終的には島から出ることに成功し元の場所へと戻ることとなります。


少年たちの成長譚としての冒険小説となっています。

少年たちは持っている知恵を振り絞り島の中で生きていくのです。


島の輪郭を確かめるところから始まり、洞窟への移住、食料問題、季節の移り変わりなど様々な困難を乗り越えていくこととなるのです。

島へ漂着する大人たち

物語の終盤では、少年たちの住んでいる島へある船が漂着します。

そこに乗っている何人かの大人たちは少年たちの生活に影響を及ぼしていきます。


最終的には彼らの中の二人の人物の協力を得て、島を脱出することとなるのですが、最後の方には激しい戦闘シーンのようなものもあります。

そこで一応の悪役とされている人を倒すこととなるのです。

想像力を掻き立てる

読み通して見て、凄く思ったことは、とても想像力を掻き立てるのがうまい本だったな・・・ということです。


少年たちの漂着した島の地図のようなものが冒頭についてはいるのですが、読み進めていけば自然と島の全貌が頭の中に出来上がってくるようになっています。

そして、島の風景も決して行ったことのないで島でありながらも、非常に自然に島の風景が頭の中に思い描くことができるようになっています。


15人の少年たちも、そのすべての特徴や性格を把握していなくても読み進めていくことができるようになっていると思いました。

おそらく描かれている少年たちの名前にはあまり意味はなく、その誰しもが代替可能な存在でもあるような気がしました。


大統領と選ばれる少年がいれば、最後の方である罪を告白する少年もいます。

それは彼らの中の誰であっても物語は成立します。


少年たちはそれぞれ特徴付けされてはいるのですが、その特徴は別に他の誰かが持っていても構わないのです。

15人の少年たちはまるで一つの生命体であるかのように動いているです。

とても読みやすい本

翻訳本でありながらも、決して読みにくい本ではありません。

むしろ、同じくらいの年齢の少年でも読むことのできる本となっています。

それでいて、大人が読んでも決して退屈なものとはなっていません。

いい小説とはそういうものなのかもしれないな・・・と改めて思いました。

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