
4年ぶりとなる新刊発売されたので、感想書きます・・・。
お笑い漫画
『べしゃり暮らし』は、ヤングジャンプで連載されていた森田まさのりさんによる漫画です。
19巻で一度完結していたのですが、テレビドラマ化することに伴い、続編である20巻が執筆されました。
この漫画はギャグ漫画とはまた違う『お笑い』を扱っている漫画です。
僕の知る限り、ここまで現実の世界に即したお笑いの世界を描いている漫画は他にありません。
作者の森田さんは実際に吉本の芸人養成所であるNSCという学校に通っています。
漫画のために実際に養成所に通い、M-1グランプリにも出場しています。
そんな森田さんがお笑いの世界の華やかな部分から、裏側まで様々な角度から『お笑い』を描いているのがこの作品です。
高校生の時から読んでました
この作品は高校生の頃から読んでいたとても好きな作品です。
自分もお笑い芸人を志しそうになる程好きな漫画でした。
(しかし、その勇気はなく、普通の道を選んでいます・・・笑)
高校生だった上妻圭右は、学生時代からプロとして漫才をしていた関西人である辻本とコンビを組み、漫才師を志します。
様々なことを経て、NMCという漫才グランプリ(M-1グランプリのような大会)に出場を決めたところで一度物語は完結しています。
しかし、森田さんはドラマ化することとなったらあとコミック1巻分を書こうと決めていたそうです。
それで書かれたのがこの20巻です。
お笑い漫画にすること
この20巻は、NMCというお笑いグランプリのことが描かれています。
『べしゃり暮らし』という主人公たちのコンビもこの大会の決勝に進んでいます。
読んでみて、いかにお笑いを漫画にすることが難しいかということ改めて分かったような気がしました・・・。
そして、森田さんがいかに細かいところまで気を使って、漫画で最善を尽くしているのかも伝わってきます。
漫画は当然のことながら、音で何かを伝えることはできません。
そして、笑い声を伝えることもできません。
漫才の掛け合いというか、テンポを伝えることもできなければ、笑いが起きているという場の空気を伝えることもできないのです。
そして、面白いお笑いのセリフや、漫才も、言葉として漫画のセリフとしてしまうと、途端にその面白みが失われてしまうことさえあります。
そんな難しいことを漫画にすることにはとても強い覚悟が必要だと思います。
現実の芸人たちから受け入れられない可能性もあります。
お笑いグランプリ
20巻で扱われているNMC(ニッポン漫才クラシック)という大会は、ほとんどM-1グランプリをそのまま再現しています。
何組かのお笑いコンビが決勝に進んでいて、そこで漫才を披露し、日本一を決めるというものです。
大会の審査や、優勝を決める仕組みまでほとんどM-1そのものです。
しかし、現実のM-1と異なっているのは、M-1は漫才の番組として成立させるだけでいいものを、漫画にするとなるとそこにもう一つ視点を持ち込まなければなりません。
ただ漫才を連続して披露するだけでは漫画としては成立することはないので、ネタを披露するという部分は描きながらも、その裏側も描かなければならないのです。
このバランスは本当に難しいのだろうなと思いながらも・・・見事に書いていると思いました。
それぞれのコンビにはそれぞれのストーリーがあって、その全てを包括する漫画としてのストーリーがある。
とても漫画として純粋に面白いです。
続編があるとのこと
最後は、一つのクライマックスを迎えていながらも、続きがありそうな形で終わっています。
作者のコメントにも、この先もプロ編を書くつもりとのことが書かれています。
この先の展開もとても楽しみな漫画の一つです。
(ドラマ版は、少し時間がなくて見れていませんが、時間があれば見たいと思っています・・・。)