
改めてこの方の凄さを知った本でした。
『遺書』
お笑いコンビ、ダウンタウンの松本人志さんによる著作で、朝日新聞社より1994年9月1日に初版となりました。
「週刊朝日」に1993年から連載されたものをまとめたもので、250万部以上を売り上げるベストセラーとなっています。
1990年代に
松本さんの連載をまとめた本である『遺書』。
1994年発売されてベストセラーとなっている本です。
30歳上くらいの人で、お笑いに興味がある人であれば、おそらくほとんどの人が読んだことのある本だと思います。
僕も何年か前にこの本を読んで衝撃を受けました。
そして、お笑いがもっと好きになるとともに、松本さんの凄さを改めて知った本でした。
1994年といえば、僕はその当時まだ子供だったのですが、ダウンタウンというコンビがとてつもない勢いを持っていた時代です。
ダウンタウンに限らず、1990年代はたくさんのものが生み出されていた時代だと思います。
いまだに第一線で活躍し続けているダウンタウンですが、そんな彼らが絶頂ともいるようんな時に出版されたのがこの『遺書』です。
全てが書かれているような・・・
この『遺書』には、大げさな話でなく、松本人志という人間の全てが書かれていると思います。
もっといえば、『お笑い』というものに関する全てが書かれているとも思いました。
書かれているテーマは多岐にわたっています。
プライベートの話や、テレビ界、お笑い界全体の話。
お笑い界の先輩、後輩の話。
笑いとは何か。笑いの才能とは何か。
そして、自分自身の才能の話。
どれも今までに読んだことのなかったようなことばかりが書かれていて、とても面白い話ばかりでした。
1993年頃といえば、松本さんがちょうど30歳頃の時です。
芸人として、全国区として活躍している時のことです。
『遺書』はまさにその頃のギラギラしたような考え方を隠すことなく書かれています。
松本さんは自分の才能に絶対の自信を持っています。
それは見る人が見れば不快に感じる人もいるかもしれません。
しかし、僕もそうでしたが、読んだ人の多くはそうは思ってはいないような気がします。
「かっこいい・・・」
おそらく多くの人はそう思ったのではないでしょうか。
この本を読むと、松本さんがいかに才能豊かであるのかと同時に、いかに強い覚悟を持って「お笑い」と向き合っているのかが分かります。
面白い奴とは
面白かったのが『おもしろい奴の3大条件』という話です。
ここには松本さんの考える面白い奴の条件が書かれています。
松本さん曰く、その条件とは「ネクラ」「貧乏」「女好き」だと言います。
おもしろい奴とは、実は暗い人が多く、一人の世界を持っていている人が多く、家が貧乏だとそれをなんとかしようと想像力が豊かになる。
そして、女好きだと口がうまくなっていくからだというのです。
これは、なかなか意外だなと思ってしまいました。
そして、なぜか少し勇気付けられた自分がいました・・・。
今現役で活躍しているたくさんの芸人たちがいます。
そんな芸人さんたちの多くが同じように勇気つけられていたのかもしれません。
『遺書』はたくさんの芸人に影響を与えている本だと思います。
もっといえば、芸人側だけでなく、見る側の一般人の意識を変えることともなった一冊のような気がします。
他の芸人へのリスペクト
松本さんは自信家でありながらも、他の力ある芸人さんたちのことはしっかりと認めています。
島田紳助さんや、今田耕司さんと東野幸治さん、板尾創路さん、そして相方である浜田さんなどです。
彼らのような存在を同じお笑い界を背負っている人間としてしっかりとその才能を認めています。
そして、松本さんはとても「お笑い」のことを愛しているのだということが分かります。
最近も吉本のことで色々とありましたが、松本さんはお笑いが好きで、お笑いを好きな人のことが好きだと言っています。
そんな人たちが笑うことができないような状態は悲しいというようなことを言っていました。
個人的にこの姿勢はとても嬉しかったです・・・。
お笑いがなくなってしまうと、僕の生活もとても味気ないものとなってしまいます。
次の世代は
松本人志さんは、間違いなくお笑い界の歴史を変えた人ですし、彼以前と以後とで分けることができてしまうほどの影響力を持っている人です。
しかし、松本さんも歳をとり、いつかは引退する日が来るのでしょう。
そろそろネクストダウンタウン、ネクスト松本人志となるような芸人ができてきて欲しいと思いますし、出てきそうな気もしています。
ダウンタウンの凄さを知らない世代が出てくる日がくるのです。
これからお笑いの世界はどうなっていくのでしょうか・・・・。