
金曜ロードSHOWで放送されていました。
『天空の城ラピュタ』
宮崎駿監督による日本の長編アニメーション。
スタジオジブリ制作の映画としては初となる作品で、原作のないオリジナルアニメーションとなっています。
1985年から86年にかけて制作され、1986年8月2日に公開されました。
劇中に出てくる『ラピュタ』という名前はガリヴァー旅行記から取っているとのことです。。
ガリヴァー旅行記の作者であるスウィフトの名前も出てきますが、名前以外に直接的な関係はありません。
主題歌は宮崎駿さん作詞の、久石譲さん作曲による『君をのせて』という曲で、劇盤も久石譲さんが担当しています。
あらすじ
少女シータは、捕らえられ政府の飛空挺に乗せられていた。
彼らの狙いは、シータが母親から受け継いだ不思議な青い石だった。
飛空挺は同じくその石を狙う空中海賊であるドーラ一家の襲撃を受ける。
シータは逃げようとしたところ、誤って飛空挺から落下してしまう。
上空から落下していくシータだったが、青い光を放つ石の力によりゆっくりと落ちていき、鉱山で働く少年パズーに助けられる。
パズーは村で一人暮らしをしている少年で、父親が見たというラピュタを見つけるという夢を持っていた。
そんな二人の元にシータを追っている海賊が現れる。
シータが追われていることを知ったパズーはシータを助けるべく一緒に逃げることとするが・・・。
生まれる前のジブリ作品
おそらく日本人のほとんどが知っているであろうアニメーション映画『天空の城ラピュタ』。
今までもテレビで何度も放送されていて、何度か見たことのある作品でした。
先日金曜ロードSHOWで放映されていて、改めて見てみました。
歳を重ねてから見てみると、また別の見え方をするような部分もありました。
何よりも昭和の時代にここまでクオリテイの高いアニメがあったのだということがとても驚きです。
宮崎駿さんは、鳥山明さんにも通ずるところもあるのですが、『日本ではないどこか別の国』を描くのが本当にうまいな・・・と。
そして、現代ではまだ実現できていないながらも、いつかは実現できそうな科学技術をごく自然に盛り込んでいるという絶妙な世界観を作り出すのが本当にうまいです。
飛行石や、ラピュタは完全にSF的世界のものかもしれません。
しかし、ドーラ一家という海賊が乗っている乗り物。
羽があって、自由に移動できるような絶妙な乗り物が登場するのですが、これはいつの日か実現できるのではないかと思わせてくれます。
パズーは、村で一人暮らしをしている少年です。
親もなく、一人で暮らしている『かわいそうな』少年という見方もできるのですが、彼はそんなそぶりを見せることもなく、楽しそうに強く生きています。
彼の姿を見ると、なぜかこう思います。
『自分もここで暮らしてみたい・・・』と。
一人孤独に暮らしているパズーなのですが、どこか幸福そうに見えるのです。
久石以上さんの音楽
そして、ジブリ作品ではもはや定番となっている久石譲さんの音楽。
ラピュタの音楽も久石譲さんが担当しています。
正直、この人の音楽は圧巻です。
映画の冒頭から切ないようで、懐かしいような絶妙な曲で物語に引き込まれます。
最近の新海誠さんの映画で特に顕著ですが、映画にとって音楽はとても重要なものです。
映画の魅力と音楽の魅力は不可分であり、お互いがお互いを引き立てることのできる力を持っています。
そして、主題歌となっている『君をのせて』という曲。
この曲は確か音楽の授業でも扱っていた程有名な曲となっています。
ラピュタの世界観をとても的確に表現している名曲です。
この曲もこの映画の大きな魅力の一つになっていると思います。
伝えたいことは
この映画が本当に伝えたいことはなんなのでしょうか。
それは終盤にシータが口にする『人は土から離れては生きていけないのよ』というセリフ。
このセリフと考え方こそがこの映画の肝ではないかと個人的には思います。
空を飛ぶことのできるという夢のような飛行石という石。
強大な力を持つロボット。
ラピュタは高い文明を持ちながらも、滅びてしまいます。
様々な理由はあるのかもしれませんが、おそらく本質的にはシータの『土から離れては生きていけない』というセリフに集約されています。
ラピュタは上空に浮かんでいる『天空の城』です。
そこには現実離れした超常的な力が宿っています。
しかし、上空はある意味で閉鎖的な世界であり、限界のある場所とも言えます。
資源には限りがあり、おそらく人が長期的に生きていくことはできません。
そして、ラピュタの持っている圧倒的な力。
その力すら、意味があるのかどうかすら疑問です。
力によって奪い合う資源もなければ、支配すべき相手もいないからです。
天空の城は最初からいずれ滅びる運命にあるものであったのかもしれません。
名シーン、名セリフ
改めて観てみて、名シーンや名セリフがなんと多いことでしょうか・・・。
そして、アニメーションの歴史において、日本映画の歴史において大切な意味を持っている傑作であることは間違いなさそうです。
30年以上前の作品であるにも関わらず、色あせない映画ですし、何度でも観れる映画だと思います。
欲を言えば、一度映画館で観てみたいものです・・・。