
ラ・ラ・ランドの監督による映画です。
個人的にはとても好きな映画・・・。
『セッション(原題:Whiplash)』
2014年にアメリカで製作されたドラマ映画です。
原題は『Whiplash』。
監督・脚本は『ラ・ラ・ランド』、『ファースト・マン』でも知られるデイミアン・チャゼルです。
主なキャストは以下の通りとなります。
【キャスト】
アンドリュー・ニーマン:マイルズ・テラー
テレンス・フレッチャー:J・K・シモンズ
ジム・ニーマン:ポール・ライザー
ニコル:メリッサ・ブノワ
ライアン・コノリー:オースティン・ストウェル
第87回アカデミー賞では5部門にノミネートされ、助演男優賞を含め3部門にて受賞しています。
STORY
19歳のアンドリュー・ニーマンは偉大なジャズドラマーになることに憧れ、アメリカ最高峰の音楽学校であるシェイファー音楽院へ通っていた。
ある日、アンドリューが教室でドラムの練習をしている時に学校でも屈指の指揮者と名高いテレンス・フレッチャーと出会う。
後日、初等科での授業にもフレッチャーは訪れ、アンドリューを自分のバンドに入るように誘う。
実力を見出されたことに喜ぶアンドリューだったが、バンドの練習に参加し、その厳しさに衝撃を受ける。
開始早々一人のメンバーが罵詈雑言を浴びせられ、教室から退場することに。
そして、その矛先はアンドリューにも向くのであった。
わずかなテンポのズレで椅子を投げつけられ、頬を叩かれるという屈辱を受ける。
その悔しさをバネに血の滲むような練習に取り組むアンドリューであったが・・・。
アンドリューとフレッチャー
『セッション』は『ラ・ラ・ランド』を観た後に、同じ監督の作品だということで観たのが最初でした。
『セッション』も公開当時から話題にはなっていたらしいのですが、そんなことは全く知りませんでした・・・。
まだ若い監督の作品でありながら、アカデミーにもノミネートされていて、結構な話題になっていたようです。
劇場で見ることはできなかったのですが、DVDで観てみて、個人的にはとても好きな映画となってしまいました。
アンドリューという19歳の少年が偉大なドラマーを目指し、フレッチャーという鬼指揮者の元で奮闘します。
途中、衝撃的な出来事が起こり、二人は離れることとなるのですが、最終的に凄まじいラストシーンへ繋がっていきます。
アンドリューはとても強い野心を持っている青年で、『偉大な何か』を成し遂げることに取り憑かれています。
そして、他のあらゆることを犠牲にしてでも偉大であることこそが美しいというような思想を持っています。
自分自身も徹底的に追い込み、自らアッタクしたガールフレンドとも自ら別れを告げます。
そして、彼を指導するのが鬼教官とも言えるフレッチャーという指揮者です。
彼も『偉大な誰か』を育てることに異常なまでに取り憑かれています。
しかし、なかなかそれがうまくいかずにいる人でもあります。
そんな二人は宿命的に出会い、対立を経て別れることとなるのですが、最後には不思議な絆のようなものが生まれます。
ジャズバーでの会話
学校を離れたフレッチャーとアンドリューがバーで出会い、会話をするシーンがあります。
おそらく、ここで交わされる会話こそが監督のもっとも伝えたいことであり、この映画の主題となっています。
そして、その思想は次作の『ラ・ラ・ランド』にも通ずるものがあります。
フレッチャーは、なぜ自分があそこまでバンドのメンバーに厳しくしているのかを語ります。
悔しさをバネに偉大な演奏者となった人の話をし、『よくやった』『グッジョブ』などという言葉からはそんな演奏は生まれなかったと言います。
しかし、自分は失敗したと。育てることができなかったということを言います。
ここは、デイミアン・チャゼルの若い野心的な考えがとてもよく表れているセリフだと思いました。
『ラ・ラ・ランド』でも、エマ・ストーンのオーディションのシーンでこんな歌詞があります。
『A bit of madness is key』
少しの狂気が鍵だというのです。
なんという野心的でありながら・・・かっこいいんだこの監督は・・・。
そんな考えを青いと思う人もいるかもしれません。
しかし、僕は全くそうは思いません。
むしろ本質的にとても正しく、何かを高みに押し上げるために必要な考え方だと思います。
そして、この監督の凄いところは、野心だけが先走っているだけではなく、実際にそれを形として作り上げることのできる才能を持っているところです。
そして、ラストシーン・・・
そして、この映画の凄まじいところは、やはりラストシーンでだと思います・・・。
最後の10分ほどのシーンは、今まで見たことがない衝撃のシーンでした。
そして、最後はなぜか大きなカタルシスを得られるとともに、なぜか微笑んでしまいます。
周りの世界が存在しないかのようにアンドリューとフレッチャーは二人だけの世界へと没入していきます。
このシーンは本当に凄いです。
ここだけを観るためだけでもいいので、一度観るべき映画だと思います。
途中激しいシーンもありますが、話自体はとてもシンプルです。
おそらくなんの予備知識なく見た人も、多くの人は面白いと思う映画だと思います。
そして、僕は個人的は忘れられない映画となっています。
定期的に見たくなるような映画となっているような気がします。