
少し前に読んだ本です。
『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』
アメリカ人のライターであるスーザン・ケインによる著作で2012年に刊行されました。
原題は『Quiet: The Power of Introverts in a World That Can’t Stop Talking』。
日本では2013年に古草秀子訳で講談社より刊行。
2015年に文庫版も発売されています。
現代社会では、特にアメリカ社会では外向型の人が理想とされています。
人の先頭に立ち、成功するためいは大胆でなければならず、幸福になるためには社交的でなければならないと教えられます。
チーム行動を得意とし、グループ内で社交的に振る舞うような性質の人を賞賛しがちです。
しかし、世の中にはそうではない人もいます。
逆の性質を持っている『内向型』の人たちです。
この本はそんな内向型の人たちがどのような長所を持っていて、いかにして生きていくべきかについて書かれている本です。
内向型の人たちは外向型を理想とする社会では過小評価されてしまいがちです。
しかし、実際はそんなことはありません。
素晴らしいものの多くは内向型の人間によって生み出されているのです。
内向型と外向型
この本は『内向型』の人が持っている強みについて書かれた本です。
本文でも書かれていますが、内向型の人がいなければ生み出されていなかったものが世の中にはたくさんあります。
相対性理論やGoogle、『1984年』や『失われてきた時を求めて』などの文学作品や映画。ゴッホの絵やパソコンなど、内向型の人によって生み出された革新的なものは実は多いのです。
本の冒頭には、自分が内向的な性質を持っているかどうかをチェックするリストのようなものがあります。
チェックが多い人ほど内向的な性質が強いとのことなのですが、僕は結構な内向型のようでした。
この本を読み通してみて、僕のような内向型の人はかなり勇気つけられると思います。
というのも、本書にも書かれているように内向型の人は現代社会では軽視されがちで、損をしているように思えることが結構あるような気がするからです。
共同作業が創造性を殺す
この本には興味深いことがいくつも書かれています。
第3章は『共同作業が創造性を殺す』という章となっています。
ここもとても面白い章でした。
組織において、他者と協力し物事を前へ進めていくことは大切で有効なことです。
しかし、必ずしもすべての組織のすべての場面においてそうではないとこの本には書かれています。
中でも特に『創造的な何か』を行うにあたり、最も適しているのは孤独に作業することなのです。
そして、集団においてお互いに自由に意見を出し合うブレインストーミングというやり方があります。
批判をせずに、自由に行うというようなルールを作ればブレインストーミングは効果的であるようにも思えます。
しかし、多くの場合ブレインストーミングは失敗することの方が多く、集団でアイデアを出すよりも個人でアイデアを出す方が、質・量ともに優れているというのです。
そして、集団の規模が大きくなればなるほどそのパフォーマンスは悪くなるそうです。
この部分を読んで、なるほどな・・・と妙に納得してしまいました。
確かに組織として協力し合わなければならない場面も多々あります。
しかし、新しい何かを考える時、『創造的なアイデア』を出すということに関していうならば、集団よりも個人の方がいいパフォーマンスをすることがあります。
集団であることによって、当事者意識が欠けてしまったり、グループ内での視線が気になってしまうことがあるからです。
強みを生かすこと
この本は『内向型』の良さを書いている本です。
逆に、『外向型』の良さについて書かれている本もたくさんあると思います。
決してこの両者はどちらが優れていて、どちらが劣っているかという話ではないと思います。
どちらも優れている部分もあれば、劣っている部分もあり、それぞれが足りない部分を補い合うことができれば1番の理想なのです。
それぞれが異なっているということを理解し合い、共存できる社会が一番強く、そんな組織が生き残っていくのだと思います。
僕が思う、に内向型の人間は0から1を生み出すことのできる人です。
そして、生み出された1を広め、10にして100にしていくのが上手いのは外交的な人です。
その両者が力を合わせることが成功への近道かもしれません。
それなりに分量のある本ではありますが、自分が内向型だという自覚があり、生き辛さを抱えているような人は是非読んでみてほしい本です。
きっと、勇気をもらえると思います。