感想『シークレット・スーパースター』笑って泣けるインド映画

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満足度が高いとの噂を聞いて、映画館で見てきました。
思わず涙してしまいました・・・。

『シークレット・スーパースター』

2017年に制作されたインド映画。
日本では2019年8月9日に公開されました。

監督・脚本はインド人のアドヴェイト・チャンダンさんで、主役のインシアを在ラー・ワシーム。母親役をメヘル・ヴィジュ。音楽プロデューサーのシャクティをアミール・カーンが演じています。

インド映画としては歴代興行収入3位と、大きな話題となっている作品です。

あらすじ

インドに暮らす14歳の少女インシアは両親と祖母、弟と一緒に暮らしていた。

歌を歌うことの好きなインシアはギターを片手にいつかたくさんの観客の前で歌うことを夢見ていた。


しかし、厳格な父親は叶わない夢を追うことはやめて、現実的に生きることを強要していた。


ある日、父親に隠れて母親は娘にパソコンを買い与える。
そして、姿を隠して歌っている動画をYouTubeアップすることとする。

シークレット・スーパースターと名乗るその動画インド中で話題になり、テレビや新聞でも取り上げられることになるのだが、父親にそのことがバレてしまい・・・。

とても面白いインド映画

ネットでの高い評価を見て、ぜひ見てみたいと、早速映画館で観てきました。

上映館数は決して多くはありません。
僕は渋谷のヒューマントラストシネマで観ました。

劇場はたくさんの人がいて、所々笑いが起きたりと、とてもいい雰囲気でした。
本当に映画の好きな観客ばかりというような感じでした。


シークレット・スーパースターは2017年に制作されたインド映画です。

インド国内でもとても高い評価を得ている映画でもあります。


見終えてみて、それも納得できるようなとてもいい映画でした・・・。

日本人である僕にとっても決して他人事ではないテーマが含まれていて、笑えるところもあり、泣けるところもあり、見終えた後は頑張ろうと思えるような映画です。


主役の少女であるインシアは、歌を歌うことが大好きな少女です。
しかし、父親は厳格であり、夢を見るのはやめて、しっかりと勉強して堅実に生きることを願っています。

好きなことをやることを許されていないインシアですが、母親はそんなインシアの味方となってくれます。


父親に隠れてパソコンを買い、ネット上に顔を隠して動画をアップすることを勧めるのです。

インシアの動画はたちまちインド中で話題となり、少しずつ運命が変わっていくのです。

父と母

この映画でとても重要な意味を持っているのがインシアの両親という存在です。


父親は家族にも厳しい、極めて父権的な価値観を持っています。
それが行きすぎて時には暴力を振るってしまうこともあるような父親です。

それに対し、母親はインシアの味方となってくれる優しい存在です。
娘のやりたいこと、夢を応援し可能な限り協力しようとします。


インシアは『現実』の象徴であるような父親と、『夢』の象徴であるような母親の下に暮らしているのです。


父親はこの映画における悪役のような役割となってしまっていますが、暴力という点を除けば、彼の考え方はある程度は正しく、愛情あるものであるとも言えます。

夢を追うよりも着実に現実を見て、身の丈を知った上で生きていくこと。
これは決して間違ってはいません。夢を追った結果として取り返しのつかないことになるよりは決して悪いことではありません。


それに対する母親の姿勢も決して間違ってはいません。
自分の子供が自分の好きなことを存分にやり、その結果として幸福な人生を送ること。

確率は低かろうが、それを応援することは親としては間違っていません。


そんな両親の挟まれインシアは自分がどうするべきなのかを懸命に探っていくのです。

シャクティ

そして、この映画において欠かせないエッセンスを与えているのが音楽プロデュサーであるシャクティという人物です。

彼は過去の音楽で成功しながらも、現在は少し落ち目となっているプロデューサーです。


彼は最終的にはインシアの強い味方となってなってくれます。
彼は業界に染まっている商業的な人物かと思いきや、実は音楽の持っている力を誰よりも信じている純粋さを持っている人物でもあるのです。


彼はインシアの歌声を聴いて、その純粋さを思い出すのです。

そして、彼の出るシーンはとてもコミカルに描かれていて、劇場でも笑いが起こっていました。

シークレット・スーパースターとは

映画は最終的には最高のハッピーエンドを迎えます。

父親に支配されていた家族は父親から解放され、インシアは夢を叶えます。


そして、最後に語られるのが本当のシークレット・スーパースターとは誰なのかということです。

ネットに姿を隠し動画をアップしていたインシアもそうなのですが、真のシークレット・スーパースターとは母親のことなのです。


母親はたくさんの人に注目されることなく、厳格な夫の下で子供を育てるべく懸命に生きている女性です。

そんな彼女こそが真のシークレット・スーパースターであるというのです。


これはおそらく多くの人が共感できる一つの帰結ではないでしょうか。

世の中は彼女のような人がほとんどです。
たくさんの人の注目されることはないかもしれませんが、家族などの手の届く範囲に生きている人の幸福を願い、懸命に生きている。

そんな人たちこそ真のシークレット・スーパースターなのです。

本当にいい映画・・・

見終えてみて・・・本当にいい映画だなと実感しました。

話の本筋は一人の少女が困難を乗り越え夢を叶えるという話かもしれません。
しかし、この映画にはとても豊かなたくさんの要素が含まれています。


パソコンを手にし、世界とつながることができることを知り、希望を感じるシーン。一つの機械が人生を変えうるのだということを感じることができます。


そして、終盤の空港でのシーン。
今まで運命に逆らうことを諦めていた母親が初めて自分の人生を変えるべく、信念を持って行動するのです。

このシーンはなかなかのカタルシスのあるシーンでした。


そして、インシアと恋に落ちる同級生のチンタンという少年。
彼がまたいい味を出しています。(東南アジア版高良健吾のような顔してます)

世の中にはいい映画がたくさなんあるのだなと改めて感じることのできた映画でした。

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