感想『フォックスキャッチャー』お金と正しさ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

笑えるわけではないですが、面白い映画でした・・・

『フォックスキャッチャー』

2014年に公開されたアメリカ映画です。

1996年に起きたデイブ・シュルツ殺害事件を元としたサスペンス映画です。


監督はベネット・ミラー。主演はスティーヴ・カレルとチャイニング・テイタムが務めています。

2014年のカンヌ国際映画祭ではベネット・ミラーが監督賞を受賞しています。

STORY

1984年のロサンゼルスオリンピックの金メダリストであるマーク・シュルツは、能力あるレスリング選手でありながら、日の目を浴びない生活を送っていた。

幸福な家庭を持ち、同じくレスリング選手である兄のデイヴと共に練習をしながら日々を送っていたマークの元にある電話がかかってくる。


電話の主はデュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポンという人物であった。

彼は『フォックスキャッチャー』というレスリングチームを発足すべくマークをスカウトしたいのであった。


この上ないチャンスであったマークは、すぐにデュポン氏のもとを訪れ、住み込みでレスリングに打ち込む日々を送ることとなる。

デュポン氏は莫大な資産を持ちながら、どこか満たされなさを抱えている人物であった。


マークは初めて兄から離れたところで認められ、懸命にデュポン氏の期待に応えようとするのだが、兄のデイヴを『フォックスキャッチャー』のコーチとして迎えたことで歯車は狂い始め・・・

実話を元にした

『フォックスキャッチャー』は実話を元にした伝記映画です。

1996年に起きたデイヴ・シュルツというレスリング選手の殺害事件を元としています。


映画館では観ていないのですが、面白い映画だということをどこかで耳にしてDVDで観ました。


見終えてみて・・・

これは決して万人受けするような映画ではないと思います。
しかし、僕はこの映画が嫌いではありません。

むしろ、忘れられない映画となってしまいました。


話自体は悲劇の物語です。
財閥の御曹司の承認欲求のために発足されたレスリングチームにおいて、最終的に殺人事件が起こるという話です。

こんな事件が起こっていたことは全く知りませんでした・・・。
しかし、これは現実に起こった事件なのです。

お金と幸福

デュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポンは莫大な資産を持っています。

彼はお金で手にすることのできるものはなんでも手にすることができる人物です。


それに対し、殺害されてしまうデイヴ・シュルツという人物はお金では動かない人物とされています。

幸福な結婚をし、子供たちと幸福に暮らしている人物です。

彼はお金で手にすることのできないたくさんのものを持っている人なのです。


デイブは、一般的に見れば正しい人物です。
家庭を築き、周りの人たちとも調和しながらいきている人物です。

しかし、彼のような『正しい人』がデュポン氏のような人を追い詰めることとなるのです。


デュポン氏は母親に対する強烈な承認欲求を持っています。

なんとかして自分という人物を認めてもらいたいと願っているのです。


それでレスリングチームを作り、結果を残すことで認めてもらおうとするのです。

しかし、デュポン氏の母親は彼の考えを全て見抜いているかのように冷めた目線で彼のことを見ています。

デュポン氏はそれが歯がいくてたまらないのです。

孤独を抱えている二人

デュポン氏と、マークは少し似通っている部分があります。


彼らは言いようのない孤独を抱えている人物です。

彼らはお互いにどこか不足感を抱えていて、それを補うかのように奮闘します。

映画でも彼ら二人でいる間はある種の平和が訪れているように描かれます。


しかし、そんな関係もふとしたことから亀裂が生じてしまい、デュポン氏は兄であるデイヴを呼び寄せることとします。

そこから彼らの歯車は少しずつ狂っていくのです。
そして、最後の悲劇へとつながっていくこととなります・・・。


僕はこの映画の誰とも似通った境遇ではありません。

莫大な資産を持っている財閥の御曹司でもなければ、レスリングの金メダリストでもありません。


しかし、この映画を見ると彼らとどこか共通するものを自分も持っていると考えさせられました。

彼らの悩みや孤独は決して他人事ではありません。
遠い国にいる僕らにも通づる部分のある現実なのだと思います。

こういう映画は・・・

『フォックスキャッチャー』のような映画を時々見たくなる時があります。

これは世界の現実を描いている作品です。

そして、実際に起きた悲劇を元として、私たちに何かを訴えかけてきます。


それは映画の持っている大きな意味の一つではないでしょうか。

映画というものが存在している一つの理由といっても過言でないかと思います。

そんな映画はとても意味のあるものです。
時間を越えて、文化を越えて大切なことを伝えることができるからです。


存在価値のある『情報』として後世へ伝えていくことともなるのです。
『フォックスキャッチャー』はおそらくそんな映画の一つです。

他にも、このような映画をもっと見てみたいです・・・。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*