感想・要約『上級国民/下級国民:橘玲』日本における格差

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Amazonで気になって購入。読んでみました。

『上級国民/下級国民』

橘玲さんによる著作で2019年8月1日に小学館新書より発売されました。

橘玲さんは、作家であり、『マネーロンダリング』、『タックスヘイヴン』など、多数の著作を出版しています。

日本の格差とは

『上級国民/下級国民』は日本に存在している格差について書かれた本です。


2019年の4月に東京の池袋の横断歩道で87歳の男性が運転する車が暴走し、31歳の母親と3歳の娘がはねられる事件が起きました。

この事件をめぐりネット上で飛び交ったのが『上級国民/下級国民』という言葉です。


日本は上級国民と下級国民とに分断されてしまっていて、その両者は隔たれていて、マスコミの扱いにもそれが現れていたというのです。

幸福になれるのは一部の上級国民だけで、下級国民となってしまったら後は搾取され続けるしかない。


この本ではそんなショッキングでありながら、誰しも無関係とは言えないテーマを扱っています。

そして、その格差が『モテ』にも影響していると本書は述べています。

『モテ』は上級国民に独占されていて、そうでない人たちは恋愛市場から排除されているというのです。

現代日本において

現代日本において、格差の問題は切っても切れない問題となっています。

そして、それはすべての人が不可避的に関わらざるを得ない問題でもあります。


日本は世界的には恵まれている国かもしれませんが、年間何万人もの人が自殺しているという自殺大国でもあるのです。

その原因の一つが格差の問題であることは間違いありません。


日本は、最低限の平等は確保されているかもしれませんが、その上に大きな格差が存在している国なのです。

極端な話、それは生まれた瞬間から存在しているものだとも言えます。


貧しい家庭に生まれた子供と、豊かな家庭に生まれた子供とでは、受けられる教育に必然的に差が出てきます。

その差は次第に大きくなっていき、いつしか取り返しのつかないものとなるのです。


残酷かもしれませんが、これは確かに日本社会に存在している現実でもあります。

この本では、そんな格差の問題について色々な角度から書かれています。


中でも『モテ』に関する部分は、なかなかショックな話でもありながら、確かにある話でもあるなと思いました・・・。

分断する日本社会

日本社会は、上級国民と下級国民とに分断されています。

肯定できることではないかもしれないのですが、現実とてそれは存在している事実なのです。


これは難しい問題でもあります・・・。

すべての人が平等となってしまうことは、努力して成功することの意味がなくなってしまうというということにもなってしまいます。

リスクをとって挑戦し、そこで成功した人が恩恵を受けられ、豊かな生活を送ることができるのはある種当然で、自然なことでもあります。


すべての人が平等になってしまうということは、努力する意欲を削いでしまうことにもなりかねないのです。


しかし、それは比較的『持っている』側の人間の意見でもあります。

生まれた瞬間からどうすることもできない場所にいる人が存在するのも事実なのです。


そういう人たちからすれば、世の中は限りなく不公平に見えることでしょう。

そして、すべての人が平等であればと願うに違いありません。

とても難しい問題

格差はとても難しい問題であり、簡単に答えを出すことのできない問題でもあります。

しかし、決して無視し続けることのできる問題でもないのではないでしょうか。


時々耳にするベーシックインカムという話があります。

これは、すべての国民に最低限生活してくだけのお金を政府が保証するという考え方です。


僕はこの考え方には賛成です。

その財源をどこから捻出するのだという疑問もあるかもしれません。


それでも、財源がなんとかなるのであれば、すべての人に最低限のお金を保証することができれば、格差意識はかなり軽減すると思います。

最低限を保証した上で、さらなる上澄みは個々人の努力によるものだという状況になれば、社会は少なからず良くなると思います。


結婚することに躊躇することも減るでしょうし、子供を作る心理的・金銭的負担も軽減されるでしょう。

それでいて、競争原理もしっかりと残すこともできます。

最低限の保証はした上で、その先は努力によるものだとすればいいのです。


日本は良くも悪くも閉鎖的な国です。

そして、みんなできるだけ同じであることを良しとするような文化風土もあります。


しかし実際はそうではないことに誰しもが実は気づいているのではないでしょうか。

これからの時代を生きていく一人として、少しでも社会が良くなればいいと思っています。

少なからずほとんどすべての人がそう思っているはずです。

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