
気になった海外文学シリーズです。
『ダブリナーズ』
アイルランド出身の小説家ジェイムズ・ジョイスによる短編集です。
アイルランドの首都であるダブリンを舞台とした短編が15編収録されています。
原題は『Dubliners』であり、『ダブリン市民』という邦訳版も出版されています。
1905年に一度出版を試みたものの、破談となり最終的に1914年にロンドンで出版されました。
邦訳版も多数出版されていて、今回読んだのは新潮文庫より刊行されている柳瀬尚紀による翻訳版です。
アイルランドの首都ダブリン
『ダブリナーズ』はアイルランド出身の小説家ジェイムズ・ジョイスによる短編集となっています。
アイルランドの首都であるダブリンを舞台とした短編が15編収録されています。
ダブリンという街のことは正直、全く知りませんでした。
きっかけとなったのは『シングストリート』という映画です。
この映画はダブリンを舞台としたもので、少年たちの青春を描いた音楽映画となっています。
この映画とてもいい映画で、かつダブリンという街が持っている閉塞感のようなものがとてもうまく描かれています。
僕はこの映画を見てダブリンという街に強烈な興味を持ちました。
理由は自分でも正確には分かりませんが、ダブリンという街になぜか親近感のようなものを感じてしまいました。
人生で一度は訪れてみたい街の一つです。
ダブリンは、イギリスや、他のヨーロッパの国との距離感が絶妙な街です。
アイルランドという島国にある港町で、決して大きな街ではありません。
街全体がヨーロッパに対する劣等感のようなものをまとっている街で、独特のなんとも言えない閉塞感を抱えている街でもあります。
『ダブリン市民』
『ダブリナーズ』(『ダブリン市民』)では、そんな街で暮らす人々の生活が描かれています。
ジョイスはアアイルランドのダブリン出身の作家です。
代表作は『ユリシーズ』という長編で、その他にも『フィネガンズ・ウェイク』や、『若き芸術家の肖像』などという作品を残しています。
『ダブリナーズ』はそんなジョイスの原点とも言える小説ではないかと思います。
生まれ育った街を描き、生まれ育った街にすむ人々の様子を描き出しているからです。
彼にとっての原風景は、おそらくですがダブリンという街に深く根付いていて彼の人格形成や、作品に流れる空気にも表れているような気がします。
『ダブリナーズ』は短編集であり、とても読みやすい作品でもあると思います。
『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』も読みましたが、どちらも読み応えのある難しい作品となっています。
(特に『フィネガンズ・ウェイク』という作品。これはあまりにも難解すぎて途中で心折れてしまいました・・・。)