
1年ほど前に日比谷の映画館で観た映画です。
『レディ・バード』
2017年に公開されたアメリカ映画です。
監督は女性のグレタ・ガーウィグで、この映画でアカデミー作品賞と、脚本賞にノミネートされています。
主演はシアーシャ・ローナン。他、ルーカス・ヘッジスやティモシー・シャラメなどが出演しています。
本作は、多くの批評家や映画賞で絶賛されている作品で、アメリカの映画批評サイトでも非常に高い評価となっています。
日本では2018年6月1日に公開されました。
あらすじ
クリスティンはあアメリカのサクラメントに住み、カトリック系の高校に通う17歳の女子高生。
親から与えられた名前を嫌い、自分のことを『レデイ・バード』と名乗っていた。
大学進学を控えていたレディ・バードは、ニューヨークの大学への進学を希望しているが、母親からは市内の大学へ進学することを勧められ、車の中で口論となり車から飛び降りる。
骨を折り、ギプスをはめながら学校に通うレディ・バードは学内でミュージカルのオーディションがあることを知り、参加することとなる。
同じくオーディションを受けていたダニーにレディ・バードは惹かれ始め、次第に親密になっていく。
しかし、感謝祭の日に彼が同性愛者であることを知ったレディ・バードは彼から距離をおき、別のバンドマンであるカイルと親しくなっていくが・・・
青春映画として
『レディ・バード』はアメリカで製作された青春映画です。
1年ほど前に日比谷のTOHOシネマシャンテで鑑賞した後、AmazonPrimeで観れることを知り、再び鑑賞しました。
90分ほどの決して長くはない映画です。
そして、とてもテンポよく進んでいく映画です。
主人公のレディ・バードはごくごく普通の女子高生です。
アメリカのサクラメントという少し閉塞感のある田舎街に暮らしている17歳です。
母親とは衝突してばかりで、父親も失業しうつ病を患っています。
兄も、名のある大学を卒業していながらスーパーでレジのアルバイトをしています。
『ここではないどこか』を夢見て、今いる環境からなんとかして抜け出したいとレディ・バードは思っているのです。
若さゆえの脆さのようなものを持ちながらも、レディ・バードはなんとかしようというエネルギーに溢れた女の子です。
笑えるようなシーンもたくさんありながらも、この映画では思春期を迎えた人が普遍的に感じるような不安やストレスのようなものが描かれていると思います。
自分のことを実は考えてくれているのに、それが上手く理解できずに対立してしまう娘と母親。
都合よく友人を乗り換え、本当に大切な人は誰かを見失ってしまうような様子。
初体験に関する期待と、不安と、経験後のある種の虚しさ・・・。
どこに住んでいる人でも、おそらく多くの人が経験することがとても上手く描かれている青春映画となっています。
最後にわかる両親の愛情
レディ・バードは、最終的には自分の望みをかなえ、サクラメントを離れ、ニューヨークの大学へ通うこととなります。
新しい生活に、新しい出会いを経て、レディ・バードは両親へ感謝の電話をすることとなります。
そして、免許を取り自分でサクラメントの街を運転しながら見たことのことが語られます。
この二つのシーンは結構ドライに語られながらも、とても感動的なシーンです。
そして、途中こんなセリフがあります。
「愛情と、注意深く見ることは同じものでしょう」
レディ・バードは自分の街のことを嫌いながらも、実はとてもよく観察していて、実はそれは愛情に他ならないのでした。
そして、それは母親のレディ・バードに対する態度も同じものなのです。
注意深く見て、細かいことに口を出しているように見えて本当はとても娘のことを深く愛しているのです。
娘との空港での不器用な別れの後に、寂しさが溢れ、空港へ車を戻します。
既に娘はおらず、父親と抱き合うこととなるのです。
トータルでとても面白い映画
この映画はたくさんの人が絶賛しているように、とても面白い映画でした。
単純に笑えるようなシーンもたくさんあります。
親友であるジュリーとのやり取りや、アメフト監督出身のミュージカル監督。
そして、父親と同じ仕事の面接を受けに来ていた息子のシーンも見ていて素直に笑ってしまいました。
話もとてもわかりやすく、テンポよく進んでいくのでとてもみやすい映画でもあると思います。
監督のグレタ・ガーウィグさんは、まだ35歳の若い女性監督です。
この監督の作品は『レディ・バード』以外は見たことがありませんが、他の映画も見てみたくなりました。