感想『分離派の夏:小袋成彬』分離派としてのアーティスト

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宇多田ヒカルのプロデュースによる小袋成彬さんのデビューアルバムです。

『分離派の夏』

2018年4月25日に発売された日本のシンガーソングライター小袋成彬のメジャーデビューアルバムとなります。

宇多田ヒカルも参加している楽曲を含め、全14曲が収録されています。

宇多田ヒカルが「この人を世に出す手助けをしたい」と全面的にプロデュースしている作品で、歌詞のチェックやゲストボーカルとして参加するなど全面的にバックアップしています。

収録曲

  • 1. 042616 @London
  • 2. Game
  • 3. E. Primavesi
  • 4. Daydreaming in Guam
  • 5. Selfish
  • 6. 101117 @El Camino de Santiago
  • 7. Summer Reminds Me
  • 8. GOODBOY
  • 9. Lonely One feat.宇多田ヒカル
  • 10. 再会
  • 11. 茗荷谷にて
  • 12. 夏の夢
  • 13. 門出
  • 14. 愛の漸進

気になっていた人

『分離派の夏』は小袋成彬というシンガーソングライターのデビューアルバムです。

ずっと気になっていた人だったのですが、なかなか聞けずにいたアルバムでした。


なぜ気になっていたかというと、それはやっぱり宇多田ヒカルがプロデュースして売り出された人だったからです。

宇多田ヒカルが自分のアルバムの中で共演した時に、その才能を見出し、この人を世に出す手助けをしたいということでデビューすることとなったのです。


なんか、すごい話じゃないか・・・。

宇多田ヒカルと共演したのは『Fantome』というアルバムの中の『ともだち』という曲だそうです。この曲もアルバムが発売されてすぐ聞きましたが、これもまたとても良い曲です。

分離派とは

このアルバムには(少なくとも僕は聞いたことのなかった)少し変わったタイトルが付けられています。

分離派とは一体どのようなことを言うのでしょうか。


分離派とは19世紀の末のウィーンなどのドイツ語圏における新進芸術家たちの革新運動のことを言うそうです。

閉鎖的で保守的な芸術から分離して、伝統にとらわれない芸術を求めた人たちのことです。


おそらくこの『分離派の夏』と言うタイトルには小袋さんの強烈な野心が込められているような気がします。


おそらくとしか言えませんが、小袋さんは多くの優秀なクリエイターがそうであるように、本質的には内向的な人なのではないかと思います。

内向的な人はどこかこの世界で生きづらさを抱えています。


しかし、決して持っているエネルギーが小さいわけではありません。

正しい表現の場を獲得した内向的なクリエイターは、途轍もない才能を発揮することがあるような気がします。


それは音楽であり、映画であり、小説や漫画であり、絵画であり、もっと広い意味での芸術であると思います。

小袋さんは、このアルバムのタイトルに今までにないような音楽を作っていこうと言うう野心を込めているような気がするのです。

少し不思議なアルバム

このアルバムには、14曲が収録されています。
小袋さんの歌声は本当にとても綺麗で、ストレスなく聞くことができるような心地の良いものばかりです。

そして、このアルバムには語りのような曲(と呼べるかわかりませんが)が収録されています。


いきなり一曲目からこのような語りの曲から始まります。

デビューアルバムの1曲目はおそらく、そのアーティストの持っている極めて本質的な部分が現れる場所であるような気がしています。


ここで語られているのは、芸術を生み出すのはなぜか。
と言う、極めて深い話がされています。


多くの人は作品を生み出すことなんて必要としない。
芸術なんてなくても生きていける。

それなのになぜ作品を残す人は残すのか。
それは、必然であり、作品を残すことでしか前に進むことのできない人もいるのだろう。

必然的に作品として残さなければ前へ進むことができなかった人のことが語られているのです。


これはとても興味深い部分でもあると思いました。
ここにこそ、小袋さんの芸術感の全てが現れているとも言えます。 

他にも、このアルバムには良い曲が多数収録されています。
そして、この人はこれからも分離派として、野心的な新進的な作品を生み出してくれるのだろうと思います。

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