
面白そうな本を求め、手にしてみた本です。
『21世紀の暫定名著』
2016年に講談社より刊行された本です。
まだ16年しか経っていない中、21世紀の名著となりうる本を様々な識者が紹介し、議論するような形よなっている本。
内田樹や、佐藤優、上野千鶴子、茂木健一郎、小川洋子、大澤真幸、など、それぞれ自分の独自の観点からオススメの本を紹介しています。
『一般書籍』部門と、『日本文芸』、『海外文芸』とでそれぞれ座談会のような形での議論が掲載されています。
本のための本
『21世紀に暫定名著』は本のための本です。
別のたくさんの本を紹介するための本となっています。
定期的にこういった本を読みたくなる時があります。
本を読むのが好きで、よく読んでいるのですが、自分で選んだ本ばかりを読んでいると、どうしても自分の好きな本ばかりを選んでしまう傾向があります。
意識的にか無意識的には自分の好みの本ばかりを選び、その他の本をあまり読まなくなっていくような気がします。
そういった時に読みたくなるのが、こういう『本のための本』です。
『21世紀の暫定名著』には、たくさんの本が紹介されています。
僕もそこそこ本を読んでいる方だと思っていましたが、読んだことのある本がほとんどなく、世の中には本当にたくさんの本があるのだな・・・と改めて思いました。
『1Q84』や、『21世紀の資本』など知っている本もいくつかありました。
どれも面白い本ばかりです。
しかし、紹介されている本はほとんど読んだことのないものでした・・・。
名著とは
名著とは一体どういう本のことを言うのでしょうか。
おそらく具体的で明確な定義はないのではないかと思います。
この本の中でも名著とは何かということが書かれています。
いろんな本を読んでみて個人的に思うのは、名著と呼ばれる本は『越境する力』を持っているかどうかではないかと思っています。
『越境』とは何かを越えていく力のことです。
それは文化であり、言語であり、時間であり、時代であり、様々な異なるバックグラウンドに暮らしているたくさんの人々にとってリーダブルであるかどうかということが重要なのではないかと思います。
本当にいい本は、時代を越え、文化を越え読まれ継がれていくものなのです。
そういう基準で本を選ぶと、また違った見え方ができます。
日本という国において売れている本が必ずしも良い本だとは限りません。
『商品』としてたくさんの人の手に渡り、読まれている本だとしてもそれが必ずしも時代を越えていける情報を含んでいるとは限らないのです。
何より、日本というマーケットは、決して小さくはありませんが世界的に見ると決して大きくもありません。
日本語を母国語とし、理解し、本を手にする人は世界的には決して多くはないのです。
世界的な著作
そんな中でも世界的に広く読まれている日本人作家もいます。
特に広く読まれている作家といえばやはり村上春樹と、カズオ・イシグロでしょうか。
この二人は確実に世界的にファンを獲得している作家であるといって間違いありません。
『21世紀の暫定名著』のに掲載されている『海外文芸』の部分で、アメリカでは翻訳書がほとんど読まれていないということが書かれています。
アメリカ全体の出版物の中で、他言語からの翻訳書はわずか3パーセントほどしかないそうです。
これは日本人としては悔しい部分でありながら、羨ましい部分でもあります・・・。
英語で本を読めることに対する羨ましさと、日本の本が英語圏の世界でほとんど読まれていないということに対する悔しさです。
本当に自分が英語ができれば読める本がたくさんあります。
そう考えると、一度本気で英語を勉強しなければならないと強く思いました・・・。
英語ができれば、読める本が飛躍的に増えるのことは間違いありません。
21世紀の名著
この本はまだ16年しか経っていない段階で21世紀の名著となる本を考える面白い試みでもあります。
100年間ある21世紀の中で名著となりうる本を2016年の段階で考えているのです。
個人的に読んでみたいと思う本もたくさんありました。
少しずつでもいので時間をとって読んでいきたいものです・・・。