感想『悪の法則』心地よい文学的な会話

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個人的にはとても好きな映画でした・・・

『悪の法則』

2013年のアメリカのスリラー映画で、原題は『The Counselor』。

監督はリドリー・スコット。脚本は小説家のコーマック・マッカーシー。

マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピット、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムなど、ハリウッドを代表するような俳優が多数出演。

アメリカでの公開は2013年10月25日、日本では2013年11月15日に公開された。

人間の死や、欲望など哲学的なテーマを扱っており、過激な描写や、性描写、麻薬喫煙などの描写もありR15指定とされている。

STORY

有能な弁護士である『カウンセラー』と呼ばれる男は、恋人のローラとベッドでいちゃついていた。

時を同じくして、メキシコとの国境にある自動車工場ではコカインを詰めたドラム缶を積んだバキュームカーが出発した。

カウンセラーは出張と言いアムステルダムへ向かうが、実際は仕事ではなく彼女への結婚指輪を買うためであった。

アメリカに戻ったカウンセラーは友人の開いたパーティーに参加し、『ボリート』という殺人機械ついての話を聞く。

そして、麻薬ビジネスに関する話を聞いたカウンセラーは、軽い気持ちでそのビジネスに関わることとするのだが・・・

文学的な会話

少し前にDVDで見た『悪の法則』という映画。

ライムスター宇多丸の映画批評を聞いて、面白そうだな・・・と思って見てみました。

映画館で見ることはできずに残念でしたが、DVDでも見るには十分でした。

この映画はとても豪華な出演者たちが集まっています。

監督は『ブレードランナー』などでも知られているリドリー・スコット。

一見、たくさんの人が楽しめるような華やかな映画に思えるかもしれません。

しかし、この映画は決して大衆に広く受け入れられるような映画ではありませんでした・・・。

嫌いだという人や、イマイチ分からないという人が一定数いると思いますが、一部の人はとことん好きになるような。そんなタイプの映画だと思います。

僕は、後者のとても好きになってしまった人でした。

ところどころにセンス良く差し込まれているような、哲学的な会話や、文学的な会話。

出演者たちのどこか底の知れないような雰囲気や風貌。

映画の作り手たちのセンスの良さが映画の節々から伝わってきます。

起こっている事態は次第に深刻になっていくのですが、トータルとして本当にかっこい映画になっています。

フェラーリと

中でも特に印象的だったのが、ライナーという人物が話す『フェラーリとセックスした女』という話。

キャメロン・ディアス演じるマルキナという人物が、フェラーリとセックスしたという話を聞いたことを、カウンセラーに話すのです。

とても短く、本編の話自体とは直接的にはあまり関係のない話です。

しかし、こんな話一体誰が考え付いたのだろう・・・。

小説ならまだしも、映画の中でその様子を映像として作ろうと思い、実際に作っているとは・・・。

たくさんの悪の形

この映画には、たくさんの悪が登場するように思えます。

しかし、決してその悪の総体と実態ははっきりとしません。

実態のはっきりとしない悪に、たくさんの人々が参加しているのです。

ブラッド・ピットの演じている人物は、カウンセラーに対し忠告をする人物です。

彼は、映画の中に出てくる『悪の仕組み』を理解しているかのように思える人物です。

しかし、そんな彼も最終的にはとてもあっさりと排除されてしまいます。

まるで、何も知らなかったかのように・・・。

最終的にはある人物が黒幕ではないかということが示唆されますが、その人物すら本当に黒幕なのかどうかは分からないままです。

そして、結婚指輪を買うための資金として軽い気持ちで麻薬ビジネスに参加したカウンセラーは最後にはとても衝撃的なラストを迎えることとなります・・・。

忘れられない映画

この映画は個人的には、強く印象に残る忘れられない映画となりました。

笑えるような娯楽作品ではありませんが、僕はこの映画をとても面白いと思います。

何より、文学的な会話は本当に頭を刺激されるようで心地いいものです・・・。

同じような映画が他にもあるのでしょうか。あるのであれば是非見てみたい・・・。

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