感想『勝手にふるえてろ』綿矢りさの小説原作

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松岡茉優が美しすぎる・・・

『勝手にふるえてろ』

2017年の日本映画。2017年12月23日に公開された。

小説家・綿矢りさの同名小説を原作として大九明子による監督・脚本、松岡茉優主演で映画化された。

その他、北村匠海や、渡辺大知、石橋杏奈、片桐はいりなどが出演。

第30回東京国際映画祭コンペティション部門『観客賞』を受賞している。

あらすじ

恋愛経験のない24歳のOLヨシカは中学時代に片思いしていた男子の一宮(イチ)との妄想恋愛をしていた。

そんなある日、会社の同期である霧島(ニ)から付き合って欲しいと告白を受ける。

生まれて初めて異性からの告白を受けたヨシカは忘れられないイチと、ニとの間で揺れ始める。

そんな時寝ている間にストーブから発火し、死にかけたヨシカは人生なんて簡単に終わってしまうかもしれないと思い、行動を起こす。

昔のつてを辿り、同窓会を企画したヨシカはそこでイチと再会するのだが・・・。

綿矢りさの小説原作

『勝手にふるえてろ』は『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞した女性小説家・綿矢りさによる長編小説です。

初出は2010年と、もう10年近く前になります。

小説版も読みました。確か2年ほど前だったかと思います。

話自体はうろ覚えでしたが、タイトルはよく覚えていました。

映画版があるとは聞いていたのですが、映画館では見ることができず。結局DVDで見ました。

映画版を見た後、すぐに小説も読み返しました。決して長くはなく、160ページほどなのですぐに読むことができます。

話は、恋愛経験のないヨシカという女の子が、中学時代から想い続けているイチと、同期であるニという二人の男性の間で揺れるというものです。

このヨシカという女性は、少し思いこみ強く、オタク的な気質を持っている女の子です。ゆえに自分の頭の中で妄想し、それがいきすぎてしまうところがあるのです。

小説では、その感情の流れがとてもうまく表現されています。

映画では、全てを表現することは難しいかもしれませんが、映画版では独特の表現でその妄想を表現しています。

主演の松岡茉優

主役のヨシカを演じているのは女優の松岡茉優です。

『ちはやふる』や『万引き家族』にも出演していて、最近注目されている女優の一人です。

『ちはやふる』では、広瀬すず演じる主人公のライバル役を演じていました。

その姿のなんと美しいことか・・・。

役にもぴったりとはまっていて、どこかつかみどころのない役を演じていました。

この『勝手にふるえてろ』では、そんな松岡茉優がいわゆる『イケてない』女子の役を演じています。

恋愛経験がなく、少しこじらせ気味のOLの役です。

恋愛経験はないのだけれど、恋愛願望自体がないわけではない。だから、決して女性として恋愛することそのものを投げているわけではない。そんな役です。

頭の中にいる『理想の男性』と、同じ会社の同期である『現実の男性』。二人の男性との間で揺れる難しい役をとてもうまく演じています。

理想のイチと、現実のニ

そして二人の男性役は、北村匠海と、渡辺大知が演じています。

このふたりがなんとも言えない絶妙な感じを醸し出しています。

イチは中学時代からのヨシカの理想の男性で、かっこいいのだけれどどこか本音が見えないような。そんな男性です。

それに対し、同期であるニは、根はとてもいいやつなんだろうなという感じが伝わってくるんだけれど、どこか不器用で、損な役回りを引き受けてしまうようなそんな男性です。

二人とも、この上ないはまり役・・・だと思いました。

ヨシカはそんなふたりに振り回され、最終的にはある結末を迎えます。

そして、それは見る人がなんとなく予想していた結末でもあると思います。

どこかホッとする結末にもなっています・・・。

映画は映画の、小説は小説の

小説には小説の良さがあり、映画には映画の良さがある作品だと思います。

小説は、ヨシカの心情や、感情の流れが細かく描写されています。

頭の中の妄想も、これでもかとばかりに描かれています。

映画は映像があるがゆえにたくさんのことができています。

途中、嬉しさをミュージカルのように表現しているようなところもありました。

このシーンは個人的にはとても好きです。

映画も小説も、とても面白い作品です。いちど読んでみて、見てみて損することはないかと思います。

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