
赤坂の劇場で見てきました(6月8日(土))。
舞台って面白い・・・
『(舞台)海辺のカフカ』
村上春樹原作の小説『海辺のカフカ』を舞台化したもので、脚本はフランク・ギャラティ、演出は蜷川幸雄が担当。
メインキャストは以下の通り。
田村カフカ:古畑新之
カラス:柿澤勇人
佐伯さん:寺島しのぶ
大島さん:岡本健一
さくら:木南晴夏
ナカタ:木場勝己
星野:高橋努
元々は2012年に舞台化されていた作品。
2014年に同じ脚本・演出で再演がなされ、ロンドン・ニューヨーク・シンガポール・ソウルをめぐるワールドツアーが行われた。
(2012年版と、2014年版と、今回のもの。それぞれ出演者は少し異なる。)
『ジャポニスム2018』の一部としてパリで公演された後、約5年ぶりとなる日本での凱旋公演が行われた。
STORY
15歳の田村カフカはカラスに導かれ、『世界で最もタフな15歳になる』と心に誓い家を出る。
四国の高松を目指す高速バスでの移動中にさくらと名乗る女性と知り合う。
カフカには目指す場所があった。
それは甲村記念図書館という図書館だった。
図書館にたどり着いたカフカは司書である大島さんと、図書館の当主の親戚である佐伯さんと知り合う。
一方で、東京に住むナカタさんは戦後の事故の影響で影の半分を失い、猫と会話することのできる不思議な老人だった。
迷子となっている猫を探している最中に、ジョニー・ウォーカーと名乗る男と出会う。
ナカタさんはジョニー・ウォーカーを殺害することとなり、トラック運転手である星野とともに四国へ向かうこととなる・・・。
舞台としての村上春樹
何がきっかけだったかはっきりは覚えていませんが、村上春樹の『海辺のカフカ』の舞台の東京公演があることを知りました。
まだ間に合えばと思い、チケットを購入。6月8日(土)の12:30からの公演を見てきました。
そもそも、舞台というものをあまり見たことがなかった上に、村上春樹の長編小説を舞台化しているということで一体どんなものなのだろうと、とても楽しみでした。
会場はたくさんの人で溢れ、席も満席。僕は1階の結構後ろの方の席でした。
あわよくば、もう少し前の方で見たかったというのが正直なところですが、後ろからでも十分に見えました。
『海辺のカフカ』は村上春樹の小説で、世界的に有名な作品の一つです。
僕も過去に2回程、読んだことがありました。
どんな小説かということを説明することの難しい、村上春樹らしい小説です。
それでも、小説として面白く、読ませる力のある作品です。
その『海辺のカフカ』を原作としているのがこの舞台。
脚本はフランク・ギャラティ、蜷川幸雄が演出を担当しています。
2012年の最初の公演では、主役の田村カフカを柳楽優弥が演じています。
2014年以降の公演は、オーディションで選ばれた古畑新之がカフカ役。
舞台はカフカの話と、ナカタさんの話を交互に見せていくような形で進んでいき、最終的に一つの話に集約していくような流れとなっています。
村上春樹作品の難しさ
村上春樹の小説は、他の媒体で再現することが難しいと言われています。
それはやっぱり村上春樹の小説は、小説でしかできないことをやっているからだと思います。
『海辺のカフカ』もそんな作品です。
長編小説を舞台にすることは本当に難しいことだと思います。
小説の中にある膨大な描写とセリフを的確に取捨選択し、それでいて物語の大筋は残しておかなければなりません。
この舞台では、カフカの場面と、ナカタさんの場面とが交互に見せていくようになっています。
この場面の選択がとても上手く、見ている側は飽きることなく作品の世界に入ることができるものとなっています。
話自体は、全てに答えがあり、完全に辻褄が合っているものではありません。
しかし、それはきっと村上春樹が意図的に残している『隙』のようなものだと個人的には思っています。
村上春樹の作品は意図的に『不完全さ』を残しています。
物語の中に明確な答えを用意していないことも多々あります。
しかし、だからこそたくさんの人に享受されているのだとも思います。
言い換えるならば、その『隙』こそが国を越え、言語を越え、文化を越えた多様性が入りうる可能性となっているのです。
きっと、作ろうと思えば筋の通った、辻褄のあった、答えのある小説を書くこともできるはずです。
しかし、あえて意図的にそれをやっていないのではないかと思います。
それこそが村上春樹の『唯一無二性』なのではないでしょうか。
舞台をまた見てみたい
映画や本を読むことはよくあるけど、舞台は今まであまり見たことがありませんでした。
こうやって自分でお金を払って、足を運んだのは初めてのことでした。
舞台には舞台でしかできないことがあるのだろうと思うと共に、舞台ならではの臨場感を感じることができました。
早速、次の舞台のチケットを購入してしまいました。
次も村上春樹原作の『神の子どもたちはみな踊る』という作品。
8月上旬の予定です。
これも本当に楽しみです。