感想『若おかみは小学生!』子供『だけ』向けアニメではありません

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劇場版アニメの『若おかみは小学生!』

全世代に響く、とても良い映画でしたね〜

劇場版『若おかみは小学生!』

令丈ヒロ子による2003年から刊行されている児童文学シリーズ

300万部以上売り上げているこのシリーズを劇場版アニメーションとして製作された。

2018年9月21日に全国公開

監督は高坂希太郎

テレビアニメ版とは繋がりのない独立した一つの作品として仕上げられている。

声優として水樹奈々や山寺宏一、小林星蘭、バナナマンの設楽統、ホラン千秋などが担当している。

あらすじ

小学6年生の関織子(おっこ)はお祭りの帰り道の高速道路上で事故に遭う。

大型トラックとの衝突で両親は命を落とすが、おっこは奇跡的に無傷で車外へ放り出され一命を取り留める。

両親を失ったおっこは、おばあちゃんのいる『春の家旅館』へと引き取られることとなる。

そして、そこでユーレイであるウリ坊と出会い、小学生ながら旅館の若女将としての修行をすることとなる。

さらに、転校した学校ではピンクのフリフリをした少女と出会う。

秋野真月(通称ピンフリ)というその少女は温泉街で一番豪華な旅館の一人娘だった。

同じ小学生ながら、旅館のおかみとして修行しているおっこのことをライバル視する真月・・・。

そしておっこは旅館で様々な幽霊と出会い、旅館には一癖あるお客さんたちが訪れ・・・

子供向けかと思いきや

高い評判をどこかから聞きつけ、映画館で見ました。

これは確かに面白い、いい映画でした。

原作は同名の児童文学シリーズ。

本質的には子供向けの物語であり、劇場版もそこからはズレていない。

しかし、これが子供『だけ』に向けた映画かというと全くそうではない。

物語は小学生であるおっこが事故で両親をなくすところから始まる。

小学生にとってこの上ない悲劇的なトラウマをおっこが抱えるところから始まるのだ。

お婆ちゃんの旅館に引き取られ、修行を始めることとなるおっこはそんな悲しい素ぶりを全く見せることなく普通に生きているように見える。

旅館で出会うユーレイたちや、ライバルであるピンフリとのやりとり。

旅館に訪れるお客さんたちの相手をする様子はごく普通の小学生のようだ。

しかし、本当はそんなことはない。

おっこは両親が生きているという夢を見る。

そして、最後にはあるお客さんが旅館を訪れ、おっこの感情は爆発することとなる。

強く生きているように見えるおっこはごくごく普通の小学生の女の子なのだ。

映画は子供が楽しめる要素はがふんだんに含まれていながら、大人にも響くような内容となっている。

ピンフリ

おっこんライバルである秋野真月(ピンフリ)という女の子が登場する。

またこの子がいいキャラクターなんだな・・・

温泉街で一番大きな旅館の一人娘である彼女。

恵まれていると思えるような彼女も実は色々と抱えている。

好きだった姉を亡くし、旅館の歴史とたくさんの従業員たちの人生を背負っている彼女。

主人公のおっこに対してのヒール役として見えるような彼女も、本当はかなりの努力家で、誰よりも旅館のことを考えている。

こういうキャラクターは本当に好きだ。

恵まれているように見られていながらも、実は痛みを抱えていて裏では努力している。

最初は小さな旅館のおかみとしておっこのことを見ていた彼女も、終盤ではおっこのことを認め、互いに認め合う存在となっていく。

最近の日本のアニメーション

『君の名は。』や『この世界の片隅に』もそうだが、この『若おかみは小学生!』もとてもクオリティの高いの作品となっている。

あまりアニメをたくさん見るわけではないが、日本の最近のアニメーションは本当に勢いがあるなと思う。

子供向けだという部分はしっかりと残しながらも、大人もしっかりと感動し涙できる作品となっている。

本当に細かいところまで気の行き届いている作品です。

それにしてもピンフリの読んでいる本が『ホモ・デウス』って・・・

なかなかの遊び心ですな・・・

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