
映画『ワンダー君は太陽』
ただの感動映画ではありませんでした・・・。
映画『ワンダー君は太陽』
2017年のアメリカ映画
監督はスティーブン・チョボスキー
難病を患っているオギーをジェイコブ・トレンブレイ
オギーの母親をジュリア・ロバーツ、父親をオーウェン・ウィルソンがそれぞれ演じている。
原作はR・J・パラシオによる小説『ワンダー』
日本では2018年6月15日に公開された。
第90回アカデミー賞ではメイクアップ・ヘアスタイリング賞にノミネート
あらすじ
オギーはトリーチャーコリンズ症候群という難病を患っていた。
スターウォーズが好きで、家族からは愛情を受けて育ってきたオギー。
小さい頃から入退院を繰り返していたが、10歳になり始めて学校へと通うこととなる。
変形してしまった顔を持つオギーは学校で様々な困難にぶつかることなるのだが、次第に友達たちと心を通わせていくこととなる。
ただの感動映画ではない
この映画は予告を見ただけで、とても感動的な映画なのだろうということは想像がついた。
難病を患い、『人と異なっている』子供が外の世界へと出て行き、最初は辛い思いをするが、次第に受け入れられていく。
そんな話だと思っていた。
大筋はその通りだ。
オギーが外の世界へと受け入れられていくという話。
しかし、この映画の凄いところはまた別のところにあると思う。
この映画では、オギーだけでなくオギーの姉の『ヴィア』、ヴィアの友人の『ミランダ』、そしてオギーのクラスメイトの『ジャック』、それぞれの視点で主観的に物語が語り直される。
難病を抱えているオギーだけでなく、誰しもが悩みを抱えながら生きているのだということがしっかりと描かれているのだ。
姉と友人
姉のヴィアは、難病を抱えている弟のことを思い、懸命に『手のかからない姉』を演じている。
それでも本当は普通の悩みを抱えている一人の女の子だ。
ヴィアは、難病を抱えている弟に嫉妬している。
弟はある種の弱者であるがゆえに親からの愛情を注がれ、庇護される。
姉のヴィアは『普通』であるがゆえにその愛情を受けることはできない。
自分はいい子を演じ、手のかからない姉として生きることしかできないのだ。
こんなに複雑な感情があるのだということを僕は初めて見た気がした。
クラスメイトのジャックもそうだ。
ジャックはある事件をきっかけに、不意にオギーのことを深く傷つけてしまう。
しかし、最終的にはオギーの魅力に気付き一番の親友となる。
彼も彼なりの悩みを抱えているごくごく普通の少年だ。
奨学金を受け、親からは期待をかけられている。
学校でもいい子でいなければならず、オギーの面倒を見る役目を負わされる。
そして、オギーと友人たちとの間で彼は挟まれる。
オギーとジャックの仲直りのシーンは本当に感動的だった。
彼らはネット上のゲームを通じて仲直りするのだ。
誰しもが痛みを抱えている
この映画は感動的な映画だ。
しかし、涙を誘うだけのいわゆる『感動ポルノ』と呼ばれるようなものとはまた違うと思う。
確かに綺麗な描き方をし過ぎていて、実際に病気を抱えている人はもっと大変だというような批判も分からなくはない。
それでもこの映画を見れば誰しもが『痛み』を抱えていて、オギーだけでなくみんな悩みを抱えながら生きているのだとうことが分かる。
そして、もっと頑張って生きなければいけないと思わせてくれる。
最後は確かに全てがうまくいき過ぎている感はある・・・。
でも映画なんだからそれでもいいじゃないか。
少なくとも僕はこの映画に勇気をもらっているのだから・・・。