
本屋で気になって買って読みました。
全く知らなかったロシア(ソ連)での遭難事件の話。
ノンフィクションはやっぱり面白いですな・・・
『ディアトロフ峠事件』とは
1959年2月、ウラル山脈北部でスノートレッキングをしてた男女9名が不可解な死を遂げた事件。
1959年始めの冬、ウラル工科大学の学生と卒業生の一行がオトルテン山を登るために出発した。
全員が長距離スキーや、登山の経験を持っていたが季節的な条件を考慮すると難易度の高いルートであった。
出発して10日後の夜。
一行はキャンプを設営し、夜を過ごそうとしていた。
しかし、その夜に何かが起きた。
メンバーの全員がキャンプを飛び出し、極寒の暗闇へと逃げていった。
そして、一行は戻ってこなかった。
その後捜索隊が送り込まれ、1キロほど離れたところで遺体が発見された。
それぞれ別々の場所で見つかったその遺体はろくに服も着ておらず、靴も履いていなかった。
その後死体の検死が行われた。
6人の死因は低体温症であったが、残りの3人は頭蓋骨骨折などの重度の外傷によって死亡していた。
そして、メンバーの一部からは高度の放射性物質が検出された。
『死に山』
この本は、未だに完全には解明されていない事件、『ディアトロフ峠事件』について書かれたノンフィクションだ。
事件は半世紀ほど前のことであるが、未だに解明されていない。
目撃者は存在せず、憶測の域を出るような決定的な証拠も存在しない。
著者はアメリカの映画・テレビ監督。
安原和見によって訳された。
原書の出版は2014年であるが、翻訳書の発売は2018年。
こんな事件があったなんて・・・
世の中には知らないことがありすぎる。
そして、不思議なこともありすぎる。
1950年代に起きたソ連の山での遭難事件。
この本では決して明らかにすることのできない真相を、かなり高い可能性として説得力のある形として示している。
山でキャンプをしていた一行。その一行に間違いなく何かが起きた。
そこで起きたことを証明するすべは今や存在しない。
しかし、様々な手段を講じ限りなく結論に近いところまで行くことはできるのかもしれない。
この本ではあり得た可能性と、あり得ない可能性とを極めて論理的に、かつ客観的に書いている。
それは部外者だからこそできることだ。
そして、時間が経過しているからこそできることだ。
当時よりも科学技術は発展している。
様々な可能性を論じることもできる。
だからこそこのタイミングでこの本は書かれたのだろう。
事件の結末は・・・
本書では一つの結論が示される。
それを書くことはできない・・・
しかし、本書は一つの読み物として面白く、読み応えのあるものであることは間違いない。
そして世界の神秘的な部分を垣間見ることができる。
世界には不可解で解明できないことがある。
数え切れないほどあるのだろう。
その真相に近づこうとする努力は大変なことだ。
しかし、その努力は美しい。
真相に少しでも近づくことができる。
そうすることで世界は発展していくのかもしれない。
なかなか分厚い本ですが、読む価値はあると思います。
ぜひ。