
時間があったのamazon primeにて鑑賞。
娯楽映画かと思いきや・・・
映画『サバイバルファミリー』とは?
2017年に公開された日本の映画
監督は矢口史靖
主演は小日向文世
共演は深津絵里、泉澤祐希、葵わかな、時任三郎、藤原紀香など
どんな話?
鈴木一家はどこにいるようなありふれた家族。
父親はサラリーマンとして働き、専業主婦の妻。
息子が一人と娘が一人。子供達は思春期を迎え、家族とは微妙な距離感。
そんなある日、突然電気が使えなくなる。
家電はもちろん、電池も使えない。
マンションのエレベーターも動かなければ電車もバスも動いていない。
携帯もパソコンも使うことはできない。
不安に思いながらも、きっとすぐに復旧するだろうと父親はとりあえず会社へと向かう。
会社に着いたはいいものの、ビルの自動扉は開かず入ることはできない。
止むを得ず消火器でガラスをぶち破り中へと入る。
エレベーターは動かず、階段で自分たちの事務所へと入るが、電話もパソコンも使うことはできない。
仕事にならないと判断した上司は、今日は帰っていいぞと告げる。
止むを得ず家に帰る。そして夜が訪れる。
ろうそくとガスボンベでレトルト食品を食べ、夜を過ごす鈴木一家。
復旧すると思っていた電気は一向に復旧する気配はない。
そんな中ある噂を耳にする。
『大阪の方では電気が使えるらしい』と。
そう聞いた鈴木一家は自転車で高速道路上を進み大阪を目指すが・・・。
壮大な思考実験の話
世の中にはフィクションでしかできないことがある。
人知を超えたスーパーヒーローや怪獣などもその一つだ。
現実ではあり得ない魔法や超常現象などもそうだろう。
この映画は、一種の思考実験の話だ。
ある自体を巻き起こすことによって人がどう行動するかを描き出すというタイプの作品だ。
『DEATH NOTE』や『進撃の巨人』などもそれに近い。
ある設定を持ち出し、不可避的に翻弄される人たちを描き出していく。
電気が使えなくなってしまったら?
と言うシンプルな話だ。
しかし、その状況をリアルにイメージすることができるだろうか。
我々は、様々な場面で電気を利用している。
家や家電はもちろん、交通機関や、通信機器、食べ物を運んでくる輸送網なども電気無くしてはほとんどが使うことができない。
しかし、その事実を正確に認識することは難しい。
電気は常にそばにあり、当たり前に使うことができているからだ。
そして、それを失うことはないと、心のどこかで思ってしまっている。
果たして本当にそうだろうか?
東日本大震災や、昨年の北海道での地震。
何か災害が生きた時、停電する場面は決して他人事ではない。
現実にも絶対にないとは言い切れない話なのだ。
鈴木一家は大阪には電気があると言う根拠のない噂を信じ、高速道路上を自転車で進んでいく。
決して楽な道のりではない。
そこで家族の、人間の嫌な部分を目にすることもある。
寝ている間に食べ物を盗まれる。
息子は、盗んだ男性の後を追いかける。
そこには赤ん坊を抱えた女性がいる。
息子はその様子を目にし、その場から立ち去る。
大変なのは自分たちだけではないと気が付く。
生きていくのは簡単なことではない
当たり前にあると思っている何かを失った時、人は弱い。
この映画ではそのことを突きつけられる。
家族を支える父親。電気がなくなるなんて状況を誰が予想できるだろうか。
父親は無力で頼りない存在に見えてしまう。
しかし、それでもなんとかしようと奮闘する。
その姿はとても『かっこいい』。
少なくとも僕はそう思った。
生きていくのは簡単なことではない・・・